{003990DC-33F2-4638-9E3E-C2EF56B6DBB9}

11.5、大阪。プロレスファンはきっとこの光景を脳髄の中枢に刻みこんだであろう。

時は、8.14両国に遡る。突如として現れた時限爆弾。爆発するタイムリミットは11.5。ファンは、混乱しながらも考えた。その頃、ノアでは、鈴木軍が“時限爆弾”を連発で爆破させ、団体を窮地に追い込んでいた。

10.10両国。再び時限爆弾は前触れもなく、現れた。日本、イギリス、メキシコ、アメリカの国旗とともに。ファンは、すぐに理解したことだろう。今年、ファンタスティカマニアに突如、現れた“カマイタチ”が、帰ってくると。

そして、11.5。BUSHIを相手に大苦戦するKUSHIDAだが、リストクラッチ式ホバーボードロックで一撃ギブアップを勝ち取る。

瞬間に現れた時限爆弾は、爆発し、現れた男は、ベビーフェイスとして現れたカマイタチとは違う。メキシコ、アメリカでヒールとしてやって来たカマイタチだった。

彼は、決して自分がロスインゴベルナブレスデハポンとは名乗らなかった。しかし、KUSHIDAの前に立ちはだかったということは、ヒールとしてKUSHIDAを倒すということだ。新日本ジュニアに新たなインパクトが生まれた瞬間だった。

カマイタチは、高橋ヒロムとなり、新日本に凱旋した。時限爆弾として、ファンに想像の余地を与え、ジュニア王座が決まった時点で現れる。最高のシュチュエーションだ。EVILの時のようなインパクトはなかったが、長い時間武者修行していた分、ファンの期待は最高潮になっていただろう。

広夢が言った夢、IWGPヘビーとIWGPジュニアの戴冠。その夢が実現できる環境は、揃いつつある。しかし、それが簡単に実現できるかといえば、そんなことはない。

IWGPジュニアの王者は、KUSHIDAだ。ジュニアの中で、実力は圧倒的にトップクラスだ。ROHのヘビー級選手からもギブアップをとっている。そう易々と負ける男ではない。

そしてIWGPヘビー級の王者は、オカダ。プロレス界全体のエースで、G1クライマックス2回優勝の怪物だ。ヒロムのウェイトだと圧倒される可能性がある。しかし、100kg以下でオカダを何度も倒した選手はいる。

AJスタイルズだ。彼は、ヘビー級戦線で戦っていたが、体重は100kg以下。ジュニアの体型で、新日本の名だたる猛者をバッタバッタとなぎ払い、IWGPヘビー初挑戦初戴冠を成し遂げた。しかし、AJの実力は世界が認めるもの。ヒロムの場合は、世界で見れば未知数だ。

しかし、グレートオノは、ヒロムに大きな期待がある。日本人選手で、圧倒的な運動神経があるわけでもない。努力と根性だけで王者に輝く。夢があるではないか。

今、オカダやオスプレイのような規格外の怪物の再来を待つよりかは、ヒロムのような存在を新日本プロレスは育てていくことが重要なのかも知れない。


ヒロムの夢が叶うか、KUSHIDAが潰すか。運命の日は、闘詣(たたかいもうで)1.4闘強道夢。