なんでアメリカはデモで燃えているんですか特論~暴力と警察~ | 慶應-ブラウン交換留学日記

慶應-ブラウン交換留学日記

慶應義塾大学から米国のブラウン大学に来ている者です。日常を記録していきます。
お問い合わせはkeio.brown2018@gmail.comまで(アットマークは半角に直してください)。

※この記事は2020年6月の上旬に書かれました。

 

先週、現在アメリカで起きているデモの背景や理由について解説した記事を書きました。

その結果、読んでくれた方から「勉強になった」「今までこの問題について知るきっかけがなかったけど、興味を持った」「寄付してきた」などと多数の連絡を受けました。また、読んでくれた友達が何人もが質問や議論もしてくれました。このように少しでも理解を深めるきっかけになれたなら嬉しい限りです。僕も議論を通してより深く考えることができています。

 

といっても、まだデモは続いています。なんとアメリカに存在する50の州全てでデモ活動が行われています。

また、イギリス、オーストラリア、さらには日本といった外国までデモ活動は広がっています。

 

さて、友達から頂いたコメントの中で特に目立った話題があります。それは

デモの暴徒化

についてです。

 

「なんでわざわざ略奪や破壊活動をするのかな?」

「怒ってても暴力を振るっちゃダメでしょ」

「ずっと差別を受けてきた人種の怒りが爆発するのは仕方ないのかな」

 

などと、デモにおける暴力性について様々な声を頂きました。やはり暴力は目立つのですね。

そこで今回は、前回の記事の内容を踏まえ、「勢力ごとに見た、今起きているデモにおける暴力の正体」というトピックについて書きたいと思います。暴力の動機、形、発生要因についてざっくりまとめることを目標とします。特に後半では、警察の影響について詳しく見ていきたいと思います。

 

読者層は、「今まで人種問題とかについてよく知らなかったけど、前回の記事読んで背景とか今何が起きてるかは何となく理解したお」程度の知識を持っている方を想定しています。そもそも現在起きているデモがどのようにして出てきたかあまり知らない人は、前回の記事を読んでから戻ってくることをお勧めします。

 

前回同様目的は情報共有なので、自分の思想や意見はなるべく出さないようにします(もちろん、情報のまとめ方にバイアスがかかるのは覚悟しています)。なので、「暴力は正当化される/されない」などといった議論はしません。このような微妙な問題に関しては、情報を得た上で自分で結論を出すのが一番健全だと思っています。

また、これも前回同様ですが、この記事は自分の勉強も兼ねて執筆しているので、自分用のメモを公開した程度に捉えてください。不十分や誤った記述に気付かれた方はご連絡ください。

 

なお、今回の記事では前回以上に学術論文を参考にしていますが、大学に所属している等論文をアクセスできる環境にいないと、全文は読めないかもしれません。ご了承ください。

特に、これらの論文に基づきデモ参加者の心理について数回解釈を試みますが、その知見はこの記事を参考にしました(該当箇所は★で記します)。

 

最後に、前回共有した募金先リスト、署名活動一覧を再掲します。以下、前回のコピペです。

------------------------------------------------------------------------------

フロイド氏の家族のGoFundMeページ 

 

Black Lives Matterの募金ページ 

※Black Lives Matterについての説明は前回の記事にあります。

 

アメリカの都市のBail fundの募金ページをまとめてあるオープンソースドキュメント

※Bail fundとは、保釈金を払えない人を援助するための基金です。募金したお金は、デモで逮捕された人のための保釈金となることが想定されます。

 

Canpaign Zeroの募金ページ

※Canpaign Zeroはアメリカにおいて警察による不当な暴力を防ぐために活動している組織です。

 

National Police Accountability Project(NPAP)の募金ページ

※NPAPは弁護士や法律家による、アメリカの警察の刑事責任を追求する組織です。

 

他にも色々な団体がありますが、なんと日本語でまとめているサイトがありました。英語分かんねえって人は見てみてください。

 

