つづきです。


第一ラウンドは私の逆転ノックアウト、
ていうより、雄太の自滅。



「一服だよ。」



女性は強そうでツンツンしていても本来すべてM、かたいガードとは裏腹に心底は求めて受け入れることを渇望していて、そこを暴力的に扱われてこそ絶頂に達するものだと、この男は本気で思い込んでいる。
まあ、そんなときもあるけど。
なんか、幼稚な雄太が愛おしくさえなった。


「わたし、終わったばかりなの。」
「お風呂入ろうよ。」
「ストレス、流そうよ。」

お互い体を洗いあった。

再び元気になった雄太と私
再び闘争心が沸き上がる。

鏡の前で肩にかかる髪の毛を
ドライヤーで乾かしている私に、
背後から胸のひもを引っ張る手を、
タイミングよく打ち払う。

「このひも、かなり食い込んでますね。」
「相変わらず失礼ね。」
「腰にもかなり食い込んでますね。」
「欲しかったら、力ずくで、とってみろ。」

振り向いて、顔に平手打ちを一発。
こうして夜11時、第二ラウンド突入。
雄太はタイガービキニ、私は純白ひもビキニ


ヘッドロックかけられて、ひるんだ。
次は唇を密着、口の中へ。
「ふざけんな。」

彼の顔面に平手打ち、右、左、右、左
胸へ平手チョップ
ボディーブロー、1、2、3
ローブロー 1

彼はやっとひるんだ。
タイガービキニを右手でつかみ、ボディースラム。
続いてブレーンバスター
フットスタンプ

私のペースだわ。
バーミヤンスタンプ
この技は、喜ばしてるだけ。

タイガービキニを右手でつかみ、逆さに持ち上げて、
ムーンストンパイルドライバー
大きくバウンドする

ふたたびバーミヤンスタンプ
やはり、この技は、喜ばしてるだけか。

ボディスラム
アトミックドロップ
タイガービキニを逆さに持ち上げて、
立てた右膝にバックブリーカー
この体勢で、左手はアイアンクロー。
右手でタイガービキニロークローをお見舞いする。
ルール無用だわ。


ベアハッグ
そのまま向き合ってアトミックドロップ
恥骨へのダメージは絶大。
初戦でやられたお返しよ。
後方中心からタイガービキニを持ち上げ、渾身のアトミックドロップ
ボディーブローのあと、立てた膝に乗せて、
得意のお仕置きスパンク体勢へ。
タイガーヒップに1、2、3、4発。
顔面平手打ちよりも大きく響く、いい恥辱音。

「このケダモノよ。普段の行いに懺悔しなさい。」
「思い知りなさい。」
私は、一発一発打つごとに、思い知らせるように数える。
5、6、7、8
9、10発

反応なし。

「100たたきの刑よ。」
10、20、30、40、50
かなり疲れた。

「ついでに50も懺悔した、気分はどう?」
「、、、、」
彼の眉間に、涙がこぼれていた。
「やっぱりね。」
ローブローをしたあと、逆エビ。

でも、いい芝居なのか。
彼は私の体力が尽きるのを待っているのだった。
その私の体はかなりきつい。






「さあ、もうお遊びは終わりにしよう。」

彼は、逆エビを勢いよく跳ね返し、馬乗りになって、
私のかけた技をほぼすべて、順序良く反復してきた。
顔面平手打ち、右、左、右、左
胸へ平手チョップ、1、2、3
ボディーブロー、1、2、3
ローブロー 1

