経理担当者であればよく知っていると思いますが、法人税の申告書の提出期限は決算日後2カ月以内です。それを過ぎてしまうと、無申告加算税や延滞税の対象になるので、期限直前は徹夜で作業をしたという経験がある方もいらっしゃるかもしれません。そんな場合は、とにかく根性で終わらせるしかないのでしょうか。そんなことはありません。法人税法には申告期限の延長という制度が設けられています。この制度は会社法との整合性を取るために出来たもので、上場企業だと6月末にニュースで株主総会関連の報道がされているのを毎年聞かれるかと思います。これは株主総会は決算日後3カ月以内に開催しなさいと会社法に書かれているために、3月決算に集中する我が国の上場企業は6月末頃に株主総会が行われるのです。そして法人税の計算は確定決算主義といって株主総会で承認された計算書類に基づいて行わなければならないので、現実的に法人税法の原則である2カ月以内に申告することは不可能になっているのです。そこで1ヶ月間だけ申告期限の延長制度というのが設けられています。では、この制度上場企業だけのものかというとそうではなりません。みなさんの会社の定款を確認してみてください。たぶん、ほとんどの会社の定款には株主総会は3カ月以内に行うと記載されているはずです。この定款の規定を理由に税務署に延長の届け出をしておけば、中小企業であっても延長制度は認めてもらえます。決算が複雑な会社や経理担当者が突然退職したというようなリスクに備えてとりあえず延長だけしておくものよいかもしれません。ただし、税金の納付だけは2カ月以内に見込みで行わなければなわないので、その点はご注意を。