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現在、新日本プロレスは大量離脱の混乱がようやく静まり、2トップの時代になり始めた。

IWGPヘビー級チャンピオンである“レインメーカー”オカダ・カズチカとNEWJAPANCUP2016覇者である“制御不能のジーニアス”内藤哲也である。

この2人は、これからの10年間新日本プロレスを支える上で重要な役割を果たすだろう。

もともと、新日本プロレス入門は内藤哲也が先であり、闘龍門からヤングライオンになった岡田和睦のデビュー選も、内藤が務めた。

そして、岡田は、海外遠征へ、内藤は棚橋の次のエースを継ぐために着々とキャリアを積んできた。

本来は、岡田が凱旋して、内藤が棚橋の次の光となり、岡田は影として新日本プロレスを支えるはずだった。

突然の“レインメーカーショック”

レインメーカーを交わした棚橋が2度目のレインメーカーを喰らい、3カウントをとられたのだ。

棚橋のキャリアでも最大級の敗戦であり、内藤にしても、忘れられない瞬間だったかも知れない。

外道を従えた、突然変異の怪物は、圧倒的な光で新日本にブームをもたらし始める。

旗揚げ記念日の後楽園大会。内藤は後輩のオカダより、先にIWGPを獲られてしまったが、この日に自分が獲って、オカダ・内藤の2人の光でやっていこうと思っていたかも知れない。

圧倒的な実力。レインメーカーを喰らい、次に内藤が見た景色は、後楽園の天井のライトとオカダへの歓声だった。

しかし、内藤に再びチャンスが訪れる。

内藤哲也が棚橋弘至から勝ち取ったG1優勝という栄冠。

権利書を手に入れた内藤は、ついに東京ドームで、オカダへのリベンジを誓った。

そこに訪れた悲劇。

IWGPヘビー級が、新日本プロレスのトップの戦いが、IWGPインターコンチネンタルに、時代を支えた棚橋と中邑にメインイベントをとられたのだ。

オカダからすれば、とばっちりもいいところだろう。怒りと逆襲を誓ったレインメーカーは、内藤哲也に完勝した。

そこから内藤とオカダはしばらく交わらない。

2015年内藤哲也、メキシコ遠征。

これが、内藤とオカダ、新日本の大きな転機になるとは、まだ誰も知らない。

黒Tシャツ黒いキャップ。ゆっくり歩き、試合をしない。自由奔放の男は口を開けば「トランキーロ」

大ブーイングが内藤哲也に向けられた。

だが。

2016年に急展開が訪れる。

中邑真輔・AJスタイルズ・カールアンダーソン・ドクギャローズ新日本プロレス退団.離脱である。

急な出来事にファンは混乱した。

新日本プロレスの一大事である。

そこに内藤哲也が噛みついた。

「なんで新日本を辞める奴に壮行試合なんかやるの?」

内藤哲也の歯に絹着せぬ発言が制御不能のスタイルと噛み合って、ファンを取り込んで行った。(詳しくは、前回の記事・内藤哲也を応援する人間は3種類いる・をご覧いただきたい)

ニュージャパンカップ優勝で勢いに乗った内藤が選んだのは、オカダのIWGPだった。

再び、交わった、内藤とオカダ。

時代に乗った内藤と焦り始めたオカダ。試合は、内藤ペース。だが、最後にオカダは怒涛の反撃を見せた。

しかし。

髑髏のマスクをつけた男が乱入。ムーンサルトプレス。

そして、内藤は、「デスティーノ」で、運命を逆転させた。初めて時代をつかんだのだ。

大阪で、オカダにベルトを取り返されたものの、ファンは大きく内藤を支持している。

内藤哲也という、真っ黒い、強烈な影と、オカダカズチカという、黄金の、圧倒的な光。

その2人が再び交わるのは、いつになるか......