その店は駅から歩いて5分のところにあります *1

荻窪駅の北口から青梅街道をちょっと下ったところに、「小料理バル poco a poco」はある。
しかし、そのあたりには行けるのだが、なかなかその店には行き着けない。店の前を2度も通り過ぎたあげく、電話をかけたら、目の前のドアの中からご主人のイタバシさんが現れて、二人で大笑いしてしまった。

店に入ると、元は寿司屋さんだったとのことで、鍵の手のカウンターごしに、シェフのカンザワさんがニコニコと迎えてくれた。


小料理バル

音楽の時間に歌の練習も上の空で、教科書の巻末の楽典のページなどを見ていた私は、poco a poco が音楽用語で「少しずつ」だということはすぐにわかった。*2 わからないのは、バルの方だ。おしぼりで手をふきながら、さっそく訊いてみた。

「小料理バルの バル って何ですか?」
「スペイン語で居酒屋というような意味なんですよ。」
ああ、そういえば、イタリアにいったときに、街中に「バール」と「タバッキ」があったよな。あのバールの仲間の言葉なわけだ。

そうこうするところに、イタバシさんの携帯が鳴る。きょうつきあってくれるお酒仲間が、やはり迷ってしまったと店の前からかけてきたのであった。


本日のおすすめ

カウンターの傍らに掛けてある黒板にメニューが書いてあったが、今日は、おすすめのコース料理でお願いする。

とりあえずビールとともに、つきだしの「スカルポーネと枝豆の生ハム巻き」
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席の後には、日本酒がたくさん入った冷蔵庫がある。のむお酒を選んでいる間に、酒肴6点の盛り合わせ。
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カツオのヅケ、筋子、レンコンとじゃこのペペロンチーノ、ほうれん草ごま和え、茄子の辛子和え、焼きしそ巻き。

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イカのエンペラ焼き物

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イワシの梅煮


カウンター越しにカンザワさんイタバシさんと話しながら飲んで食べているので、こちらのペースにあわせて、つまみを出してくれたり、お酒をすすめてくれたりする。
「でも、お客さんの中には、ペースがすごく速い人と、遅い人がいるんですよ。そういう方が、いっしょにいらっしゃると、料理を出すタイミングがつかめなくて(笑)」
この8月に開店して、自力で店を切り盛りしてみると、毎日が新しい展開なのだろう。

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ウドのキンピラ

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鯵の塩なめろう

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カンザワさんは料飲店の業界誌に焼き物(器の方)の記事を執筆していたりするので、器もなかなかおしゃれなものだ。

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蓼科Tommy'sベーコンと長ネギとしめじのキッシュ

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つくば鶏のスパイスオーブン焼き

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イチジクの豆腐味噌ソース
こちらはメニューのほかにサービスで出してくれたもの。
「テーブルになにもないとつい出してしまうんですよ(笑)」


コースの〆はカレーで

カンザワさんと言えば、荻窪の落陽という居酒屋で「フォークとカレーの夕べ」というイベントを開いたほどの、フォークソングとカレーの大ファンである。
そういうわけで、コース料理の〆はカレーだ。この日のために都内某カレー専門店で修業をしてきたという。
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大人の辛口カレー

「先日、教えてもらったカレー屋のシェフと、こんど開店するというお弟子さんが来てくださったんですよ。二人とも、カレーになったら黙っちゃって(笑)」
食べ終わったお二人からは、この味なら大丈夫というお墨付きをもらったとか。
スパイスもさわやかで、お酒のあとに、カレーも意外と合うのだなと、目からウロコかも知れませんよ。
なお、カレーなしのコースもあります。*3


日本酒も充実のラインナップ

これまで、カンザワさんにお目にかかるのは、おもに日本酒のイベントでであった。
小料理店なので、お酒を飲みながらお料理をというのがふつうのたのしみかただろう。お酒はひととおり揃っているが、とくに日本酒はディープな品揃えである。「どぶ」もいただきました。

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昇龍蓬莱

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森喜さんご夫妻もいらっしゃったそうだ。
るみ子の酒は、いつの間にこんなラベルを作ったんでしょうか。

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日本酒は、冷やでもお燗でも出してくれます。


荻窪の夜は更けてゆく

店に着いたのは7時だったのだが、飲んで食べて、おしゃべりして、大笑いして、お店を出たのはなんと11時半を回っていた。

*1 このタイトルにピンと来た人は、あの本で勉強しましたね。ナントカカントカ700選(笑)
*2 私がはじめて poco a poco という言葉を知ったのは、トッポジージョという人形劇の主題歌でである。
*3 このあと8月中は夏休みにして、9月から新しいメニュー体系にするそうです。ネット上で検索して、直接きいてみてください。なお、行かれるときには、住所と電話をメモしていくことを強く勧めます。店の前にいても見つからなかったりしますから(笑)
銀座「みを木」の日本酒セミナーに久々に参加。

