停電が当たり前のアフリカの都会の夜だが、あらゆるクラブから音楽の爆音が鳴り響き、夜の闇にとけ込み、風が街中に音を交差して運ぶ。夜空に星と音の光がキラキラ美しくアフリカの夜を飾り、ここはこの世のパラダイス!!

 

 真夜中のキンシャサの街を、車のラジオから大音響で音楽を流しながら、この真っ暗な闇の中、車のライトだけでデコボコ道を上下左右に大きく揺れながら走り抜ける。まるでキノワーズ(キンシャサっ子)の人生のようだ。

 

 今夜はみんなとクラブのハシゴだ。レンバにある” テンペラチュール40”から、”チェチェ”に移り、その後、ボウマルシェの高級クラブにも立寄り、最後は危険地区と言われるガバ地区を通り、、と、そこで泥棒にあった。助手席に座っていた私はその時ちょうど自分の手でスマホを持っていた、とその瞬間、窓からぬっと黒い手が侵入し、一瞬つかまれた。ギリギリ、セーフで盗られなかったが、ちょっとした油断の隙間をつかれた。いつもはあんなに用心しているのに、、、。 

窓から入る熱帯特有の濃厚で生々しい?風とキンシャサの音楽との気持よさに酔いしれているとこれだ。

全く 人生はドラマだ。

 

 盗られなくてよかった。そうそう 私は強運の持ち主だから大丈夫と気を取り直し、ガバをぬけて名前も忘れた

やばい地区らしい?所の結構 カッコイイクラブに行った。クラブによって趣向が変わっておもしろい。

この夜は イタリアーノの家の運転手が車を出してくれてるので、クラブ巡りができる。彼のお父さんがイタリアの大使館の人 大使?で自分も長い間、イタリアに住み イタリア語もできる、なのでみんなは彼のことをそう呼んでいる。本名はダニーロと言う。ぼっちゃん育ちっぽく大人しい。ちょっと金もあり、車もあり、家もちゃんとしているので、みんなは何かにつけ彼を呼び出し、おごってもらったりしている。みんなを見てるとそれぞれ個性があって、いいの悪いのと、どっちがどうと比較せず、役割分担みたいなのが自然に出きてる感じでいい。人間に備わっている感覚?バランス感とか、、、。声高らかに”共生共存!”とか言われなくても、本来はそういうものは、自然に人間に備わっているのだ。

 運転手はとうに仕事の時間は終わり家に帰りたいばかりなのだが、私達は音楽聞いて踊りたいばかりだ。ちょっとだけ、一軒だけあそこのクラブまで乗せて行ってとせがみ、その大きなバンの車に5、6人が乗って、その後 そのまま 運転手は”いいかげんに帰らせてくれ。夜もう遅い”と訴えるがそんなものはみんな無視して付き合わせられる羽目になっていた。ごめんなさーい。

 超やばい!! けど、楽しすぎるキンシャサ!毎日がドラマだ!人間って面白い。人生って美しい!と、思える時間がたくさんある。こんな遊んでていいのか?これでいいのか?きっと、これでいいのだ。

 キンシャサの夜は濃い。暗闇の中に浮かび上がる小さな灯り、爆音、車と人の洪水。街がうごめいている。闇に包まれるアフリカの都会の夜。