年間に200回ほど温泉に行きます。
あ、旅行とかじゃなくて、家の風呂に入る代わりに地元の温泉に行くのです。

そんな自分がいままで経験したことのない、忘れられない体験をしたので、
せっかくなのでここに記しておこうと思った次第です。

この温泉の脱衣所はロッカーもありますが小さいので、たいていの人はカゴを使っています。
自分も貴重品はキーボックスに預けてあるので、衣類はカゴに入れています。

気温は氷点下。空にチラつく雪が風にあおられて舞っています。
今日は露天はそこそこに、内湯で身体をあたためますか。

のんびりつかって湯から上がり、よく身体を拭き上げて脱衣所に戻りました。
すると、無いんです! ボクの衣類が入っていたカゴが!

どこを探しても無いんです! ロッカーも全部空けて確かめたけど無いんです!
まさか氷点下のなか全裸で車を運転して帰る羽目になるのか!

まずはフロントに知らせようにも、フロントにつながる電話などという洒落た設備がない温泉。
ちょうど、着替えが済んで出ようとしていたお兄さんに、係の人を呼んでもらうように頼みました。

すぐに、係のおじさんがやってきました。
「えー!服を取り違えられるなんて、私も長いけどそんなこと一度もないですよ!」

全裸のおじさん(自分)と服を着た係のおじさん2人で、あたりを探しますが見つかりません。
「人の服なんて持って帰っても、なんのアレもないですものねぇ」と係のおじさん。

ふと目をやると、ワークマンのフリースを着た「おじいさん」がウロついています。
街でもよく見かける「FieldCore」のロゴが入ったフリースです。
パンツは「hummel」の黒のサーモパンツ。

世の中には自分と同じ格好をしてる人がいるもんだなぁ。ってオイ!

「おやっさん!それオレの服!完全に分身かと思ったらそれオレの服!
へ?そうけ?」
「そうけ?じゃなくて、それオレの服だよおやっさん!服返して!」

なんとそのおじいさん、ボクの服を完全に着こなしていたのです!
おじいさんは悪びれる様子もなく、一枚一枚服を脱ぎ始めます。

「いやはや、これにて一件落着ですな」と係のおじさん。

おじいさん、パンツ(肌着)も含めて、完全にオレの服を着て、まさに帰ろうとしていたところ。
いやはや、あと一歩遅かったら、氷点下のなか全裸で車を運転して帰るハメになるところだった。

おじいさんが履いていて、まさにいま脱いだばかりのパンツ(肌着)をオレが履く感じとか、
これがワンネスの感覚か、なんて考えていたら、全裸に靴下姿でたたずむおじいさん。

「おやっっさん!靴下もオレの!返して!」

こうして無事服を取り戻し、家に帰る準備がととのいました。

受付のおばちゃんが「まさかパンツも履かれてたの?」と聞いてきたので、
「そうそう、おじいさんの脱ぎたてのパンツ、いま履いてきた」といったら、
「キャーやだ気持ち悪いだって(笑)

温泉で服を取り違えられて、しかも完全に分身のおじいちゃんが出来上がってるなんて、
したくてもなかなかできない貴重な経験ができて、
むしろじいさんに感謝している自分にちょっと驚きました。

帰りに温泉回数券を買ったのですが、有効期限のスタンプを押す係のおじさん、
笑いをこらえきれなくてスタンプ押しながら震えていました。

おじいさん、認知症の人でしょうね。自分の父親が重度認知症なので分かります。
おもしろいネタも仕入れられたし、

サンキュー、じいさん!(๑•̀ㅂ•́)و✧