日本版DBS法案が成立したとの報道があった。

 

 

 同法は『 子どもに接する仕事に就く人に性犯罪歴がないかを、事業者が、こども家庭庁を通じて法務省に照会できるようにする 』もので、『 照会の対象となる性犯罪歴には▽痴漢や盗撮などの条例違反も加え、▽すでに雇っている人も対象者に含める 』、『 「不同意性交罪」や児童ポルノ禁止法違反など、犯罪歴の確認対象となる罪を「特定性犯罪」として明示し、照会が可能な期間は▽禁錮刑以上の場合は刑の終了後20年、▽罰金刑は10年 』とあります。

 

 また、『 法律をめぐっては今後、▽「特定性犯罪」の範囲に、下着窃盗やストーカー行為なども含めること▽対象者に、ベビーシッターや家庭教師といった個人事業主も含めることなどについて、政府に検討を求める付帯決議が、衆参両院の委員会で可決 』ともあります。

 

 この件に関し、簡潔に意見を述べると、日本はやはり、民主主義国ではないのだな、という思いを強くした、と言ったところです。

 

 何故、そう思うのか、ですが。

 

 皆さんも存知の通り、現在、鹿児島県警の前生活安全部長であった本田尚志元警視正が同県警本部長・野川明輝警視長が不祥事隠しをしたとして内部告発したところ、同県警に守秘義務を破ったとして国家公務員法違反で逮捕される事件が起きています。

 

 

 ところがこの話、掘ってみると、別の内部告発事件が出てきたのです。

 

 元公安警察官の鹿児島県警巡査長・ 藤井光樹氏を4月8日に地方公務員法違反容疑で逮捕しているのです。

 

 藤井氏は同県警前刑事部長井上昌一元警視正(定年退職済)が中央警察署長時代に行った性犯罪の揉み消し疑惑に関する内部告発をネット新聞社HUNTER(福岡市)に対して行っており、その追及の為に必要な情報を提供した為、逮捕されたそうです。

 

 

 

 

 同時に内部告発を受けたネット新聞社HUNTER(福岡市)の中願寺純則代表の自宅を家宅捜索し、スマートフォン2台やパソコン、取材ノートなどを押収。

 

 しかも押収したパソコン内に残っていたデータを県警が権限もないにもかかわらず「内部情報だ」と言い放って中願寺代表が拒んだにもかかわらず捜査員が勝手に消去した上、その消去された内容に県警本部刑事部刑事企画課が作成した『刑事企画課だより』というものだったそうです。

 

 

 その『刑事企画課だより』を文字に起こした物が以下になります。

 

・ 事件記録の写しは、 送致 (付) した事件全てで作成し、保管する必要はありません

 ので,写しを作成する前に、その必要性を十分検討しましょう。
・ 現に保管している事件記録の写しについても、保管の必要性を適宜判断し、保管の

 理由が説明できず,不要と判断されるもの速やかに廃棄しましょう。

※ 最近の再審請求等において,裁判所から警察に対する関係書類の提

 出命令により,送致していなかった書類等 (以下「未送致書類」 とい

 う。)が露呈する事例が発生しています。
  この場合,「警察にとって都合の悪い書類だったので送致しなかった

 のではないか」と疑われかねないため,未送致書類であっても,不要

 な書類は適宜廃棄する必要があります。
※ 再審や国賠請求等において, 廃棄せずに保管していた捜査書類やそ

 の写しが組織的にプラスになることはありません!!

 

下線部、太字等、原文ママ

画像リンク http://img.cf.47news.jp/public/photo/716de78de409f619f65313dbe9179cf8/photo.jpg

 

 この文章、誰がどう読んでも、不正や不祥事の隠滅工作の為、文章を廃棄しろと言っているとしか思えません。

 

 これに関して松村祥史国家公安委員長が閣僚後の記者会見で文章は本物と認め(警察庁の出した文章廃棄の指示を、県警側で文章を改変して出したようです)、野川同県警本部長は議会で「誤解を与える表現があった」と釈明しています。

 

 

 

 本田元警視正と藤井光樹氏に対して行われた県警の一連の行動が、どうやら極めて悪質な県警による内部告発潰しで、家宅捜索も内部通報者と報道機関への見せしめだったのではないか、報道を委縮させて、警察の不正や不祥事は報道するなよという県警側からの恫喝だったのではないか、という見方が広がり、新聞労連が「権力の暴走」と抗議声明を出す事態にまで発展しました。

 

 

 ところが鹿児島県議会は、百条委員会の設置を、見送る可能性が出てきているようです。

 

 

 

 前刑事部長井上昌一元警視正による性犯罪揉み消し疑惑に関しては、報道を見る限り、医師会が関わっている問題のようなので、それで県議会では追求したくないというのが、県議会の一部の議員さん達の間であるのでしょう。

 

 ここまで御読み頂いて、どう思いました?