※追記:以下の団体は、既に充分のお金が集まったと発表しています。

Brooklyn Community Bail Fund

Minnesota Freedom Fund

The Northstar Health Collective

他にもあると思いますが、さすがに僕だけでは把握しきれません。もし、似たようなことを言っているほかの団体があれば、教えていただければここに載せます。

 

募金とは少し違いますが、この動画を再生すれば様々な団体に寄付が行われるそうです。広告収入で回しているとか(だから広告は飛ばさないでください また、Youtubeの仕様の都合上複数回再生したい場合は連続して再生するのではなく、間にいくつか別の動画を再生する必要があるらしいです)。お金がない人はこの方法を用いるのも手かもしれません。

 

 

また、署名活動も多く行われています。Black Lives Matterのページには、様々な署名活動へのリンクが載っています。署名にはお金も必要なく、1分程度で終わるので、上記の方法を取りにくい方に都合がいいのではと思います。

---------------------------------------------------------------------------------------

 

目次

0.はじめに

1.デモ参加者(暴力否定派)

2.デモ参加者(暴力許容派)

3.デモ潜入者

4.警察

5.アメリカの反応

おまけ:日本における政治的発信

0.はじめに

前回もちらっと触れましたが、デモについて一点、多くの人が勘違いしていると思われます。それは、
 

大半のデモは平和的である

 
という点です。

 

少なくとも、そういった報道を、政治的に中立であると評判のあるメディアが多くしています。
 
例えば、この記事では、6月2日の夜には"most protests passed peacefully"(殆どのデモは平和的に行われた)と明記しています。
また、この記事は、「デモの暴力的な様子の報道が目立ち、平和的な抗議者が隠れてしまう」と訴えています。この記事では「炎や略奪の報道が多く、まるでこの国が崩壊しているような印象を与えるが、国は崩壊中ではない。炎上していない。」と主張するジャーナリストも紹介されています(この記事のタイトルを真っ向から否定されました)。
 
SNSでも、平和的なデモの様子を拡散するユーザーが多いです。
元ツイはこちら
+
元ツイはこちら
元ツイはこちら
暴力を働いているデモ参加者を止める人の動画も挙がっています。
 
以降は、大多数のデモが平和であることを踏まえた上で、デモが暴徒化する要因を、参加者層ごとに考えていきます。

1.デモ参加者(暴力否定派)

前回の記事でも紹介しましたが、デモに賛同・参加している人の中でも、暴力の正当性についての意見は割れています。まずは暴力をよしとしない層について簡単に記述します。前回紹介した、(ブラウン大学の匿名掲示板から見た)彼らの言い分を再掲します。
  • 無実な小さいビジネスが巻き込まれた場合、彼らの生活が壊される
  • 暴力を振るうことはフロイド氏の意にそぐわない
  • 暴力を用いれば抗議の主張までもが不当なものとして認識される
  • 平和に社会改革を実現できた例は多くある
これに加え、今回はもう少しニュアンスのある意見を一つ紹介したいと思います。
  • 確かに暴力は良くない。しかし、暴力を批判するだけでは、デモのそもそもの原因である人種差別や、それ故に人の命が失われた事実から注目が離れる。暴力についてしか目を向けないのは優先順位が間違っている

↑全面的に暴力的なデモを批判する賛同者に、上記のような理由で反論しています。元ツイはこちら

2.デモ参加者(暴力容認派)

この層が略奪などの行為に走っていることは日本でもよく報道されていますね。この暴力の動機も、前回紹介した言い分を再掲します。
  • 物が壊されるよりも命が失われる方がよっぽど大事(これは、前セクションの最後に紹介した意見と重なりますね)
  • 黒人でない人は、黒人がどう自分たちの権利を主張するかに意見する立場にない
  • 平和的な抗議は長い間行われてきたが、効果がない
  • 歴史に残っている革命は暴力を用いて成された

