チーム支援、チーム医療など、いまやどの業界でも、いろいろな人が集まって、知恵を出し合い、スキルを出し合い、みんなで成果を出していこう、という流れが当たり前になりました。

 

「連携」や「協働」という言葉も一般的になってきたと感じています。

 

昔から「三人寄れば文殊の知恵」とはよく言われていましたが、どうしても「自分が頑張らなきゃ」とか「他の人も大変そうだから」とか思ってしまったり、「自分のことは自分で」「誰かに頼るなんて・・・」と根性論で考えてしまったり、中には「ひとりでやった方が早い」「誰かと連携しながら何て面倒くさいし、時間の無駄」なんて思ってしまうような風潮も少なからず未だに残っているのかもしれません。

 

けれど、もともとひとりでできることには限界があるし、自分にできないことが他の人にはできたり、自分にはない視点で他の人は見えていたり、互いの相乗効果で1+1が3以上になって思った以上に力を発揮できる何てことが起きたり、協力し合った方がうまくいくことのほうが多いんだろうと思います。

 

相談援助の仕事をしていると、どなたかからの相談や悩みをお聴きするだけで相手が元気になって前に進みはじめられたり、お聴きした内容から感じたことをフィードバックするだけでその方が新たな気づきを得られたり、伝わってきた言葉にはない思いをこちらが言葉にするだけで相手の変化につながったり、2者の中でことばやエネルギーの交換をするだけで新たな者が生み出されますし、

 

チーム支援をしていると、決して一人ではできなかったことがチームとしてできたり、新たなアイデアが相互作用の中から生まれたり、集団ならではの力を感じる場面が多々あります。

 

先日もある方が悩んでおられ、その内容にお返ししたちょっとしたコメントが、別の方の気づきを促し、それがまた別の方のアイデアにつながり、最終的には悩んでおられたご本人の想像以上の結論、アイデアにたどり着き、とても感謝されたことがありました。

 

それはその方だけでは導き出せなかったことですし、私とのやりとりだけでも、そのほかの人とのやりとりだけでも決して生み出されず、チームの中の相互作用、意見交換、エネルギー交換の中で自然とそこに到達したもの。

 

三人ではなくても、チームになれば文殊の知恵なんだろうと思います。

 

もちろんそこには、チーム内のお互いのリスペクトや信頼関係、上下ではないフラットな関係性のなかにある率直な意見交換など、必要条件があるとは思いますが、それは互いの意識と努力で何とかなるかなと思うのです。

 

ひとは煮詰まってくると他責・他罰的になったり、攻撃したくなったり、ネガティブにとらえがちになったりもします。

 

「何で自分だけこんなにしんどいんだろう」「どうして自分だけこんなに大変なんだろう」という思いも湧いてきて、ますます自分の殻に閉じこもり、他者の意見が届きにくいだけではなく、チームとしてもチグハグ、バチバチになってしまいます。

 

日ごろから良好なコミュニケーションがとれるチームである努力も必要なんだろうと思います。

 

とはいえ、なにか行き詰まったら、チームとまでは行かなくても、誰かと話をしてみたり、何人かで話し合ってみることは、自分自身に新たな発見、気づきをもたらしてくれるはずです。

 

答えをもらうため、アドバイスをもらうため、ひいては解決のためではなく、気づきや発見のために意見を交換してみることは誰にでも、いつでもできる簡単な方法なのかなと思います。