専門職として仕事をしていくにあたって、継続的な研修を受けたり、学会等に参加したり、スーパービジョンを受けたりしながら、自らを振り返り、アップデートしていくことが必須となります。

 

対人援助の仕事は、どなたかの人生にかかわる仕事ですし、生半可な気持ちや知識で向き合うべきではありませんし、自らの専門性を担保し続ける責任があると思っています。

 

そしてそれは、実践の経験が増え、ベテランと呼ばれるようになってからこそ、自分を振り返り、律し、心がけていく必要があるとも思うのです。

 

例えばベテランと呼ばれるようになると、苦言を呈されたりすることが減りますし、試行錯誤したり大きく思い悩むことは減りますが、下手したら、自分の経験や今の立場に安住し、他者からのありがたい批判や指摘ももらえないようになり、裸の王様のようになってしまうリスクもあると思います。

 

また、ベテランやスーパーバイザーと呼ばれるひととばかり関わっているだけでは、新たな気付きや純粋な疑問、社会課題や背景にある課題への怒りのような熱い感情、そんなエネルギーのようなものに触れる機会が減り、表面上のうまい支援はできても、心の通う、相手に届く、本当の支援からはどんどん遠ざかっていくような気がします。

 

ありがたいことに、授業を通して、若い世代の方から学ぶことが多く、熱い思いを聞かせてもらえたり、社会課題への怒りに似た感情をぶつけてこられることで、「そうだよね、その感覚って大事だよね」と初心に戻らせてもらうことがあります。

 

また、授業で見せるDVDなども、何度見ても新しい発見や学びがあり、そんな時間は、おそらく実践現場にのみ居たら得られない時間なんだとも思います。

 

初心を忘れない。

 

何のために、この仕事をしようと思ったのか。

誰のために、自分の知識や専門性を使うのか。

どの方向を向いて、実践を行うのか。

 

大切にすべきは何か。

忘れてはいけないことは何か。

何が大事か。

 

そういうことをちゃんと見つめる時間はとても大切な時間なのだと思っています。