車のキーが、カラビナから取れていた。

会社に行こうとした時に、気づいて、

血の気が引いた。


時間内に探せなかったから、

連絡して休んでる。


ずっと、強がり、自分は強いと言い聞かせていた。

ずっと、自分は賢いと言い続けて、踏ん張り続けてきた。

ずっと、一人でも大丈夫だ!と、孤独感を誤魔化して、貫こうと思っていた。


自分が壊れても、そうするしか生きていけないと、思っていた。


今も鍵は、自力では見つからない。

仕方がないから、作り直そうかと思ったり、

もういっそ、会社を辞めようかとすら思ったりした。

けど、もう転職する気力が湧かない。


というか、探してる最中に、

眠くて、やる気が失せて、

ベッドに寝転がっていた。


今まで、何をしてたんだろうか?


気分がいい日は、殆どなく、

明るいテンションで乗り切るような馬鹿な毎日を、

続けてきただけだった。


誤魔化しすぎて、本当の感情がわからない。


もう、暗くていいってことにした。

何事も、誤魔化すのは、もう無理だった。


趣味でさえも、頑張り続けていた。

何かが自分を充実させてくれる。

けど、面倒で、自分を疲弊させるだけだった。


高い目標に向かって、努力しても、

もう無理だ。


そもそも楽しさなんか、わからない。


テキトーに、凡人として生きようと思った。

憧れたヒーローには、僕はなれない。


誰かの力が、僕には必要だったし、

僕は、もう一匹狼は無理だったし、

そもそもいつも誰かのお陰で、

なんとかやってるに過ぎなかったし、

それは、温かい人々だったんだ。


自分が間違っていた。

虚勢は、張る元気がない。

なら、そのままでいこう。

このままでいよう。


頑張ったって、見返りはなく、

ただ疲れるだけなんだ。

のんびりいこうよ、先は長い。


そんな事を思っていたけれど、

ふと、数日前に、部屋の天井付近に、

大きな仁王像の様なモノが、

一瞬だけ、憤怒の顔で見えたんだ。


僕は、占いやスピリチュアルが好きなクセに、

不思議な体験なんか、好きなクセに、

全く、科学的な根拠や、そういう類は信じない。


だって、神様に祈ったって、自力で生きるしかねぇ~じゃーんって、思ってたから。


もしかしたら、僕の患う統合失調症が悪化していて、それに気づかずに、幻覚を見たのかも知れない。


普通は、そう解釈するのだろう。


だけど、この無理を貫こうと生きてきて、

スピリチュアルの強制終了だと、

自分が、その区切りに来たタイミングで、

自分の体験として、正に起こってるなら、

僕の主観では、全部、本当の事としても、

何ら差し支えがない。


だから、

僕の感想はこうだ。

あれは、もしかしたら、

もう、いい加減に、周りの人の愛情を、

温かさを、わかってるくせして、

強情張ってんじゃねーよ!

馬鹿がっ!!!!!

と、

そう言われた気がしたんだ。


あの憤怒の顔は、

正しく、明王像のそれだった。


見えない世界って、

神仏って、本当はあるのかもしれない。


頑なに信じてなかったけど、

(だって、いたら怖いし。面白いと思ってたけど。現実主義者なんで。金欠の方が怖いし、人の方がよっぽど、怖い。)


僕は、産まれて初めて、

神様や仏様は見えないだけで、いつもいて、

見守ってくれてるからこそ、

こんな強制終了とか、

悪くいかないようにしてくれてるのかもなぁ。

と素直に思えた。


つか、最近は、一瞬だけ何か見えたりもする。

ただの目の疲労か、

恐怖心のせいだろ、

そんな居るわけねぇーじゃん。

幻覚で、もっと、規則正しく、服用をしないとだめだな。

ぐらいしか、思ってなかった。


今回は、モノが、デカかった。

え………?ってなった。


幻覚なのか?

本当に、いるのか?

もはや、僕にとっては、あまり問題ではない。

どうでもいい。


現実の暮らしを、

大切にしたいし、

自分を大切にしようと、

そう思ってる。


ーー終わりーー