5本のコンガをしなやかに叩くその音の響きの美しさに、一瞬でやられた。

半年以上、自分の探し求めていた師にやっと出会った瞬間だった。なんの迷いもない。

 

 ”私はあなたにコンガを習いたいです。”

 

 コンサートが終わってすぐ、楽屋に駆けつけこういった。

そして、電話番号が書いてある紙を渡され、翌日、早速 電話してすぐにレッスンは始まった。

 彼はマンハッタンでラテンパーカッションスクールで

コンガの講師をしていたが、学校で教えるのはいやだと言ってやめて、今は個人でクラスを開いているがこれも最後だと言っていた。

 そして、私は週に一度、ブロンクスにある彼の家に通った。その頃は20数名が習っていた。

とりあえず、サルサの基本のリズムをやりながら叩くと言う普通のクラスをしていた3ヶ月くらい経った頃、

 

 ”自分はこれ以上 誰も教える気はない。ただし 最後に一人、お前を教えることにしたから、残りの全員は

やめてもらうことにした。”

 ”それで今日から、本当のクラスの始まりだから、今まで教えたことは全て忘れろ!” 

  ”音は耳と目と心で聴くものだ。

忘れるな! そして、これから一切のコンサートを見に行くな。公園やどこかで一緒に誰かと叩いたり、見るのもだめ。とにかく

  音楽は全て聞くな。絶対 守れ!”

 

 えぇーーーびっくりマークマジでーーーーはてなマークびっくり

 

全く意味不明。このニューヨークでこれだけの世界のトップの一流コンガ奏者が毎週必ず見れるんだよ。しかも。12ドルの安さ。今、私 ニューヨークにいるのよ。めっちゃチャンスじゃん。大体、日本のちゃんとしたミュージシャンがニューヨークを訪れて、こんなすごいライブ見て、勉強していくんでしょ。やっぱり うまい人のプレイ見た方が勉強になると思うよねー。普通。

 こんな素晴らしいライブを見ずにじっとしていられるか自信はないな口笛。ってか見に行ってもバレる訳じゃないしニヤリ、、。

とかよこしまなこと考えていたが、後にこれがバレた。

 なんでだーーーー!?

先生の部屋には大きなサンテリアの祭壇があった。やっぱり 彼もキューバのサンテリア(アフリカをルーツにするキューバの宗教)だったのか、、、。不思議の連続!? 続く、、、。