~森の中で~
光射すとても静かな小さい森で、1人の少年が何かを探していた。
「ないなぁ・・・シルク草」少年はため息をついて、また辺りを見回したり、木の根っこ辺りや岩の隙間など、細かく調べていった。
♪
数時間後・・・。やはり見つからなかったのかガックリと気を落とし、森を後にしようとした・・・その瞬間!!
周りから何かを“切り裂く音“が聞こえてきた。
少年はその音に気がつき、近くにあった岩の陰に隠れて耳を澄ました。
音はどんどん近く大きくなり、あまりに危険と感じた少年はその場を離れようと、後ろに少し下がった。っとその時!!
「ガァアアアアアア!!」
大きな声とともに、隠れていた岩が切り裂かれ、少年は顔の前に腕をクロスして、硬く目を閉じ受身をとった。
薄っすらと目を開けて、目の前にいるものを確かめた。
すぐさま目に入ったのは、少し湿ったウロコ。他には、尾の長いしっぽにコブラのような鋭い目つき、岩さえも切り裂く先とがった爪・・・。誰が見ても分かる。
ラミアだ!!
ラミアは少年に向けて爪を横に振った。爪は少年には当たらなかったのだが、杖に当たり、弾き飛ばされてしまった!武器も持っていない少年はなすすべもなく今にも殺されそうだ。
ラミアが先とがった爪を少年に向けて、構えた瞬間!!
「やぁーーーッ!!」
杖を持った青年が、何処からともなく少年の前に現れた。
青年は杖を構えて、攻撃態勢に入った。
「王子に、指一本たりとも触れさせるかよ!!」青年は魔術をラミアに向けて放った。すると、ラミアの周りに風の気流が生まれ、鋭い風がラミアを切り裂いていく。
「ギガァアアアアア!!」
切り裂かれたラミアは森の奥底へ去って行った。
「お怪我はないですか?王子」青年は自分の肩と手を貸し、少年を立ち上がらせた。
「うん・・・。助けてくれてありがとう、ラティス」
少年は今にも泣きそうな顔をして、ごめんなさい。っと言った。
ラティスと呼ばれた青年は不思議そうに首を傾げて聞いた。
「どうしたんですか?」っと、 少年は質問に答えた。