先日テレビで、会社の福利厚生として、社内の設置してある自動販売機を、社員が社員証を使ってペア認証という形で同時購入すれば無料になる、という取り組みが広がっているとのニュースをみました。
コロナ禍を経て、リモートワークと並行しながら仕事をしている人や、中途採用などで人間関係がまだできていないような人などにとって、自然な形で会社のコミュニティに溶け込む機会となるようで、導入している企業さんからは大変好評なんだそうです。
飲みにケーションやたばこ休憩、ランチを一緒に食べながら、のような「ながら」コミュニケーションの機会が社会全体から少なくなり、ソーシャルディスタンスが当たり前となり、互いの距離感も以前とは少し変わった中で、
「ピッしませんか?」と声をかけることから雑談の機会につながったり、たまたま自販機のまえで会った普段は会話しない相手と「飲みます?」というような声かけから挨拶程度はする関係につながっていったり、同時認証というきっかけをつくることで、社員同士のコミュニケーションの機会を作っていくという画期的で、でも導入しやすい素敵なアイデアだなと感じました。
同じ会社にいても、一緒に仕事をしていても、仕事というツールでだけつながっている状態では、なにかあったときにヘルプが出しにくいでしょうし、ミスコミュニケーションにもつながってしまって、メンタルヘルスのリスクやハラスメントのりすくにもつながります。
結果として離職にもつながりかねず、ちょっとした取り組み、ほんのちょっとの投資で、優秀な人材が離れていかないようなことにつながるし、職員の気軽なコミュニケーションの機会にもつながるし、一石何鳥もあるなあ、と感心しました。
大阪に住んでいたころ、顔は知っているけど話したことはないという、おわゆるオバちゃんから「あめちゃん食べる?」と声をかけられ、あめちゃんだけをもらって、そのあと挨拶をしたり、ちょっとした会話をするようになったことが印象的で、
社会人になってからは、仕事でもあめちゃんやちょっとしたチョコレートのようなものを持っていて、声をかけるきっかけにつかっているのですが、それと同じような、「きっかけづくり」の発想なのだろうと感じました。
会社でも学校でも地域でも、所属が一緒、というのは最初のつながりではありますが、その次の顔見知り、あるいは知り合い、に発展するには何かのきっかけが必要です。
それを以前であれば、社会全体の風潮や文化も含めて、まずは飲んで仲良くなる、あるいは一緒にご飯を食べて仲良くなる、というやり方だったんでしょうけれど、今はそのやり方はあまり好まれなかったり、その前段がもう一歩必要だったりする時代かなと感じています。
その一歩の背中を押すような取り組み、きっかけづくり、仕組みが、この自動販売機に限らず、いろいろな形で必要なんだろうと思うし、それがあれば、若い世代と上の世代がもっと垣根を越えて行けるのかなと感じました。