ソングテーマの「スィーツ」から連想して詠める歌、1首。

 

花の色も  香りも容ちも  損なはず

甘き蜜のみ  蜂は運びぬ

 

はなのいろも  かおりもかたちも  そこなわず

あまきみつのみ  はちは はこびぬ

 

 

人間が「十人十色」さまざまであるように、採れる花によって、

蜂蜜にも、それぞれに味や色や香りに個性があるそうです。

 

百の花があれば、百の蜂蜜が生まれるということです。

 

また、同じ花でも、採れる場所や気候によっても変化がみられ、現在、

世界に存在する蜂蜜の数は、なんと、1000種類を超えるそうです。

 

蜂蜜は大きく分けて二種類あり、

①花類から採れる花蜜(はなみつ)と、

②樹液から採れる甘露蜜(かんろみつ)の二つがあり、そして、

 

一つの花からだけ採蜜(さいみつ)された単花蜜(たんかみつ)だけではなく、

たくさんの花々の蜜が自然にブレンドされた百花蜜(ひゃっかみつ・マルチフラワー)があり、だから、全く同じ味・色・香りのモノは一つとしてなく、それぞれが唯一無二のモノなのだそうです。

 

さて、そのミツバチが蜂蜜をつくる養蜂(ようほう)ことですが、

これはかなり古い歴史があるようです。

 

日本で初めて「ミツバチ」のことが書かれたのは、

日本書紀の推古(すいこ)35年(627)の条(くだり)で、

「ハエの群れ」とあり、ハチであるとの認識がなく、

 

文献上で「蜜蜂」の言葉が初めて書かれたのは、

日本書紀の皇極(こうぎょく)2年(643)で、

 

百済(くだら)の皇太子・余豊(よほう)が、

奈良の三輪山(みわやま)で養蜂を試みたが失敗したという記事があり、

これが日本における養蜂のはじめというのが通説になっています。

 

奈良時代以降は、貴重な滋養薬(じようぐすり)として、

各地から天皇家などへ献上されましたが、

 

養蜂が本格的に行われるようになったのは江戸時代に入ってからで、

特に、土佐(とさ)産のものが高級品とされたようです。

 

ミツバチは花から花へと移動して花蜜(はなみつ)を集めながら、

雄花(おばな)の花粉を雌花(めばな)に受粉させるという働きを行っています。

 

このミツバチによる花粉媒介の働きが無ければ、

スイカやメロン・カボチャなどの農作物の栽培がうまくいきません。

 

ミツバチは花の色も香りもかたちも損ねることなく、

花から花へと飛び回りながら、

人間の幸福感を満たすスウィーツをせっせとつくり続けているのです。