以前ある小学校に伺った際、こんな朝食がモデル的だという朝食の写真が複数掲示されていました。

 

ご飯にお味噌汁、野菜とお魚、一汁二菜を基本とした日本的な朝食の写真ばかりで、確かにこんな食事が毎朝提供されたら栄養バランスが良く、朝から元気も出るだろうな、と思った反面、

 

7人に一人(ひとり親家庭では2人に一人)の子ども達が相対的貧困状態にあって、十分な衣食住が提供されなかったり、親の疾患やネグレクト、ヤングケアラーなど、十分なケアを受けられていない子どもたちが多くいる時代に、ちょっとずれているように感じました。

 

また、外国籍の親御さんあるいは多様な価値観のなかで生きている今の時代の子どもたちにとって、ザ・和食という食事の写真がずらりと並べてある感覚にも違和感を感じたことを覚えています。

 

昨今熊本では連日全国ニュースにもなるように、TSMCの進出による台湾をはじめとした外国籍の方々が地域、学校にも増えてきています。

 

そんななか、熊本大学では学校教職員向けに外国籍の方々を受け入れる準備のサポートを行うようです。

 

熊本大学、外国人材受け入れ支える教員養成をスタート - 大学ジャーナルオンライン (univ-journal.jp)

 

日本に限らず、学校の授業や取り組みは、その国の母国語を元に行われますので、言葉の壁は学びの壁となってしまいます。

 

また、1日の大半をともに過ごす分、冒頭の食事に限らず、その人の背景となるそれぞれの国の文化や習慣が生活を共にするときに大きく影響し、互いに理解し合うこと、理解し合おうとすることが大切になると思います。

 

子ども同士が単に遊びを共有するだけであれば言葉の壁も文化の壁も越えることもできるかもしれませんが、学校という日常、生活拠点のなかで共に暮らしていく場合、そこをとりまとめる、空気を作っていく先生方、学校職員の姿勢や取り組みは、子どもたちの日常に大きく影響を与えます。

 

単に英語が話せる、外国語が話せるだけではなく、違いを理解し、違うことを前提としながらも伝え合ったり、歩み寄ったり、多様な価値観を取り入れようとする姿勢、両者をつなぐコミュニケーション感覚などが大事なんだろうと思います。

 

TSMCに関連した人たちだけではなく、地域には多様な文化、ことば、価値をもった人達がいる。

 

そのあたりまえの前提に立って、学校に限らず、地域や行政区のなかでも様々な取り組みが行われ、みんなが過ごしやすい社会に向けて取り組みが進んでいくことを期待したいと思っています。

 

そして、子どもたちが、子どもの頃から当たり前に多様な価値観に触れ、多様な人達と当たり前に暮らす社会、インクルージョンな世界を経験し、将来もっと生きやすい社会になっていくと良いなと思っています。