今回は、神亀の専務を囲んで、いろいろなお話を聞きながら、料理に合うお酒を探っていった。

お酒のラインナップ
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左から
・神亀純米辛口
・神亀「小鳥のさえずり」純米吟醸
・神亀ひこ孫純米大吟醸
・神亀ひこ孫純米吟醸(9号)
・神亀ひこ孫純米
・神亀純米華吹雪

お料理
<1> 野菜料理前菜盛り合わせ
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いんげん胡麻和え、長芋しょうゆ漬け、かぼちゃ含め煮、梅干し蜜煮

合わせるお酒 神亀ひこ孫純米吟醸(9号)


<2> あじ酢〆 と 鯛のなめろう風
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合わせるお酒 神亀ひこ孫純米


<3> 岩手短角牛・牛すじ肉の八丁味噌ソース
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合わせるお酒 神亀純米辛口 + 神亀「小鳥のさえずり」純米吟醸(30%ブレンド)


<4> 冷製茶碗蒸し・あわび・うに,銀あんかけ
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合わせるお酒 神亀「小鳥のさえずり」純米吟醸(14度に割水)


<5> 神亀吟醸酒粕とクリームチーズのコロッケ、ホタテのバター煮、自家製ぬか漬け
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合わせるお酒
コロッケの中身……神亀ひこ孫純米大吟醸
コロッケの衣………神亀ひこ孫純米
中身と衣いっしょ…神亀ひこ孫純米吟醸(9号)


<6> かんぴょうと野菜のまかない混ぜごはん、しじみの潮汁仕立て
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合わせるお酒 神亀純米華吹雪

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合わせるお酒 神亀ひこ孫純米吟醸(9号)(12.8度に割水)


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あいさつする みを木 渡辺女将

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あいさつする 神亀 小川原専務

 専務のお話は、具体的で、おもしろく、役に立つお話ばかりなのですが、それ故、ここに書くと言葉が一人歩きしてしまうおそれがありますので、書きません。いろいろなお酒の会に顔を出されていらっしゃいますので、ぜひ直接聞かれることをおすすめします。
このたびの大地震に被災された皆様に、こころからお見舞い申しあげます。

「みを木」の3回目のセミナーは、お米の違いを味わってみようという企画だったようです。しかし、この大震災で、東北(福島・宮城・岩手)・北関東(茨城・栃木)のお蔵の中には、大きな被害を受けたところも多く、いつも、お酒をたのしませてもらっているのだから、こういうときこそ応援しようというわけで、この5県のお蔵のお酒を飲んで、義援金を募ろうということになりました。

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今回飲んだお酒(写っている銘柄は一部)

お店が用意してくれたのは
・伯楽星 新澤醸造店・宮城県大崎市
・綿屋  金の井酒造・宮城県栗原市
・萩の鶴 萩野酒造・宮城県栗原市
・日輪田 萩野酒造・宮城県栗原市
・山和  山和酒造・宮城県加美郡加美町
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・酉与右衛門 川村酒造店・岩手県花巻市      *酉与は一文字
・宮寒梅 寒梅酒造・宮城県大崎市
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・菱屋  菱屋酒造店・岩手県宮古市
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・大那  菊の里酒造・栃木県大田原市
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・大七  大七酒造・福島県二本松市
・蔵太鼓 喜多の花酒造・福島県喜多方市
・和の月 月の井酒造店・茨城県東茨城郡大洗町
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・國権  國権酒造・福島県南会津郡南会津町
・乾坤一 大沼酒造店・宮城県柴田郡村田町

このほか

・佐藤農場 金の井酒造
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・一ノ蔵
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・糀屋別誂
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・若狭屋徳市 月の輪酒造店
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女将が酒販店さんなどを通じて知った蔵元の状況や、参加者のなかでこの方面の事情に詳しい方のお話などを聞きながら、お酒を楽しませてもらった。

先年の宮城県内陸地震で耐震補強をしてたすかったお蔵
搾りの直前に停電してしまい、温度管理ができなくなって、吟醸酒として造っていたのに酒質が変化して普通酒としてしか出荷できなくなったお蔵
もろみに壁の土が崩れ落ちてしまったお蔵
津波ですべてが流されてしまったお蔵
停電で搾り機が使えなくなったところ、このお酒は我が町のシンボルだからと、生き残った発電機を搾り機のために使ってくれと言われたお蔵

計画停電で冷蔵保存ができなくなったり、風評被害がおこったりするかもしれない。復興への道は険しいわけだが、飲んでおカネがこれらのお蔵に回るようにすることが、一消費者のできる最大の応援である。

さいごに、肴のメニューを
・先付け ホタルイカの酢味噌
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・お造り 鮪、真鯛
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・焼物 鶏もも肉のチーズ焼
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・煮物 筍、蕗、海老
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・お食事 つくねうどん
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