BL読書感想文 -21ページ目
田知花千夏
B-PRINCE文庫
田倉トヲル
⭐️⭐️⭐️⭐️
ヤンデレ
厭ミス
兄弟禁忌
幼い頃からずっと一緒か当たり前で
共に育ち、互いを好きになって
なんとなく恋人同士になった
光(兄・受)と真陽(弟・攻)
過不足ないような日々に
何故か繰り返し悪夢を見る光。
それは、弟・真陽に無理やり犯されるという
内容だった。
やがて日中の光の周りにも不思議な
出来事が起こり始め…
久々ゾクゾクした作品。
良い意味で予想を裏切ってくれた作品。
よくある退屈な兄弟禁忌モノと侮るなかれ。
まさか、こんなヤミ方
救いようのないハッピーエンド。
2人きりの閉塞感。
謎めいた兄弟2人の生活。
まさにBL作品内のイヤミスジャンル。
こんなイヤミスは
『手の鳴る方へと君を呼ぶ』以来かも。
ぜひ皆様には読んで頂きたい作品なので
ネタバレは避けておきます
が、
謎めいた日々の経過
ほぼ2人の暮らすマンションの部屋だけで
進行する舞台。
だんだん壊れていく光の日常
変化する2人の関係性
など息つく暇もなくノンストップまで
お話が進んでいきます。
なのに作品の世界観は
湿度80%の密林を彷徨うように
重苦しく息ができないような
重だるさ。
なんなんだろう。
イヤなのに立ち止まれない。
光の最後を見届けたい願望が
作品世界を抜け出ることを許してくれない。
あとがきを見ると
この先生には
珍しいジャンルのBLだったそうですが
私は先生はこちらの方が
筆がのっていたのではないかと
思いますが、どうでしょう?
ただ一つ残念なのは
画力がこの世界観に合っていないような
もっと繊細なタッチの方に書いて欲しかった…
いとう由貴
クロスノベルズ
せら
⭐️
若きロシア人経営者 ×エリート商社マン
異国ロシア
マゾプレイ
アダルト
勝ち組エリートの明人(受)には、
女性と付き合ってもうまく
いかない問題を抱えていた。
それは、6年前
学生時代に訪れたロシアで
明人(受)が、
男たちに輪姦された過去のトラウマに
あった。
もう忘れたい酷い暴力の記憶の筈なのに、
明人はその時の事を思い出すと
身体が熱くなって、
自慰に浸ってしまう。
こんな自分に怖れと不安を抱えていたある日、
そんな明人の過去を知る
取引先のロシア人社長ヴィタリー(攻)が、
近づいてきて…
このお話の裏テーマは
1人の男性を立派なMに育てるSの指南書
といった感じです。
ヴィタリーが
偶然身内のワルイ遊びの記録映像から
明人を見て、
明人の様子から彼の潜在的素質に気がつき
自分自身の中にあるS的嗜好を満足させる
パートナーとして育てる
SM版『マイフェアレディ』
エロ要素垂れ流しの
情緒欠落の娯楽作品というより
Sが気をかけて時間をかけて
1人のMを成熟させていこうという
結構丁寧な作品だったな
と思いました。
そこで感じたのは
Sの大変さ 笑
Mの悦ぶ 罵倒 肉体的苦痛の加減
タイミング 放置の間隔
こういった事はS主導で行われなくてはならず
かなり気を使う行為だなっと
サービスのSは、ホントだったんだ。
お話はほとんどが受主・明人の視点で
進むのでが、
たまに明人が意識を飛ばした時とかに
攻主・ヴィタリーの視点で描かれる
明人への気遣いや思いやりが深くて
(ホントは、この人S向いてないんじゃないの)
って思っちゃうくらい甘々でした。
それに現実世界
私にはSは、無理だなと思うくらい
段取りが大変そうでした 笑
この作品は、
SとMの世界をプレイだけでなく
心構えや精神論を学ぶ上でのバイブルにも
なりえるかも⁈
特に自分のM的嗜好に
馴染めず不安を抱えている人にとって
明人の心の揺れは参考になるし
救いになるのではと思います。
ここまで書いて改めて思ったのが
結構真面目よ、
この本
娯楽作品というより
指南書ですね、はい。
藤原チワ子
一迅社 ロイデロマンス 新書版
青石ももこ
⭐️⭐️⭐️⭐️⭐️
美形な異界人達 ×平々凡々童貞リーマン(中年)
エロチックコメディ
総受け
いろんなタイプの攻登場
異界
中世西洋風ファンタジー
ケイゴ(受)35歳で童貞のリーマン。
彼女もいた事がない正真正銘の
ウブな童貞君。
ある日、異界の腐女神に拉致られて
異界の王国シロキア王国の危機を救うべく
戦う事を告げられる。
その方法が‼︎
男の聖液ならぬ精液をア●ルに受け
聖なる力を集めて竜を倒せ!!!
流され体質のケイゴ35歳童顔は
この日から目的を果たし、
元の世界に戻るため
男たちとのセックスに励むのだった。
ナニ!この面白世界。
初めて読みました。藤原先生。
プロットはビッチよろしく
次次男とヤリまくるなんて
男本位なAVっぽいお話なのに
受主の深く考えない性格と女神の魔法が
あんまりビッチに感じさせません。
それにお話が常に受主の口語一人称で
進むのですが
この文体が常に軽い。
サクサク目的遂行のため
イケメン達を誘惑してヤッて
又、次の男を誘惑して…
この繰り返しなんだけど
ビッチに見えないのは
童貞君特有のウブさ。
元来持つ彼の人の良さが滲み出てるからでしょうか。
愛すべきビッチ君に仕上がってますよ。
しかし、
どうしてあんな所で
終わったかな?
ぜーんぜんお話の途中
聖なる力集めの途中でお話が終わってます。
この続きは出版されるのでしょうか?
別出版で既に完結しているような
じょうほうもチラホラ、
ぜひ、彼の異界での活躍を
又読んで見たいな、と。