特に、「自分のコミュニティを荒らすな」と言う層へ、「何故そうなっているか考えてみろ」と強く反発する女性の動画を以下に共有します。彼女に賛同するか否かに関わらず、暴力容認派の言い分を非常に分かりやすく説明してくれているので、英語が分かる方は全部見てみることをお勧めします。特に最初の方は、黒人が略奪を行う必要を感じるのは、差別を通して経済格差を生んできた白人の責任であると説明しています。最後のまとめは訳してみます。

おにおん意訳(5:24~):「社会には契約がある。貴方や私が窃盗を働いたら、権威者が割り込んで状況を正す、という契約だ。でも私たちはその権威者に殺されているんだ。だから社会的契約は破られているんだ。契約が破られてるんだから、お前らのフットボール殿堂やターゲット(注:大型スーパー)が燃えようが知ったことじゃねえ。私たちが街中で殺されたのにも関わらず、お前らはクソ程も気にしなかった。その時点で契約を破ってるんだよ。(中略)黒人の目的が、復讐じゃなくて平等な権利であることに感謝すべきだ。

 

とある研究では、人々は「何かを成し遂げたい」といった目的意識よりも、政府をはじめとする、権力を持っている機関に自分の声が届かないと感じた場合、デモ参加者はより暴力的な手段に訴えやすいと結論付けています。上の動画の女性も、「警察が社会契約を守ってくれない」と、権力に対する深い失望を露わにしています。この研究成果の結論に従えば、このような絶望感が直接デモの暴力の燃料となっているという仮説を立てられます。また、暴力容認派と否定派の心理状態の違いもこれに起因するのかもしれません。★

3.デモ潜入者

白人至上主義者がデモに紛れ込んで場を荒らしていた、という報道もいくつかありました。彼らはデモをより過激にして、デモ賛同者への印象を悪化させる目的があったと想像しています。単純明快ですね。

Twitterでも、白人至上主義団体がantifa(アメリカでの極左をこう呼ぶことがある 先日、トランプ大統領はantifaをテロ組織に指定すると発表した)を名乗り、暴力を煽動する事例がありました。

4.警察

ここからが本題です。
 
デモを鎮圧するために各地で警察が動いています。暴徒化したデモを鎮圧するために暴力を用いるのは当たり前だ、といった見方が特に右派において強いです。例えばトランプ大統領はTwitterで次のように発言しています。
 

↑「ホワイトハウスの柵を乗り越えてくるような奴がいたら、狂暴な犬や最恐の武器で迎え撃ってやっただろう」と発言しています(元ツイはこちら

 

しかし、暴徒化したデモも、警察が介入するまでは平和だったという報告も非常に多く見られます。
 
例えばこの記事では、ヒューストン市で行われた平和的デモが、警察の介入によってエスカレートした様子が描かれています。
 
似たような事例がハリスバーグ市でも報告されています。探せばもっと出てくると思います。
 
平和な抗議者、及びデモに関係のない一般人にまで警察が過剰な暴力を振るう動画も後を絶えません。
 
このツイートでは、デモの最中帰宅中の男を警官が3人がかりで殴り掛かる様子が映されています。
次のツイートでは、平和なデモを行っている集団に警官が棒で殴り掛かっています。
また、次のツイートでは、警察と対話を試みる男性が警官により押し倒され、頭部から出血し気絶するも、警察に無視される様子が見られます(出血の様子がはっきりと映っているので、閲覧注意です)。
上のツイートに映された事件に対し、警察署は当初「男は滑って転んだ」と発表しましたが、市民から大きな反発を受け、関係していた二人の警官を給与なし停職処分としました。この判断に不満を持った警官57人が辞職しました(ソースはこちら)。
 
警察による、デモの鎮圧活動によって、命を失った人も何人かいます。
例えばレストランの店主であったデイヴィッド・マッカティー氏は、デモ鎮圧のため警察が放った銃弾に当たり死亡しました(詳しくはこちら
 
