膵臓がん ステージ4 肝転移 腹膜播種あり


2泊3日の病院へ出張する日

つまり再入院の日の朝


主治医はパパを見るなり 

一瞬 固まった


余命宣言が頭をよぎる


かーくんさん すぐ入院しましょう!

お部屋をすぐご用意します


1週間前より更に体重が減っていた

明らかに痩せたと見て分かる


本来ならば 動く事もままならない

圧迫感により ご飯が食べられない

横になって寝る事が出来ず 極端な睡眠不足

意識障害が起きてもおかしくない状態


次男に言われた言葉が頭をよぎる




それでもパパは 笑顔だった

あんなに辛いのに どんなけ笑顔でいるんや

もっと苦しい顔してええで

こっちが苦しくなるわ

何度そう思ったことか…


先生 これ 書いてきたんやけど…


一枚のメモを手渡した


書道初段の資格を持つパパが書いたメモ

誰もが読みやすく 分かりやすい達筆な文字


か、かーくんさんが 書かれたのですか…?


メモを見た先生は 絶句した


パパは これから行うであろう自身の治療方針を

事細かくメモに記していた


もう出来る治療は ほとんどないであろう…

かーくんさんが 少しでも痛みから解放され

穏やかに過ごしてもらう事だけを考えよう


先生の心の言葉を 私は聞いていた



かーくんさん

すぐ腹水を抜きましょう!

最善を尽くします!

頑張りましょう!


先生は何かに取り憑かれたかのように

はっきりとした声で話をされ

深く一礼をして去っていかれた





ママ

何も心配あらへんで

俺は絶対死なんから!



パパの 

『生きる』が

先生に伝わった瞬間だ!