お久しぶりです!ようやく声楽家らしい投稿をします笑✨

新ウィーン楽派で有名な、アルバン・ベルクの歌曲集、「Sieben frühe Lieder(7つの初期の歌)」の4曲目、Traumgekrönt (戴いた夢)のお話です。

この曲は「Das war der Tag der Weißen Chrysanthemen, mir bangte fast vor seiner Pracht! (それは白い菊の花咲く日、私にはその華やかさが怖かった)」
という歌詞から始まります。

私は、東京藝大でこの曲を勉強していたとき、一体なぜ白い菊の花がたくさん咲いてて、とっても華やかな景色になぜ怖くなるのか分からなかったのです。実は、藝大には文学の先生もいらっしゃいます。その先生のゼミのような授業を取っていた私は、自分の回でこのことを取り上げました。

しかし、先生や参加学生と話し合っても、分かりませんでした。苦渋の回答として、その詩の作られた時代くらいに東洋から菊の花が伝わったばかりで、まだ菊の花が一般的でなかったから、あるいは菊の花はとても大きいから、それが群生していたから驚いて怖かったのではないか。という回答が出ました。

しかし、納得できない回答だったなーとずっと頭に置いておいたことでした。

昨日、ミュンヘン音大でシュミット先生の授業でこの曲を取り上げました。
なぜ白い菊で怖くなるのか、尋ねると、次のような回答でした。

菊というのは、葬式を連想する。(日本も一緒ですね!)
そして、白いというのは、結婚式を連想する。だからこの2つが同時にある状況に恐れを感じているんだ。
もちろんこれは夢の中の話だ。

私は、これに納得でした!なぜならその後の歌詞に、夜更けに何者かが魂を奪いにやってくるのです。しかもそれはおとぎ話のよう夢のよう。という歌詞が続きます。
女性が深い恋を知った、その時の美しさと怖さの両方を、白い菊の群衆は象徴していたのではないか、ということです。

なんて美しく綴られていることでしょう…💕

クラシック歌曲はじめての方には少し刺激が強かったでしょうか…😀

でもこんなにも美しく、私達の生きる日常の世界を表せる詩人、そして、それを立体的に音楽として表す作曲家の2人の才能の相乗効果で創り出す芸術歌曲の最高級の美しさ、そしてその音楽をどのように演奏するのかは演奏家による、というとっても興味深い芸術歌曲の世界を、少し分かっていただけたら嬉しいです😊❤️❤️❤️

もちろん、ヨーロッパにはヨーロッパの芸術歌曲。日本にも日本の芸術歌曲がたくさんあります。日本では現在多くは、合唱曲で多く作曲されていますね😊ちなみに、詩と音楽の融合の点でとっても私が惹かれるのは、詩は谷川俊太郎、三善晃作曲という日本の国宝的芸術家のコラボレーションで創られた「生きる」です✨✨音楽と詩が、そして合唱団の歌うすべての歌手が「生きている」のを感じられるカッコイイ作品です🤣😍🤣😍🤣😍

でも実はまだ、日本の合唱曲について多くを知っているわけではないので、もし、歌曲でも合唱曲でも、この曲最高だよ!っていうおすすめがあればぜひ教えてください❤️❤️❤️