このような状況下で、、デモ賛同者の中では警察の信用は地に落ちています。
市民の反感が非常に分かりやすい動画があるので、紹介します。動画では、ロサンゼルス警察の署長マイケル・ムーア氏含め何人かのお偉いさんが市民を声を聞くために開いたzoom会議の一部です。発言者は一般市民です。

おにおん意訳:「Black lives matter (このフレーズについては前回の記事を参照)、警察の予算を減らせ。LA警察が平和なデモ参加者を街中で殺していて反吐が出る。数日前、俺の友達2人がビバリー・ヒルズのデモに参加した。そのデモは最初平和的だったのに、後から警察がやってきてゴム銃弾撃ったり催涙ガス放ったりと過激な力を用いやがった。これで市民を守っているつもりか?ふざけるな!くたばれマイケル・ムーア。お前は署長の座に値しない。恥を知れ。俺のチ〇コを加えながら窒息しろ。これで以上です。Fu*k you!」

 
デモ以外の現場でも、警官が権力を乱用する動画はいくらでもあります。
例えばこのツイートでは、令状なしで玄関を叩き壊され、銃を突き付けられたヒスパニック系の男が警官の身元情報を要求しています。
ほかにも#bluefall や#policebrutality #bluelivesdontmatter で検索すれば、似たような動画が出てきます。
#acab というハッシュタグを目にした方もいるかもしれません。これは"all cops are bastards"(全ての警官はクズだ)の略です。
 
★ここでまた心理学の研究を紹介します。この研究では、権力を持つ機関が非人道的であると考える人は、過激な手段で抵抗を試みやすいと述べています。この結果と、警察の介入によってデモの暴徒化が進んだという報告を考慮すると、特に目の前で警察がゴム銃弾や催涙ガスなどを用いてデモの鎮圧を試みた場合、デモ参加者は警察=非道徳と認識するようになり、デモが暴徒化するリスクが高まると言えると思います。単に警察の行為が現場の混乱やパニックを招く、といった側面もあると想像しますが。★
 
このような警察の権力乱用を防ぐために、例えば#eightcantwait といったハッシュタグがあります。これはCampaign Zero(注:募金先リストを参照)による活動で、以下の8つの対策を全米の警察署に導入してもらうことを目的としています(eightcantwaitのHPはこちら)。
  • チョークホールド(人の首を強く締め付けて拘束すること)を禁止する
  • 警官が暴力に訴える前に、言葉を用いて危険な状況を緩和する努力を行うことを義務化する
  • 銃を発砲する前にその旨を宣言することを義務化する
  • 銃を発砲する前に、他に取りうる手段全てを試すことを義務化する
  • 過剰な暴力を用いる同僚を目撃した警官が、それを止めに入る義務を設ける
  • 動いている車両への発砲を禁止する
  • 銃など高い危険性を伴う手段を用いる状況を限定する
  • 市民に対し警察が暴力を使用した際は包括的な報告を要求する
一方で、左派においては警察という組織を解体すべきだ、という意見も存在します。
 
「そんなことをしたら犯罪者がやり放題じゃないか」という反応が普通だと思います。
それに対し、反論として挙げられている点を幾つか紹介します。あくまでも一部で、調べればもっと細かい議論が見つかると思います。
  • 警察の活動を減らした結果、治安が良くなるといった研究結果がある。例えばかの有名なNature誌に掲載された論文では、ニューヨークにおいて警察の活動が抑えられた期間中、市民による重犯罪の通報が減ったと結論を出しています。
  • 犯罪を取り締まるのではなく、福祉を充実させた方が犯罪が起きにくい環境を作れる。警察による取り締まりにおいて暴力がむしろ増長されている例を見て、社会環境を改善し個人の幸福を上げた方がが犯罪を減らせる、といった考えです。例えばこの論文にあるように、社会において貧困層の生活の質の向上がの上昇と犯罪率の低下に相関があるといった研究結果はよく報告されています(この論文では因果関係についてまでは結論を出していません)。
  • 警察官にはDV加害者が多い。この論文では、警察官の40%がDVに加担していると報告しています。論文では、警官になるような人がそのような特性を持っているのではなく、警察の仕事の特徴上、DVに手を出す確率が高まるとしています。(この研究には、サンプル数が少ない等の欠陥があると指摘されています)