 

 正直なところ、警察の不正や不祥事に関しては、色々と調べていて、専門家の足下には及びませんが、普通の人よりは良く知っている方ですから、「またか」という感情しか持ちません。

 

 日本の警察、本当に腐敗しきっていて、腐りきっていますから。

 

 しかし、だとしても、です。

 

 こんな事件が起きて、警察の信用が大きく揺らいでいる時に、日本版DBS法みたいな、重大な人権侵害が生ずるリスクを持った法律を、普通、成立させますか?

 

 国会議員の人達が、未だに警察を信用しきっているのか、はたまた、国民の人権など侵害されようが知った事ではない、議員である私には無関係なのだからどうでもいい、仮に冤罪事件の被害者だったとしても警察に疑われて性犯罪者の前科や前歴をつけられた本人が悪い、等と考えているのか、真偽は不明ですが、鹿児島県警の問題が報道される中で日本版DBS法を成立された国会は、まともな機関とは言えません。

 

 だから「日本はやはり、民主主義国ではないのだな、という思いを強くした」のです。

 

 この国の警察を取り巻く状況は、何もかもが異常なんですよ。

 

 普通の国で鹿児島県警で起きている様な問題が浮上したら、大騒ぎになります。

 

 国の総人口の1%に迫る勢いの人数が集まった巨大なデモが起きてもおかしくないですし、マスコミも猛烈に非難するでしょう。

 

 国会も黙ってませんし、与党議員と野党議員、大臣らが問題視し、徹底的に真相究明と再発防止に取り組むはずです。

 

 そして警察自体も、事態を重く見て、謝罪し、関与者を速やかに処分し、再発防止に向けた動きを取ります。

 

 この国の現状はそうなっているでしょうか。

 

 そうじゃない事は説明不要だと思います。

 

 国会議員がまともに警察に意見しない、警察を改革しようとしない。

 

 この時点で、この国は民主主義国家でも何でもない、という事なのです。

 

 このように指摘すると「大袈裟だ」と思われる方もいらっしゃるでしょうが、そうではありません。

 

 国民の人権が侵害されているのに、政治家が、警察から国民を守ろうとしない。

 

 これは政治家に主権在民の思想がまるで定着していない事の現われだからです。

 

 また、問題が生じた時に、国民の側に立って行動し、問題解決を図る事で社会を正常化(健全化)させるのが民主主義です。

 

 その要となる政治家が全く動こうとしなかったら、民主主義なんて機能しないんですよ。

 

 つまり日本は、民主的なシステムだけを整えた、外観上は民主主義国に見えるだけの、非民主主義国家だ、という事です。

 

 日本は、どちらかと言えば、専制や全体主義国家に近いと思います。

 

 マスコミも相変わらずですよね。

 

 普段、警察からのリーク情報に事件報道を頼っている関係で、警察には逆らえませんし、関係もズブズブです。

 

 藤井光樹氏の事をきちんと報道しているメディアは、あまりない状態です。

 

 

 

 

 今はネットニュース社があるので、警察の問題でもある程度は取り上げてくれますが、そうでなければほぼ全滅です。

 

 マスコミが報道しない、追及しない、これでは国民は何も知る事ができず、抗議することすらできません。

 

 主要新聞社と多くのテレビ局の報道局の人達は、一体、どう考えているのでしょうか。

 

 皆さんは死のう団事件についてご存知でしょうか。

 

 

 

 私もこの事件について知ったのはつい最近ですが、この事件を知り、絶望しました。

 

 警察が出鱈目を働いても政治家がまともに働かないのは、戦前から全く変わっていないのだな、と。

 

 政治家であっても特高警察には逆らえない時代の特殊性はあったにせよ、その部分を割り引いても、落第と言わざるを得ません。

 

 マスコミの在り方も含めて、日本には、民主化が必要なのだなという現実を、痛感させられます。

 

 法律に関して言えば、簡潔に述べれば、時期尚早です。

 

 氷見事件があった事を忘れているのではないでしょうか。

 

 

 

 強制性交等罪の検挙件数は令和2年で1297件(検挙人員は1177人)、強制猥褻が3766件(同2760人)です。

 

ソース 令和3年版 犯罪白書 第1編/第1章/第2節/2

 

 性犯罪系は昔から、美人局をはじめ、濡れ衣を着せられる事の多い犯罪です。

 

 名前はまずいので挙げませんが、某お笑いタレントは10代女性に対する強姦の嫌疑がかけられ、示談が成立して不起訴になったものの、その後、様々な情報が出て、濡れ衣だったのではないか、との話もあります。

