チームダイアリーをご覧の皆様、こんにちは。1年FW小島快より紹介に預かりました4年DFの井口健太郎と申します。
彼のいた時の塾高とは確かに私の高校3年生の時の関東大会などで対戦しましたが、私が当時意識していたのは同期の笹山や元々チームメイトだった3年田原で、彼のことは全く覚えていません。当時は私の印象には残っていませんでしたが現在は独特な先輩いじりで在りすぎる存在感を放っています。彼は生意気なところもありますが、同じセットでプレーするときはその持ち前の明るさと周りを鼓舞するガッツのあるプレーに先輩ながら何度も助けられました。たまにその熱意が行き過ぎて、「敵でこんな事されたら流石の俺でもキレるな」と思ったこともありますが、最近はそれも落ち着いてきて、彼の言う「敵の嫌がるプレーをする選手」になってくれていると思います。後述しますが、私が怪我で入院した際にはくだらない入院生活のあるある話も含め、定期的に連絡をくれたりもしました。明日の早慶戦では、そんな生意気さとガッツと優しさを兼ね備えた小島快の活躍に是非ご期待ください。
さて、この4回目のダイアリーを書くにあたって、私はシーズン序盤からどんなことを綴ろうかと時々考えていました。14年間のホッケー人生の振り返り。大学生活。周りの人々への感謝。引退を数日先に迎えた私は一体どんな心境でいるのか、輝かしいエンディングを妄想しながら引退までの過ごし方を考えていたのを思い出します。しかしながら、結果的に当時自分が想像していた引退前の姿とは全く異なるものとなってしまいました。小島快の私の紹介文で少々ネタバレされてしまっていますが、ここではその経緯と心境について正直に綴らせて頂きたいと思います。拙い文章ですが、最後までお付き合いいただければ幸いです。
昨年の11月27日、秋リーグの日体大との公式戦においてプレー中にフェンスに激突し右足の大腿骨を骨折してしましました。経験したことのないその激しい痛みから、ホッケーは大学までと決めていた私は一瞬にして自分のホッケー人生の終わりを悟りました。病院に運ばれてからの数日間、激痛に気を失いかけながら朦朧とする頭に様々な考えが巡りました。なぜこのタイミングなのか。何か悪いことをして天罰が下ったのか。チームが一番苦しんでいる時期に副将の自分は何をしているのか。不甲斐ない自分への苛立ちと最後までやり切れなかった後悔、チームや両親への申し訳なさなど、感情がごちゃごちゃになり、仕方のないことだったかもしれないと分かってはいてもなかなか気持ちの整理がつかない状態が続きました。入院中にコロナに院内感染するなど、長引く入院生活と進まないリハビリにどうしても気持ちが後ろ向きになってしまい、まるで悲劇の主人公になったかのような感覚にさえ陥りました。そんな心身ともに疲弊しきった状況の中で私を前進させてくれたのは、いつも自分のそばにいてくれた人たちでした。
真っ先に感謝を伝えたいのは、両親です。今回の怪我の件に関わらず、常に自分に一番近いところで静かに見守り続けてくれたのはやはり両親でした。これまでのホッケー人生、どのカテゴリーにおいても自分は特段活躍のできる選手ではありませんでした。最後ぐらい応援してくれる両親を喜ばせるようなプレーをしたい。そう思っていただけに今回の怪我でそれが叶えられなくなってしまったのが本当に悔しいです。父はいつも、試合に出かける前に「怪我にだけは気を付けて頑張れ。」と声を掛けてくれていました。昨シーズンの手首の怪我よって自分が苦しんだことを知ってくれているからこそ、最後のシーズンをやり切って欲しいという思いからの言葉だったと思います。そんな多くを望まない父の願いも果たすことができず期待を裏切ってしまいました。それでも両親は「頑張った。」「人生そんな思うようにはいかない。今は休んで、また頑張ればいい。」と寄り添ってくれました。これまで与えられてばかりだった恩にホッケーのプレーで返すことはできませんでしたが、これから少しずつ返していきたいと思います。もう少しばかり見守っていてください。
そして、礼を言わなくてはならないのはチームメイトでしょう。もちろん優しく声を掛けてくれた仲間もそうですが、なによりどんなに厳しい状況でも諦めることなく戦い続けてくれていたことに本当に感謝したいと思います。みんなが頑張っている様子を主将の笹山や母から電話で聞いたり、公式戦をライブ配信で観戦したり、LINEグループで活動の様子を見たりしているうちに、いつまでも自分だけがくよくよしてその場に留まっていてはいけないと思いました。必ず早慶戦までにチームに合流して、副将としてこのチームを最後まで見届ける義務が自分にはあると、そのことに気づかせてくれたのはチームのみんなでした。そこからリハビリを1日4回、高圧酸素カプセル治療に自主筋トレと、今の自分にできることを最大限行い、一ヶ月を経てなんとか松葉杖で歩行できるようになり、退院にこぎつけることができました。面会謝絶の中、一人で頑張って来られたのはチームがあったからです。今シーズン、やんちゃなでパワー溢れる後輩たちには本当に悩まされましたし、逆に自分の力不足で迷惑もかけました。良い時も悪い時も一緒にいたこのメンバーで、シーズン最後ぐらい笑っていたいと思います。早慶戦、勝ちましょう。
その他にも親戚や先輩、スタッフ、友人などからの多くの励ましの言葉をかけてもらい、自分が如何に多くの人たちに支えられていたかを再度実感しました。期待を裏切り、失望させたかもしれない。迷惑をかけたかもしれない。それでも自分を思ってくれる温かい心に救われました。本当にありがとうございます。今では引退までに残された極々僅かな時間で自分にできることを精一杯やって、大学でホッケーをやって本当に良かったと自信を持って言えるように頑張りたいと思えることができています。早慶戦でその勇姿をどうか見届けてください。
長々とした自分語りに最後までお付き合いいただきありがとうございました。
次回の今シーズン最後のダイアリーは4年DFの長谷部大地です。思い返せば彼との出会いは高校最後のインターハイ。当時明大中野に所属していた私は1回戦で長谷部率いる八戸高校と対戦しました。引退をかけたその戦いでは1-2で惜敗し、当時一度も話したことのなかった彼は私の中で憎き対戦相手となりました。大学入学前の合宿で再会した時には少しばかり敵対意識を持っていましたが、彼のなんとも掴みどころのないほんわかした雰囲気とたわしのような剛毛にすぐにチョロい奴だと分かりました。彼との共通の趣味などは一切ありませんが、なぜか凄く馬の合うようになり、今では飯に誘われたりよく話をしたりする仲です。また今シーズンは同じ副将としてお互い怪我で居なかった時期をカバーしながら切磋琢磨してきました。自分の居ない時も主将の笹山と協力してチームを支えてくれていたことと思います。そんな彼の最後のダイアリーには地元八戸魂溢れる素晴らしいダイアリーを期待したいと思います。それでは長谷、最後よろしく!