少し前のことになりますが、なかなか学校に足が向かずに小学校生活がしんどかったお子さんが、卒業式が終わった後の時間に、親御さんと一緒に卒業証書をもらいに行かれたとのお話をお聴きしました。

 

親御さんはとても喜んでおられ、少し涙ぐまれる様子も見られましたし、先生方もとても嬉しそうだったそうです。

 

ご本人はかなり緊張されていたそうですが、きっと必死の思いで、エネルギーを振り絞って、その時間だけではなく、前日もその前も、頑張られたんだろうなと感じました。

 

卒業式に限らず、学校や親御さんなどの大人はセレモニーを大切にしようとしますし、そのこと自体はいろいろな思いや気持ちが背景にあってのことだし、子どもさんの将来のことなども含めて考え、悩んで、背中を押しておられる場合がほとんどです。

一方、子どもさんは大人と違って、その「将来」をまだ経験していませんし、「今」を生きるだけで精いっぱいだったり、しんどい気持ちでいっぱいだったりして、それどころではない、そんなものには出たくないし、意味がない、なんて思っておられる方も少なくありません。

 

どちらがどうということはなく、それはそれぞれの立場や状況や環境や想いや見ているものや価値観や、そういういろいなものが「違う」というだけのことなんだろうと思います。

 

ですから当然そういうセレモニーに対して、何らかの形で参加するという選択をされるご家庭もあれば、反対の選択をされるご家庭もあって、それはそれでそれぞれの選択なんだろうと思います。

 

そして、支援者の立場では、その選択にいたるまでのプロセスを伴走し、想いを受けとめ、迷いや葛藤も含めた状況も応援し寄り添っていくだけだと思っています。