 

 元々、強姦罪自体、酔っ払った状態で女性とホテルに行き、関係を持ったところ、翌朝になって同意がなかったと言われ、警察沙汰になる等のトラブルがよく聞かれたもので、美人局や示談金目当てで相手を陥れる故意によるケースだけでなく、関係を持った後で理由をつけて翻意するような酷いケースもありふれた話となっており、元から冤罪発生率の高いものです。

 

 そんな性質の犯罪なのに、警察がいい加減な捜査をしたり、犯人だと決めつけてかかったり、罪を認めろと執拗に自白を強要してこれば、していない罪でも認めてしまう人が大勢出るのは言うまでもないことです。

 

 これは強制猥褻でも同じです。

 

 更に現在は不同意罪に切り替わった事で、より一層、冤罪が生まれ易くなっていると指摘されています。

 

 ネット工作してみると、性犯罪の冤罪率に関しては、かなり高い事が解ります。

 

 警察の体質(自白を強要する、犯人と決めてかかる、間違った時に認めて謝罪しないし処分も処罰もされない)が全く改善されていない現状で、日本版DBS法などが施行されたら、人権侵害の山を築くのは火を見るより明らかです。

 

 おまけに将来的にはストーカー行為まで含める方向に舵を切るようですから、呆れて物も言えません。

 

 以前、Wikipediaのストーカーの項目には、下記のような記述がありました。

 

1999年、王立精神科医学会により、ストーカー事件に対する関心が広まったことが原因で虚偽のストーカー申告や冤罪が生み出されているという報告がなされている[24]。また、レスター大学教諭のロレイン・シェリダンとエラスムス・ロッテルダム大学のE・ブラウの共同執筆の研究論文では、報告された357件のストーカー事件のうち、11.5%が冤罪、あるいは通報者の虚偽であり、このうちの7割が通報者の幻覚・妄想であることが報告されている[25]。他の研究でも、報告されたうち虚偽だったことが判明した64%が通報者の被害妄想だったことが報告されている[26]。

 

 元々ストーカーは冤罪率が高いのです。

 

 おまけに警察はストーカーにでっち上げる行為を働く事も現実にあるのです。

 

 駆けつけたのは尼崎東警察署の署員たちだった。現場検証がはじまり、A子さんは警察署で被害届を提出することに。やっとまともな “警察官” が現われた――。そう思った矢先だった。

「調書をつくる際、署員に『Xと連絡をいっさいとらない』という誓約書を書かされたんです。さらに『Xの連絡先や写真を全部消せ』『Xの家に行ったら、あなたがストーカーとして訴えられる側になる』と言われました。

 彼とのラインのやり取りや、スマホの写真フォルダの中も細かくチェックされ、削除を強いられました。事件のことでショックを受け、疲れ果てていた私は、言われるがままに消去してしまいました。でも、なぜ被害者の私が突然ストーカー扱いされたのでしょうか」

 現在、A子さんは弁護士に相談し、慰謝料と治療費を求める損害賠償請求の訴訟準備を進めている。

 

 

警察官が彼女を車で10m引きずり!兵庫県警が隠蔽した身内の不祥事「連絡先と写真を全部消せと言われ…」
社会・政治FLASH編集部
記事投稿日:2021.11.16 06:00 最終更新日:2021.11.16 06:00

 

 ストーカーでっち上げ事件の中には、執行猶予付きとは言え、有罪判決を受けてしまった、というケースもあると言われています。

 

 でっち上げが行われる場合、警察と自称被害者はグルですし、結託していますので、証拠の捏造が行われる可能性は十分ありますし、冤罪被害者がストーカーに見えるようにする工作が行われ、陥れられている可能性もありますし、その状況から冤罪被害者が自身の無実を証明するのは、非常に困難を極めると考えられます。

 

 先月(5月)に発生した新宿タワマン殺人事件でも、亡くなった女性が加害者である男性に『本当に結婚する気があるのなら、車とバイクを売ってお金にして』 と言ったという話を、男性の父親がマスコミに語った事が報道されて、結婚詐欺のような事が行われていたのではないか、騒ぎになりました。

 

 結婚詐欺師がよく行う手口に、結婚という言葉を記録に残さずに、結婚を匂わせて客に貢がせ、財産がなくなると、喧嘩になるように上手に仕向けて、喧嘩別れしたように装って客と別れて、元客となった相手が騙された事に気付き、返金を求めると、結婚の話は出していない、証拠があるなら出して欲しい、裁判で訴えるなり、警察に相談に行くなりすればよいと突き放し、それでも返金を求めて接触して来ようとしたら、元客である相手をストーカー化したとして警察に被害相談に行き、ストーカー規制法を悪用する事で相手を泣き寝入りするという悪質なものがあります。

