音楽半生記⑦音楽書担当として | 松本景の Pianissimo diary

松本景の Pianissimo diary

音楽の事、お寺巡り、猫との暮らしなど、日常の些細な事まで、徒然なるままに記した日記です♪

書店員というのも大変な仕事で、僕の働いていた所は巨大な大手だったので、繁忙期などは、
店内を真っ直ぐ歩くことも出来ない状況でした。

そんな中僕は、文学や芸術を扱う課に配属になり、
その中でも音楽書を担当していました。
楽譜の問い合わせなどが多く、例えば「○○○○○」の楽譜はありますか?と問い合わせがあった時、
使用用途を伺い、それ用の楽譜を探さなければ
なりません。
ピアノ譜を必要としている方に、
バンド譜を提供しても、
後々トラブルになりかねません。
僕は決して優秀な書店員ではありませんでしたが、
そういう部分では、僕のなけなしの知識も
役に立ったのかなと思います。

ウチの課は、他にタレント本なども扱っていたので、サイン会などの催しをすることもしばしばありました。
若い方はご存知ないかも知れませんが、
「悲しい色やね」の上田正樹さんのサイン会が
あった時に、少しお話を伺い、
当時還暦になられるかどうか、そのくらいの
お歳だったと思いますが、
「グラミー賞を取るのが今の夢やねん」と、
本気でおっしゃる姿が印象的でした。

準社員というポジションでしたが、
退職時にはお花や贈り物を頂き、
自分が思っていたより手厚く送別して頂きました。
誰かがギターを持って来ていて何かを
演奏してくれたのですが、ご返杯に、
「TRUE LOVE」と「真夏の果実」のひと節を
弾き語りました。
居酒屋で、まぁまぁのボリュームで(笑)

音楽の演奏や制作とはまた違う、
"音楽の現場"での経験は、
自分にとって、とても貴重な時間でした。

この時既に、大阪北新地のピアノラウンジで
週に2日程演奏をしていまして、
そちらのママから常勤のご依頼を受けて、
書店員としての2年半程は
終わりを告げました。

ちょうどこの頃が、
挫折感と共に途方に暮れた
27,8だったと思います。