　小林秀雄(1902〜1983)は、

　日本を代表する文学批評家です。

　太宰治や谷崎潤一郎など、

　多くの作品を深く読み解いた人です。

　その小林秀雄が、

　フランスの詩人ボードレールの

『青年作家への忠告』という文章を読んで、

　こんなことを言っています。

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　ボードレールのことだから、

　さぞかし洒落た忠告を

　述べているのだろうと思ったら大間違い。

　ことごとく平凡な助言が続くばかりだった。

　でも、考えてみれば、

　ちっとも不思議なことはない。

　いい助言かどうかは、

　結局「実行」してみないと分からない。

　助言というのは、ただのことばではなく、

「やってみること(実行)」を前提としている。

　だから、実行から離れた助言なんて、

　ほんとうは存在しないのである。

　そして、人が実行するときには、

　かっこいい実行も、ひねくれた実行もない。

　どんな人の実行も、平凡なものだ。

　平凡こそが、

　実行のいちばんの特徴なのだ。

　だからこそ、

　ほんとうに名のある助言というのは、

　どれも一見すると平凡に見えるものなのだ。

　たとえば「良薬口に苦し」とは、

　昔の人はうまくいったものだと思う。

　しかし、いまの時代、

　良薬を知らない人が多いだけでなく、

「苦い」と感じることそのものを

　知らない人も増えている。

　どんな助言にも、

　人にそれを「やらせる」権利なんてない。

　実行するかどうかは、聞く人の自由だ。

　でも、そのまえに大事なことは、

　助言というのは"説明"でも"分析"でもなく、

　いつも「行動を促すもの」だということ。

　そのことを絶対に忘れてはいけない。

　親身になって話しても、

　親身になって聞く人が少ない。

　それがすべての名助言がかかえる、

　悲しき運命なのだ。

　君たちはどれだけ、

「じぶんでやってみたことのない助言」を

　もうすでに知ってしまっているのだろうか。

　聞くだけ、読んだだけで、実行しないから、

　君たちは平凡な助言に飽きてしまっている。

　そして「新しく気の利いたことば」を、

　常に探し続けてしまっていないだろうか。

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　ぜんぶ、グサっときました。

　助言というのは、

「実行」と切り離すことはできない。

　そして「実際にやってみる(実行)」ほど、

　地味で、平凡なことはない。

「早寝早起きしなさい」とか、

「こつこつ努力を続けなさい」とか、

　そんなのあたりまえだと思ってしまいます。

　でも、そんなあたりまえのことを、

　毎日ほんとうに続けられる人が、

　いったいどれほどいるのだろう。

　今日も「わくわく海賊団」に来てくださってありがとうございます。

　平凡を続けられる人が、

　きっといちばん強いのだと思う。

やってみなはれ。