こんにちわ。税理士の武田です。

経理業務には消費税の処理が付き物です。仕訳の処理をするたびに消費税の課税区分の入力を行っているという方も多いのではないでしょうか。

通常、消費税は会計ソフトに課税区分がきちんと入力されていれば自動的に計算されますので、それほど申告書に作成に手間どうことはないかと思います。というわけで何もなければそれほど申告に際して面倒なことはないのですが、イレギュラーなケースが発生した場合に見落としがちになりやすいもの確かです。今回ご紹介する固定資産の調整についてもその一つです。

消費税は取得に会計期間に全額仕入れ税額控除に対象になるのが一般的です。これは売り上げのほとんどが消費税の課税される取引で構成されているからです。しかし、例えば不動産の賃貸のような非課税売上が増加により、課税売上割合が大きく変動した場合、消費税の計算で調整を行うケースがあります。詳しい計算例はいろんな書籍に載っていると思うのでそちらを参考にして頂ければと思いますが、少なくとも売り上げの構成に大きく変動があり、課税売上割合が少なくなっているという業況があった場合、消費税の計算に影響するということだけは、経理スタッフであれば覚えておいてください。

ここで、この固定資産の調整に関する昨年の消費税法の改正をご紹介しておきます。なかなか興味深い事例です。例えば、これからマンションのオーナー業を始めたい人が12月中に1億500万円(500円は消費税分です)でマンションを購入したとします。個人で事業を開始する場合や資本金の少ない会社で事業をする場合は最初は消費税は免税です。そこでまず、あえて、免税事業者から課税事業者への変更の届け出をするわけです。また同時にマンションに自動販売機を設置してあえて課税売上を作っておきます。例えば月の売上が1050円とします。

そうすると、消費税の計算は売り上げに係る消費税50円-マンションの消費税500万円=△4,999,950円の還付というわけです。2年後にはもとの免税事業者にもどして消費税はゼロの状態にしておくというものです。

うまく出来たスキームですが、今回の改正をもって節税という意味での効果は薄れました。すなわち、固定資産を購入して3年間は免税事業者に戻れないという改正が行われたからです。3年間免税事業者に戻れない場合、上記の固定資産の調整の規定が適用され、課税売上金額の変動に応じて後々の年度において消費税の納付が発生することになるからです。というわけで節税効果は薄れましたが、納税を3年後まで延期できるスキームという意味では、資金繰りの厳しい開業初年度を乗り切るための措置としてはまだまだ効果はあるように思います。

ちょっと難しい話になりましたが、とりあえず、課税売上割合に大きな変動が生じた場合は、消費税に注意する必要があることくらいは覚えておきましょう!!