「警察の解体」とまでは言わなくても、上記のような理由で警察の予算を大幅に減らし、代わりに他の福祉サービスに充てるべきだという声はよく聞きます。この層は、警察の仕事の幅が広すぎることを問題の一つとして挙げています。

次のツイートは、ロサンゼルスにおいて、警察に割り当てられる予算が他のサービスと比べて桁違いに多いことを指摘しています(データ元は画像内にありますね)。

 

警察の組織改革を訴える人も多いのは言うまでもありません。

 

警察の予算を減らす、という意見に対しても、特に、デモの思想に反対している層は「リベラル派は無法地帯を作ろうとしている」と批判の声が多いです。

元ツイはこちら

 

また、特に#acab や#bluelivesdontmatter といった、警察全体を侮辱、あるいは全ての警官の命を軽く見ているようなスローガンに対する批判も右派内では多いです。「暴力を振るうような警官はごく一部で、大多数の警官は正しく振舞っている」と主張する人が多いです。特に、この主張をするために"a few bad apples"というフレーズがよく使われています。直訳すれば「たった数個の腐ったリンゴ」と、多数いる警官(リンゴ)の中で腐っているのは数人(個)であるといった比喩表現ですね。

これに対し、左派には「a few bad applesの問題だったらこのような事件がこんなに頻繁に起きるわけないだろう、組織的な問題だ」と反論する人が多いです。警察による黒人差別の統計に関しては、前回の記事を参照してください。

 

5.アメリカの反応

さて、これまではデモ関係者を勢力事に分類し、各勢力と暴力との関係を説明してきましたが、アメリカ全体で見るとどの勢力が主流なのでしょうか。
このトピックについて、ロイターズ誌が成人(18歳以上)のアメリカ市民に対して2つの調査を行いました。一つは今回の騒動についての調査、二つ目は今回の騒動に限らず、トランプ大統領の支持率や今年の大統領選挙についての調査です。結果を以下にまとめます。
  • デモ参加者に同情的な者の割合は64%。そうでない者の割合は27%。分からないと回答した者の割合は9%。
  • デモに対するトランプ大統領の対応について、55%以上の者が批判的だった。特に40%の者は「強く批判的である」と回答した。トランプ大統領の対応について好意的な意見を持っていた者の割合は3分の1。これはトランプ大統領の支持率の39%を下回る数字である。
  • 今年の11月に行われる大統領選挙において投票登録をしている市民のうち、47%が民主党の候補ジョー・バイデン氏を支持すると答えた。トランプ氏を支持すると答えた市民の割合は37%。
  • アメリカ国民の保守派のうち、トランプ大統領の対応に肯定的なのは67%。これは、82%という、保守派内でのトランプ大統領の支持率を下回る数字である。
  • 警察の対応に好意的だったのは国民の43%、否定的だったのは47%。好意的だった層の大半は保守派、否定的だった層の大半はリベラル派だった。
  • 以上のデータのうち、今回の騒動に関係するものの誤差は±4%。支持率等に関するデータの誤差は±3%。

この結果をどう解釈するかは読者に任せます。

 

 

おまけ:日本における政治的発信

さてアメリカの話はここまでにし、日本における政治との付き合い方について少し話したいと思います。若干愚痴なので不快に思う方もいるかもしれません。
 
※ここまで人種問題について話してきて、ここでは政治的発言について話すわけですが、「人種差別は政治的問題ではなく人権侵害の問題だ」と言う人も多いと思います。しかしここでは便宜上政治の問題とさせてください。
 
