むかしむかしあるところに・・・

 

 

町一番の口が上手いうさぎがおりました。

 

 

見た目は大して見栄えがしないのですが、

 

とにかく口が上手くて取り入る事が得意なので、

 

自分は何の努力もせず、

 

人を騙すことに長けていて、

 

いつも楽する事ばかり考えておりました。

 

 

 

ある時うさぎが散歩をしておりますと、

 

ボロボロな身なりの貧しそうなおばあさんが

 

とても困っているのを見かけました。

 

うさぎはそんな老人を助けても

 

何の得にもならないと思い、

 

知らん顔で通り過ぎました。

 

 

 

別の日に、

 

今度はとても上等な身なりの裕福そうな婦人が

 

何やら困っている様子なのを見かけました。

 

 

  ははーん、これは何か恩を売っておけば

 

  たんまりご褒美が貰えるぞ!

 

 

そう思って、どうしたのかと尋ねました。

 

理由を聞くと、

 

お供の者とはぐれてしまって

 

おまけに脚を痛めてしまい、

 

これからある方のお祝いの宴に招かれていると言うのに

 

どうしたものかと途方に暮れていた、と言うのです。

 

 

そこで、

 

口の上手いうさぎはこう言いました。

 

  

  そのお方なら日頃からお世話になっており、

 

  よく存じております。

 

  私がお屋敷に行って お迎えを寄越すように

 

  お手配いたしましょう。

 

  しばしこちらでお待ちください。

 

 

 

婦人はたいそう喜んで、

 

お礼にと自分のしているいかにも高価そうなネックレスを

 

うさぎに与えました。

 

キラキラと輝く素晴らしい宝石がついておりました。

 

 

もちろん

 

うさぎの言った事はデタラメで

 

その方になど会ったこともありません。

 

そのままうさぎはネックレスをつけると

 

ぴょんぴょんと走って逃げてしまいました。

 

 

 

ところが数日後・・・

 

うさぎが身につけていたネックレスが

 

急に首を締め付けてくるではありませんか。

 

うさぎは苦しくて

 

何とか取ろうとしたのですが取れません。

 

 

とうとううさぎは首を締め付けられて

 

命を落としてしまいました。