こんにちわ。税理士の武田です。本日は借地権についてです。

日本の会社の99%が同族会社といわれます。同族会社では社長と会社が一体であるがゆえに個人財産と会社財産がごちゃごちゃになってしまうパターンがよくあります。例えば現金残高が以上に多くなるというケースは会社の預金を社長が勝手に引き出して個人的な支出に使っている典型的なケースです。法律上は個人と法人の財産は別々であるという認識をもっていただけるよう経理部の方は社長さんにアドバイスしてください。

さて今回は個人と法人間でのやり取りで問題になることの多い土地の貸し付けについてです。

よく、社長個人の土地を会社に貸し付けて、工場を建てたり、駐車場に利用したりというケースを見かけます。この場合も、個人と法人は別々という認識を忘れないでください。すなわち、常識的に考えても土地を他人に貸すと賃料が発生しますよね。同じように同族会社への貸付の場合であっても、賃料を取る必要があります。これがないと、権利金の認定課税といって、本来受け取るべき権利金の受贈益があったものとして課税されます。

では賃料がいくらくらいとればいいのかということですが、更地価格の6%といわれています。けっして安い金額ではないかと思います。そこでよく利用されるのが「土地の無償返還に関する届出書」といわれるものです。

これは使用期間が終わった際に、立退料の受取無く土地を返還することを約束する書面であり、これを提出することにより借地権の移動はなかったものとされます。この書類の提出により、極端な話、地代をゼロに設定することも可能になるわけです。会社の資金繰りの関係などであまり多くの地代を支払えないという場合には検討の余地はあるかと思います。

但し、まったく賃料を取らない場合、相続税上の財産評価に際して、借地権の評価が行われません。要は仮に社長さんが亡くなられた場合、更地価格で評価されてしますのです。そこで、届出書の提出により、権利金の認定課税を避け、最低でも固定資産税+都市計画税の2から3倍程度の賃料が設定できるのであれば、賃料を取り相続税対策にも役立てるというケースがもっとも有効かと思います。