ローブローはとても効いた。
しばらく丸くなって動けなかった。

ボディースラム。
続いてブレーンバスター

アトミックドロップ
バックブリーカー
アイアンクロー
純白ビキニロークロー

完全に、雄太のペース。
休むことなく次から次へ、技の連続

リバースロメロ
レッグロック
シュークリーム


「男を遊ぶ、この罪深いメシベよ。十分身体に思い知らせてあげよう。
100までな。
そして、あとでしっかり煮てあげるよ。

彼も、私のやったように、同じ体勢で、私へお仕置きスパンク。
純白ビキニに1、2、3、4発。

彼も、完全に当てつけ。
一発打つごとに、数えて私に思い知らせる。
5、6、7、8
9、10発

ああ、因果応報。

10、20、30、40、50、
抵抗も、反応も、だんだん脊髄反射になっていく

・・・100発、

「100の懺悔が終わった、気分はどうだ。」
「、、、(栄子の仇に、なんで屈服するもんか)、、、」

ローブロー。

うつぶせに倒れて動けない。

両手両足が鉛のように重い。

胸から腰はコンクリートブロック。




筋肉バスター
ファイヤーサンダー

私は、ほぼ無抵抗。


ベアハッグ
メリめりメリめり

この辺りから、私は意識もうろうへ
どんな技を受けたかはっきりしない。


そして、雄太は
私の出入口に
次から次へドリル攻撃。
あるいは左右、あるいは前後
あるいは右巻き、あるいは左巻き


ついに、私はうつ伏せのまま、
持ち上げられた腰から串が刺された。

「・・・・・」
「攻撃して来いよ」

胸や腰のひもは着いたままだった。
両脚で彼の腰をロックして、ヒップアタック。
腕や腹筋の力不足、すぐに顔がリングに着く。

「しかたないね。」
「こちらのほうが、やりやすいね。」
彼は、場外へ降り立ち、
私の両脚を引きずりよせる。
立った彼の腰の高さは、ほぼリングの高さ。
私も力を抜けば、リングを頼れる。
熱いリングを鉄板として
再び串を刺された焼き鳥
シャンデリアが眩しい。
私は深く刺されたまま、
残された力を振り絞り、
雄太の腰を両脚でロックし、再び腹筋で
斜め上向きに態勢を固定、雄太と目線を直に合わせる。



焼き鳥は、串を裏返して 何回も焼かれる。
熱いリングの上で、ひっくり返される。
支点と力点は 尾てい骨
対する力点は 固く握った両腕。
ムキムキの 腕と腰のマッスルで
75㎏の串肉を、彼は軽々と裏返す。
串が入ったままの回転。
尾てい骨を 前へ突き、
同時に両腕を 手前に引き、
シンクロナイズド エアロビクス。

残された力を振り絞り、
固めた躯幹と骨盤底筋で、
私も串軸を、しっかり締め付け。
支点と力点は 恥骨と尾骨
対する力点は 固く握られた両腕。
95㎏の雄太で、私は軽々とひるがえる。
串を支柱にしたまま回転し、
両脚で雄太の腰をすかさずロック。
雄太が軸の ポールダンス
吸い込んで締め上げ、
振り付けて締め付け。
両腕に気合を入れて
尖った尾骨を後へ突く、
迫りくる 雄太の肉塊に
シンクロナイズド エアロアタック。



前回、彼を沈めたプロレス技。
頭髪と両手、同時けん引と連動した、
棍棒の躯幹から、炸裂する尾骨アタック
尾骨から脳天へ 貫通する衝撃、

痛みと裏腹、激烈な快感。
間断なき 攻撃と溺沈

私は、気持ちも読みを間違え、
迂闊に潤滑油を投入しすぎた。
次第に中での反撃はすべて、はずれ、滑り、空回り。

いつしか、私は、力尽きた。
2回転ぐらいしたまで、覚えている。

ふわふわのリングに横たえた鶏肉へ、
間断なき 太く熱い串のアタック。
大きく波打つ胸にお腹
シンクロする反射声


「あ、茶色のバナナに、黄色のシロップ。」
「!。!。!。!。」
「ついに出てきたね。しかたないね。」
「!。!。!。!。」
「せっかくのもの、フローリングに流れちゃった。」
「!。!。!。!。」


尿道括約筋や肛門括約筋が、完全に弛緩。
彼の料理は更に続く。

「もう少しで、できあがりね」
「!。!。!。!。」

やがて骨盤底筋が完全弛緩。

「さて、ようやくやわらかくなったね。」
「大切な戦利品は、回収。」

焼きあがった私は、リング中央の肉塊。
シャンデリアが眩しい。

「やわらかくなったら、重たいね。」
(…どこまでも失礼な奴…
「ゆっくりと、残さず食べてあげる。」
(…
「食べられながら、可憐に逝くアゲハ蝶さま。」
(…
「さあ、逝けよ。逝かせてあげる。」
(…

