原価計算の勉強をしたことがある人であれば聞いたことがあると思いますが、管理会計といわれる分野では部門配賦という考え方があります。ただ、教科書通りにはいかないのが経理実務です。実際に間接費を各部門に配賦したまではいいけれど、それを見た各部門長から非難轟々という笑えない話も結構あるのが現実です。

その原因は配賦基準にあります。簿記検定などで習うような細かな前提は実務ではありませんし、その前提を作るために相当な労力が必要になり、大企業であればともかく中小企業であれば現実的とは言えません。そこでよく行われるのが、例えば各部門の売上などでえいやーで配賦してしまうのです。でもそれが正しいとも言えず、結局社内から批判の声があがり、やる気をなくしてしまうという経験がある方もいらっしゃるかもしれません。

いろいろ考え方はあるでしょうが、結局正解が分からないのであれば、配賦はしない、という考え方を私は取っています。つまり明らかに各部門で消費している費用だけで部門の業績をだし、間接費は別枠で管理するという考えです。そこでは単純な差し引き金額(利益)は意味を持ちません。意味があるとすれば間接費共通費をカバーする原資としての意味です。そのような部門別計算書を作成し、間接部門を含めた各部門で目標管理をすればだれも文句のつけようのない部門別損益計算書が作成出来るはずです。あとはそれをどのようにみるかの問題です。