ネコミミの恩返し | 会計進化論。

ネコミミの恩返し


 さて、ひよこくんとニワトリ氏は、人材派遣業に着手するために、那古野市に戻ってくるのですが、彼らが西京市に行っている間の出来事を、ここで語っておくことにしましょう。


 ネコミミ氏にゃーは、優秀でした。


 それは、会計事務所の中では、その優秀さを鼻にかけず、むしろ進んで雑事をこなし、進んで顧問先のことを覚え、溶け込んでいったからでした。後から入った社員からは、もう10年以上のベテランだと思われるくらいでした。


 ネコミミ氏のポリシーは、顧客第一主義です。



 彼女が入所してから2年目のある日・・・


ブタ「所長、お電話です。タカアシ水産のタカアシ様からです」

ハロウィン「・・・もしもし、ニワトリです。タカアシ社長、いつもお世話になって

  います」

かに座「いやぁ、ニワトリさん、おたくのネコミミさんにゃーのことでちょっと話が

  あってね」

ハロウィン「ネコミミですか」

かに座「いやぁ、最初はオンナの担当者をよこすなんてと思っていて、相手

  にしないつもりだったんだが、こっちのかゆいところをうまくかいて

  くるというか、今までの担当者の中では一番面白いね。ありがとう」

ハロウィン「それは良かった」

かに座「うん、それだけだ。あんたもいい社員に恵まれたねぇ」

ハロウィン「ありがとうございます」



 電話が切れると、ニワトリ氏は内線をかけました。


にゃー「はい、ネコミミです」

ハロウィン「ニワトリです」

にゃー「お疲れさまです」

ハロウィン「今、タカアシ水産のタカアシ社長かに座から電話があったよ」

にゃー「え? ・・・クレームでしょうかしょぼん


 少し緊張した声で、ネコミミ氏は言いました。最近、立て続けに別の顧客のところでクレームをもらっていたので、徐々に声が小さくなります。


ハロウィン「『ありがとう』、だそうだ」

にゃー「ほ、ほんとですかビックリマーク


 ネコミミ氏の声に、思わず引き込まれそうになりました。それは本気で喜んでいました。ああそうか、彼女はきっと監査法人で生き抜くために、鎧(よろい)を身にまとったんだな。これが、本来の彼女なのだ。



ハロウィン「ネコミミさん、自分に自信をもちなさい。クレームをもらうのは、あな

  たがそれだけ動いた証拠じゃないか。大切なのはそれを悪化させ

  ないことと、2度と起こさない仕組みをつくることだ。僕はクレームを

  1つも起こさない社員なんて信用しないよ。あなたは『ありがとう』

  を言われるだけのことをやっているんだから、堂々と胸を張りなさい」

にゃー「ありがとうございます」



 さてこのとき、ネコミミ氏は、1つの想いを胸に秘めていました。クライアントから『ありがとう』がもらえる職場でしたが、監査法人時代とはまたちがう忙しさが、ここにはあります。「人が行う」という点は、少しも変わりません。


 そんな中で、事務所を去っていくものもいました。しかもネコミミ氏の後に入った若手が、次々に辞めていくのを見て、危機感を感じていました。これは、かつて自分がいた監査法人で、次々に入ってくる若手(ジュニアクラス)が辞めていくのとは、同じようで、しかしどこか拍車がかかっているような気もしていました。


 『若者は、3年以内に会社を辞める』


 ・・・いつの間にか、そんな風潮が世間に広がっていました。



にゃー「・・・次は、私が恩返しをする番だわ」



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【補足】

 今さらかもしれませんが、物語の会計進化論。は、4人の主人公がいます。ひよこくんヒヨコ、ニワトリ氏ハロウィン、ユキコ雪うさぎ、そして、ネコミミ氏にゃーです。会計事務所を舞台にして、彼らがどのように進化をするのか。そして、それによって、会計事務所がどう進化していくのか。そういうお話だと思って、お読みいただけると幸いです。


ただしフィクションですので、半分感情移入して、半分距離を置いて読んでいただくくらいが、ちょうどよいのかもしれません。今回のタイトルはジブリ映画から。