おかんの父親は三年前に天国に逝った…。
４月30日は、生きとったら
お父ちゃんの88回目の 誕生日
お誕生日 おめでとう
お天道様の上からなら、アメリカも覗けるんかな…。
三年前は…
おとんが、ちょこちょことアメリカに出張しとった頃やったけど、今は 私や子供らもアメリカに住んどるって知ったら びっくりするかな？
子供達、英語で喋ったら腰抜かすな
おかんは、三人姉妹の末っ子
実は、二人の姉の上には もう一人兄がおったらしい。
おかんが生まれた時には、すでに病気で亡くなっとって、貧しい我が家には 兄の写真もなく、おかんは実の兄の顔を知らん
まあ、兄が亡くなってなかったら、おかんは生まれてなかった可能性が大らしいけど
お父ちゃんは、おかんが 生まれた頃は ぼんやり 目が見えとったらしい
それが、
いつしか 徐々に視力がおちて、いつの間にか おかんが大人になる頃には 全盲になった
昭和一桁の頑固親父
誰が何と言うても、なかなか お父ちゃんの意見は変わらなんだけど…
そこは、末っ子のおかんマジック
おかんの言い方、頼み方次第で
頑固親父は微笑んだ
最後には
『いつまでも
古い考え方では
あかんな～』
』と、頑固親父が勝手に反省しとったもんや
今、見とると
長女にも その素質はある
やっぱり 末っ子は甘え上手やな
お父ちゃんが亡くなってから、小学生の頃の父親との思い出は忘れられやん思い出になると実感したおかんは、今のうちに長女におとんといっぱい喋るように言うてある。
お父ちゃんは、おかんが生まれた時から マッサージ師の仕事をしとった
自宅から 歩いて20分以上かかる場所を借りて、仕事場にしとった。
全盲やのに、1人で歩いて通っとった
年をとってからは 耳も遠くなったけど、目が見えやん変わりに、耳はめっちゃよう聞こえとって
信号もない大きな道路を 白い杖と車の通る音を頼りに一人で渡って帰ってきた
お昼は お弁当を持って行けばええのに、『足が弱るとあかん！』と言うて、お昼も家に帰ってきた。
お母ちゃんは、その仕事場から歩いて3分程の個人の小さなブロック製作所で働き、おかんは小さい頃、お父ちゃんの仕事場とお母ちゃんの仕事場を行ったり来たりして時間を潰しとった。
やで、マッサージの お客さんがおらん時は、お父ちゃんと いっぱいいっぱい喋った。
おかんは、お父ちゃんの昔話を聞くのが大好きやった
もちろん、絵本の読み聞かせは無理やで、お父ちゃんの頭で絵本を思い出しながらの 物語
桃太郎、浦島太郎、一寸法師、金太郎…
何回も何回もリクエストしすぎて、おんなじ 話を飽きるほど聞いたけど、お父ちゃんの膝の上でチクチクした髭がたまにあたりながら聞く 昔話が大好きやった
そんな思い出があったからか…
おかんは、3人の子供達が小さい頃は 毎日絵本の読み聞かせをしとった
長女が生まれる時は、陣痛がきて 病院に向かう車の中で、長男と次男にせがまれて陣痛の合間に 絵本を読み聞かせしたことは、忘れられやん思い出
その後は、長男が小学生の時から
子供達が通う 小学校で、絵本の読み聞かせボランティアもやっとったおかん。
アメリカに来る直前まで 続いとったな～～
そうそう、お父ちゃんの話
小さい頃は、お父ちゃんといっぱい喋っとったけど、小学生の頃 お父ちゃんが言うてくれた言葉の中で、絶対忘れられやん言葉がある
もう 内容は忘れたけど
おかんが 悩み事を相談した時のこと…
『明日は 明日の風が吹く！やで～』
』あっけらかんと 微笑みながら、お父ちゃんは そう言うて、一緒に家まで帰った
そう
そこから その言葉は
おかんの好きな言葉になった
“明日は明日の風が吹く”
お父ちゃん
今は
明日もアメリカの風が吹いとるで～
又いつかに
たぶん つづく
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