脳内モルヒネに満たされて、
私は、まっすぐ頂きへ。
力も尽きて、心も尽き、
彼のなすまま いざなうまま
脊髄反射が 続いていく。

重力に沈み 無重力に浮かび、
手も足も、頭も胸も、
クラゲが海に 漂う心地
開き広がり 伸び切り透けてく。

体表がすっかり、海のような敵に包まれ、
体内も深く深く、炎のような敵に満たされ、
心の中は、竜巻のようにかき混ぜられ、天空へ融合する。

荒く激しく間断なく、
甘く酸っぱく粘っこく、
勝者敗者のミルクとシロップが、甘露で絶妙なカクテルへ。
身も心も 芯からつつまれ、
両者とも、宇宙振動 本来の境地へ。


(栄子、栄子、ああ、栄子
限りなく愛おしい栄子。
すべては栄子、栄子のため、
先に、来世で 待ってるよ 栄子、、、)

「ついに失神したね。」
(…
「最高だろう。これが、僕の全てだよ。」
(…
「最後、とどめだよ。」
(…

そのまま鳩時計が12回、鳴った。




終わった。




身も心も彼の支配下に堕ちた瞬間。
力の限りを尽くした私。
後悔などない。
思い残すことも無い。
素直にこのまま天上へ赴く。
力も心もふわふわと、幽体離脱した私。
私を堅く包んだまま、直ぐに眠りについた雄太の、
勝ち誇った笑顔。
雄太に食べられた。
無念は悦楽




きっと、小鹿も猛虎に食べられながら、このように昇天するんだろう。
脳内エンドルフィンの作用。
捕食者に身を捧げるときに分泌される、幸せホルモン群。
これぞ、本来の 適者生存、自然摂理。



栄子、栄子、ああ、栄子
限りなく愛おしい栄子。
すべては栄子、栄子のため、
先に、来世で 待ってるよ 栄子






/////







朝は曇り。だけど、
なにより、私は、自分の力の限り心の限り、戦った。
たぶん雄太もお遊びとはいえ、小娘一匹征服するのに、本気で根性振り絞ってただろう。
雄太の遺伝子とその産物が2回も十分注入され、とてもすがすがしい私の肉体。
私の遺伝子産物も、雄太は十分吸収し、ご満悦である。

さらに大切なことで、私は、
「生」の喜びを、実感。
「性」の喜びとは比較にならない。
生きててよかった。
本当に生きててよかった。
栄子のために、生きててよかった。
グルメや旅行番組のような、甘っちょろい実感ではない。

真の「生の実感」は、「死」を体験して初めて感じる。
それも、誰かのために死ぬほど戦ってこそ得られる。
脳科学の分野でも実証されつつあるという。

世間のものどもの多くは、日夜昼夜、筋肉を使わない便利なぬるま湯の中で生かされている。
だから、良心の呵責や葛藤ですら、自ら処理できない奴が多い。
結果、メンタルをイカレるから、心療内科が大儲けしている。
V.フランクルは、「本当の幸福」をつかんだ歴史人物だ。


生物の本来の在り方は、個としても集団としても、
力と心の限りを尽くして、子孫を残す行動にある。
その行為は、これへの関与・志向が強いほど、歓喜悦楽が伴っている。
これこそ、生物の、生物たる、生物本来の在り方。
だからこそ、個としても集団としても、繁栄するし、これがないと、滅亡する。

人類も例外ではない。
その行為それぞれは、関わった個体の未来を変え、ひいては子孫を変えていく。
遺伝子やその産物を交わすことによって。
雄太の体液は私の未来を変え、
私の体液も、雄太の未来を変えていく。
命の営みとは、本来こういうものである。


汗や唾液も含む体液には、女性ホルモン・男性ホルモンや、その中に生きる細菌やウィルスも含まれる。
避妊により遺伝子本体はブロックされても、それは交わされるほんの一部分である。
科学的解明は微々たるもので、それ以外の、交わされる多くの分だけ、確実に未来は変わっていく。

交わすことによって変わり続ける未来は、何も、夫婦やパートナーだけのものにとどまらない。
伝染病を予防するワクチンや、様々な血液製剤なども同様である。
血液型占いがほんのわずかでも的を得た真実が含まれているように、輸血によって、献血者の形質の(性格・生活習慣なども含め)いくぶんかは、放射線処理や薬剤処理を潜り抜け、血液を受けた人の中に、確実に生き続けていく。

輸血も、血液という臓器の移植である。
つまり臓器移植も、医療テクノロジーを得た人類が営む、生き残りに優位な形質を子孫へ授ける一行為でもある。
これらに際し、肝炎やエイズウィルスをはじめ、未知のウィルスやたんぱく質などを、後から追跡できるシステムが、我が国では整えられている。
それは、献血者とその集団の情報、製品番号、製造時期・メーカー、そして利用者やその家族歴などの情報が、正確に文書などで、紐づけられていることである。

