気づける人と気づけない人がいるだけ | 会計進化論。

気づける人と気づけない人がいるだけ


 さて、すっかり主役のはずのひよこくんヒヨコの出番が長らくありませんでしたが、昼間はニワトリ氏とともに西京市にある会計事務所の見学をして、夜は税理士試験の勉強やシャモ所長時代の話などを聞いていて、それなりにちがった充実感がありました。しかし・・・。


ヒヨコ「ニワトリさん、今日で20件目ですね」

ハロウィン「いやぁ、どこもみなさん素晴らしいね」


 その言葉には、何か引っかかるものがありました。いったいニワトリ氏は、何を考えているのでしょうか。そして、ひよこくんはいったい何をしているのでしょうか。季節は、春から夏に向かっていました。



ヒヨコ「でも、どうして僕なんでしょうか」

ハロウィン「ん?」

ヒヨコ「いや、僕は別に営業経験もありませんし、そもそも会計事務所で

  は下っ端ですよね・・・」

ハロウィン「それは前にも言ったとおり、『余計な先入観がない』からだよ」

ヒヨコ「先入観ですか・・・」

ハロウィン「先入観という観点から見れば、ひよこくんは今まさに染まるか染

  まらないかアートというちょうどギリギリの段階だったんだよ。今年でう

  ちにきてから3年目だろう」

ヒヨコ「はい」

ハロウィン「会計事務所のルーティーン業務は、3年やればたいていの流れは

  わかる。あとはそれをえんえんと繰り返していくか、資産税とか医業

  とか特化してコンサルティングを行っていくのがふつうだ。あるいは、

  最初から独立するのを前提にしている者もいるよね」

ヒヨコ「たしかに、周りを見るとそうかもしれませんね。今までお会いした

  事務所の方たちの中にも、そういうことをおっしゃっていた方もいま

  したし・・・」

ハロウィン「私も所長時代を含めて、この業界に15年以上いる。・・・まだまだ

  経験が足らないと怒られるかもしれないけど、正直ね、プレイヤーと

  しては、この業界に足を踏み入れたときから限界を感じていたんだよ」

ヒヨコ「限界ですか?」

ハロウィン「簡単に言えば、計算が苦手なんだよね。あはは。いつもトメさんに呆

  れられていたなぁ」

ヒヨコ「はぁ」

ハロウィン「だから経営者になれたのは、運がよかったと思う。運がよかったとい

  うよりも、周りも『ニワトリには申告書を作らせるな』というくらいだっ

  たからね」

ヒヨコ「それは知りませんでしたガーン

ハロウィン「まあ、そんなもんだよ。私は、鳥天使のように高いところから、大きな視

  点で見るのが好きだからね」


 そう言ってニワトリ氏は、いつものように笑いました。


ハロウィン「ひよこくん。税理士という業界は、すでに多くの規制緩和が起こり、ま

  た起ころうとしている。そんな中で、君は今後、今までの先入観の中で

  生きていくのは非常に危険なことなんだよ」

ヒヨコ「・・・」
ハロウィン「いつの時代も、若い人は、自分にとっての理想の青い鳥鳥を探し

  ている。僕らの時代も、君たちの時代もだ。しかしね、青い鳥なんていう

  のは、すでに誰の目の前にも当たり前のように存在して、飛び回ってい

  るんだよ」

ヒヨコ「当たり前のように、ですか・・・」

ハロウィン「そう。だからいつの時代も若者が気づかないといけないのは、青い鳥

  を探すことではなくて、青い鳥に気づくことができるようになるという

  ことなんだよ。多くの人は、目の前に青い鳥が羽を休めていることに、

  気づかないんだね」

ヒヨコ「でも僕は、別に青い鳥に気づいた気はしないんですが・・・えっ

ハロウィン「青い鳥に気づく方法はいくつかあるが、1つの方法は、今、目の前に

  ある仕事に専念することだ。こんなことは誰もが知っているというかも

  しれないが、それを実践している若者は、少ないんだよ。うちの若手だと

  ひよこくんの他には、ねこへびくんねこへびかな。まぁ、彼には別のチャンス

  を与えたけどねキラキラ


ハロウィン「ただし、ひよこくんはチャンスの1つをつかんだに過ぎない。それを今

  後の人生の中でどう活かすかは、君のがんばり次第だよ」

ヒヨコ「・・・。今の自分には、まだよくわかりませんが、チャンスを与えていた

  だき、ありがとうございます」


 そういえば、そろそろ名刺を作らないといけないな、とひよこくんはふと、

そんなことを思いました。それだけ、この数ヶ月間でいろいろなところを訪

ね歩き、いろんな人の話を聞きました。



ヒヨコ「きっと、あのまま事務所で働いていたら、気づかなかったな」



 大学時代の友人のうち何人かが、自分がやりたいことを求めて転職した

り起業したということを、人づてに聞きました。よく考えてみると今の自分は、

まるで転職をしたときのような経験を、させてもらってるんじゃないのか

な、とそんなことを思ったのでした。


ハロウィン「さぁ、かたい話はこの辺にして、ご飯にしよう」

ヒヨコ「あ! 待ってください」



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【補足】

 鳥が鳥の話をしてどうする・・・というツッコミはさておき、3年でたいていのことはわかるとか、そのあとは繰り返しか、特化するかだよ、といった言葉は、私が「実際に聞いたこと」を書いています。もちろんそれは、3年でわかったつもりになるというレベルかもしれませんが、しかし聞き逃せない言葉でもあります。


 また、若い人たちはいつの時代も「青い鳥症候群」に陥っているというのは、それほど間違った認識ではないような気がします。昨今は「この会社では成長できない」といって、早々と会社を出てしまう若者が増えていますが、青い鳥を探して別の会社に移ったとしても、青い鳥に気づく能力がないのであれば、また別の会社に青い鳥を探しに行くことでしょう。