華藤 えれな ビーボーイノベルズ 北畠あけ乃 ☆☆
青年実業家 × 能楽師
美貌の能楽師、立風希さつき(受)は誤解が元で高校時代の恋人蕎一郎(攻)と再会する
しかし、この再会はに仕組まれた復讐の始まりだった!
資金面で悩む柏倉流への援助を条件に愛人契約を要求する彼に、さつきは忘れられない恋心を隠し、流儀のために身体を差し出す。攻め立てられるほどに官能に溺れていく身体と、陵辱に苦しむ心の日々・・・。
なにより受のさつきさんの京都言葉がなんともいえず色っぽく、素敵です
彼の生きている世界が能という伝統芸能の世界なのがまたなんとも言えない美しい世界ですね
同じような伝統芸のうの世界でいうと「梨園の貴公子」ふゆの仁子先生の歌舞伎ものもありますが
こちらのほうが舞台が京都で京都の四季折々の風景、京都言葉がなんともいえずしっとりとした
耽美な世界感を作ってくれています。
BLの世界では当然と言える家族や周囲の人への気兼ね、名門ゆえの外聞や跡継ぎの問題など
ファンタジーエンディング(絵空事)だけではない大人の男×男ゆえの悩ましさが丁寧に描かれていて
萌えるBLというよりしっかり読ませるBLという作品でした
特に受のさつきさんは早くに両親と死に別れ、親戚にあたる流儀宗家の家に育てられ、そのため自分を封じこめ
流儀のためにだけ生きてきたから、宗家の従兄弟からうけるしうちにも耐え、彼が起こした情死事件にも身代わりとして罪をかぶるほどの自己犠牲精神の持ち主なのだが、
そのために、誤解を受けて憎まれるからかわいそう、流儀のスキャンダルにもなってしまうから誤解を解くこともできず、攻から受けるしうちにも耐えるだけなのがせつない。
第一部で誤解が解けるが第2部にはいって、攻は自分が誤解の上とはいえあれこれと酷い扱いをしたことに責任も感じて償いモードになってしまい、やや受に対して遠慮がちになってしまうし、
受も自分のせいで、攻の仕事や将来に傷がついてはいけないとまたまた自己犠牲愛が復活してしまったりとみていてやきもきしてしまいます。ここが大人のBL作品なんだな~
愛にどこまでしがみつけるか、受のさつきさんが能舞台で演じる「葵上」の六条御息所の光源氏への妄愛をテーマにがむしゃらな攻、蕎一郎への愛にまで上り詰めてくれて やれやれ良かったな~って思いました
1つ残念なのはこの世界感 しっとりとしてまったりとしてもっと色っぽいイラストさんだとよかったな~
円陣闇丸さんとか実相寺紫子さんでみてみたかったな~