体液を交わすもしくはブロックするという詳細な性生活の濃淡が及ぼす未来は、性感染症や生活習慣病への影響だけではない。
前世紀から、医療関係者の間でささやかれているが、
発がんとの、詳細な関係もそのひとつ。
乳がん・子宮がんと、それぞれのパートナーとの性生活の関係など。
これらはエビデンスにすることが、そもそも困難か不可能である。


人類は、子孫を残す行動に、文化的価値を付随させてきた。
多数の繁栄のために、秩序も同時に。
そのためにマイノリティは、文化的には長く犠牲になってきたが、
御世紀に入って、ようやく尊重されつつある流れである。
そして、子孫を残す行動そのものも、大きく変化しつつある。


ともあれ、偏見であれ権力であれ倫理道徳であれ秩序であれ、
多様な生物本来の在り方・行動に対して、抑制や破壊を繰り返し続けている歴史や現実に対し、真摯に目を向け声をあげていかなければならない。
その動きは、グローバル化とともに、広がってきつつある。





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「いい朝だね。」
「曇ってるよ」
「いい夜だったよ。」
「私も。」
「君はサイコーだよ。」
「あなたはサイテーよ。」
「なにを~!コイツ、覚えてろよ。」
「い~わよ。また食べられてあげるわよ。」
「大きく言うな。ちょっと味見しただけだよ。」
「いい味だったでしょう。」
「僕もいい味だっただろう。」
「途中、ゲロ吐きそうだったわ。」
「へえ~鶯声で叫んでたよ。また聴きたいな。」
「次はお気をつけてね。毒があるわよ。」
「君の毒なら、まるごと食べてみたいよ」
「ダメ。死んじゃうから。」

「私のひもパンは?」
「あ、そのオムツね。固いバナナとレモン汁と一緒に回収したよ。僕の戦利品。」
「イヤあ、ずる~い。ノーパンで帰れってこと?」
「僕のコレクションでよければ。これ、小さいけど純白だよ。」
「なにこれ、ガキがつけてるものみたい。GUNZEって、」
「これでも一番大きいサイズだよ。古いけど未開封だよ。はいるかな。」
「どこまでも失礼ね。まあ、しかたないわ。あなた、ロリコンね。」


「妊娠しない?」
「意外と肝がないわね。終わったばかりだって言ったでしょ。」
「したことないだろ。」
「したことないわよ。」
「したことないくせに。」
「させたことないくせに。」(これは図星だった。)
「その割には巧みだね。」
「その割には立派ね。」
「多くの男がそこに沈んでいったんだね。」
「多くの女の子を鳴かせたのね。」
「じゃあ、次も、鳴かせてあげましょう、ホトトギスちゃま」
「簡単には、鳴かないわよ。」
「僕を歓迎してくれる大使館、これでひとつ増えたってことで、いいかな。」
「いつでも、包囲撃沈してあげますわ。おぼっちゃま」
「ちゃんと、お掃除して、待っててよ。」
「ヤラシイ。」




本来の目的、挑発も忘れてない私。




雄太は強敵。
見込み違いだったわ。
とんでもない強敵。
体力では勝ち目がない。
技の勝負も厳しい。
メンタルで勝負するしかないか。

でも、「強敵を伏してはじめて力士を知る」っていうじゃん。
上等だわ。


でも雄太は 生物学的には、いい男。
何やってるか分からないけど、
とりあえず とてもいい男。
私の骨盤底筋群を、完全に不能にした男。
でもこれって、普通にみるかぎり、生物としての「女の幸せ」。
どこにでもある シンデレラ物語。

分不相応は明白だけど、こんなの生物としては、普通に アリじゃん。
雄太の愛人ってコースもありじゃん。

使命の遂行で、思いもなく付随してきた 普通の「女の幸せ」を、ちゃっかり満喫した私。




でもこれで 雄太の心を、私の栄子から、とりあえず私に向けさせられたかな。
さあ、次のお誘いがあるかないか。
今日の成果はそれで明らかになる。
こんなの、普通は一回きりでしょうけど、
きっとまたあるに違いない。


雄太が栄子に迫ったら、また私が身を呈して護る。

すべてはわたしの愛する栄子のために。