 

 それで、被害者がそれをやっていたのではないかと疑う声が上がったようです。

 

 この話を取り上げたのは、あくまでも話題になったからで、この事件について言及するつもりは一切ありません。

 

 なお、被害者がそのような行為を本当に働いたのかは真偽不明で、警察の捜査がまだ続いているそうです。

 

 話を戻します。

 

 結局、何でこういう話になったかと言うと、よくあることだからです。

 

 

 ストーカー規制法は金の借り逃げや離婚トラブル、結婚詐欺でよく悪用される代表的なツールで、彼氏(彼女)から借りた金を返さずに逃げ切ろうとして返済メールと返済電話、返済の為に自宅や勤め先を訪れた事実をストーカー行為と偽って警察に被害相談す。

 

 離婚する何カ月も前から巧妙に罠を張り、夫(妻)がストーカー行為を働いたことにして警察に突き出して、自分に有利な条件で離婚して親権と慰謝料を分捕ろうとする。

 

 警察が交際の事実を認定しないように注意しながら客と接し、客が自分に惚れていると勘違いするような言動を取り続けて、様々な理由をつけては貢がせ、結婚という言葉を残さないように、結婚を匂わせて金を出させて、客から全ての金を巻き上げたら捨てる、返金を求めてメールや電話、自宅に押し掛けてきたら、ストーカーとして警察に突き出す。

 

 こういったストーカー規制法の悪用は、ありふれたものでしかないのです。

 

 そしてでっち上げるのも、準備期間を数カ月間かけて、用意周到に実行すれば、意外と簡単にできてしまいます。

 

 それ以外にも、特定の宗教団体(特にカルトと呼ばれているようなところ)であったり、警察と太いパイプを持つ団体、有力者などから、何らかの事情から特定の人物をストーカーとする被害届や告訴状を受理して欲しい、といった依頼が来れば、便宜を図って受理するような不正に類する行為も、行われています。

 

 噂としてよく聞く話は、自称被害者の親、親戚が警察幹部で、自称被害者の話を鵜呑みにしてしまい、担当部署に指示を出して、ストーカーの被害届や告訴状を受理させてしまった、といった類のものです。

 

 この場合、本来であれば、警察に被害相談した際、それはストーカーではない、という結論に達する為、被害届や告訴状が受理されることのないケースでも、幹部からの指示ということで従わざるを得ず、受理したがストーカー扱いされている人物はストーカーでも何でもない為、結局、辻褄を合わせる為に、当該人物を罠に嵌めるなりなんなりして、ストーカーにでっち上げる、といった異様な行為も行われるようです(カルト絡みだと特に……)。

 

 警察ですが、仮に自分達が嵌められた、騙されたと気づいたとしても、既にその事実を公にすれば警察から処分者が出る、不祥事として報道せざるを得ない状況になっているようであれば、平気で隠蔽します。

 

 そのことに関しては、冒頭から取り上げた鹿児島県警の文書廃棄問題や愛知県警のパトカードライブレコーダー音声ファイル消去事件等からもよくわかると思います。

 

 

愛知県警のパトカードライブレコーダー音声ファイル消去事件の関連判例PDF

 

 国会議員は、被害者に寄り添う姿勢をアピールすれば、批判や非難もされませんし、支持も集められるのでしょう。

 

 逆に、この記事で書いてきたような、人権侵害の可能性を唱えて、国会で反対すれば、「お前は性犯罪者の肩を持つのか!」と、冤罪被害に遭った人が深刻な人権侵害を受ける事など考えもしない人や、そのような被害が出ても性犯罪を未然に防げるならばよいと軽い調子で同意する人間達から攻撃され、非難され、支持を失う事を恐れて、反対する事もできないのでしょう。

 

 特の衆院議員の場合、小選挙区からの出馬・当選者であれば、そのような反感を有権者から買えば、落選リスクが高まる為、議員として正しい行動が反対であり、正論をぶつける事が望ましいと理解していても、それをする勇気のある人は、滅多にいないのだと思います。

 

 冤罪被害者がこのシステムのせいで重度の人権侵害被害に遭い、その後に濡れ衣だったと明らかになって、冤罪を受けていた期間に生じた深刻な人権侵害の数々が報道されるような事にでもならない限り、自分達が何をしたのか、自覚することもないのでしょうね。

 

 無論、そのような事態になり、自分達のせいで人権侵害が発生したのだとしても、法案に賛成した議員達も、有権者達も、マスコミの人間も、誰一人として責任を取りもせず、涼しい顔で、善人面して生活し続けるのでしょう。