注)あくまでもおまけなので、ここからは自分の主観、思想をガンガン出していきます。
 
 
このブログで僕は殆どアメリカの話しかしませんが、僕は国籍的にも人種的にも日本人です。両親も祖父母も同じく。
そのような日本的家庭に育った僕は、小さいころからずっと次のように言われてきました。
 
「外で政治の話をするんじゃないよ。」
 
以前、家族と外出している時に、何かがきっかけで僕は親にアメリカ政治についての意見を言いました。その結果、親に「外でそんなことを言うんじゃない」と叱られました。反論を試みると、「あんたまだまだ子供だね」と、小馬鹿にされました。
また、2016年の米大統領選挙の行方を気にしていた時、「お前なんでそんなマジになってるのw」と何人かに言われました。
何人かの日本人の友達にこの話をしたところ、似たような経験のある人が多いことが分かりました。
 
とにかく、日本文化において政治の話は普遍的ではないですよね。
 
例えばSNSで政治(最近だと安倍総理のコロナ対策や、検察庁法改正についてですかね)について発言すると「あいつ意識高えな」「何偉ぶってるの」等、あまり好意的でない印象を受ける方がある程度いると思います。そうでない人も、「あいつ政治なんかについて考えててすごいな」と、政治的発言を、自分はしないことであると認識している方が多いと思います(実際、前回の記事を投稿した後、友達からこのようなメッセージを頂きました)。もちろん例外は沢山いるよそうじゃなきゃ政治家とか官僚とか生まれないもん。
また、政治家を批判すると「政治家だって人間なんだから、そこまで言うのはやめてあげようよ」という声も聞きます。これは特にコロナ対策について批判された安倍総理や小池都知事についてよく聞きました。
確かに、外見や性別、生い立ち、その他もろもろ政治とは関係ない要素を用いて政治家を叩く人は一定層いて、彼らの発言に対しては「政治家も人間なんだから…」という意見は非常にもっともであると思います。
 
しかし、純粋に政策を批判する発言は、むしろして当たり前なのではないでしょうか
 
建前上この国は民主主義で、国民が政治に参加する理念のもと成り立っているはずです。
なのに参加率低くね。
別に投票率のことを言っているわけではありません(投票率を上げるメリットデメリット及び必要性についての議論はしません)。選挙に行っても行かなくても、当選した政治家の任期中に意見を伝えなければ、その政治家は貴方に都合のいい法や政策を作るインセンティブがないわけです。政治家からしたら、「みんな満足なんだから何もしなくていいや、選挙直前にそれっぽいことやっとこ」という理屈が成り立つわけです(実際に政治家がこう考えているとは言いませんが、僕だったら多分そのうちこうなります。だって考えるのってめんどいもん)。
 
別に「お前ら積極的に政治について意見言ってけ」と言っているわけではありません。理解してなかったり興味のなかったりする問題については無理して発言する必要なんでないと思います。興味ないんだもん。例えば僕の場合、どこかの議員が外出自粛中に風俗行ったところで「ワロタ」以上の反応をする気になりません。そういう日は、SNSでも「ナタリーポートマンかわいい」みたいなことしか言いません。
↑かわいくね?(画像: https://www.biography.com/actor/natalie-portmanより)
 
ただ、ある日興味のある、あるいは自分の利害に直接関係するような政治的話題が出てきた時くらいは、意見の発信を選択肢の一つとして認識してもいいんじゃないかと。認識した上で「発言する価値そんなないな」と判断しても別にいいと思います。例えばこの記事でも、初めてこの問題について知る人になるべく先入観を植え付けないために、自分の意見を明記しないと判断したわけです(なんとなくは分かると思いますが)(僕の意見が気になる人は僕のSNSを探すか、或いはメールしてください)。
そして政治的発言・発信をしたり聞いたりするのに、抵抗のない人間がマジョリティになればいいなーなんて思ったり。