先日TVを点けたら、
たまたま偶然『容疑者Xの献身』(映画)をやっていました。
大昔の作品だし、本でも読んだし、と一旦はスルー
が、原作の感動が蘇り、なんとなく観ているうちに最後まで…
原作者は言わずと知れた東野圭吾。
ガリレオシリーズの中でも秀逸な作品で、出版直後(2005年)に読破!
2006年に第134回直木賞を取りましたが、
東野圭吾さん、直木賞受賞には時間がかかったなぁと思った作品で、
その理由は、選考委員だった某巨匠のミステリー嫌いにあったとか?
(巨匠作家の作品も晩年は ”エロ売り” に思えましたが⤵︎『失楽園』とか)
ネタバレ:
『容疑者Xの献身』のストーリーは、
殺人犯をかばう天才数学者の完璧な論理思考に基づく証拠隠滅を、
天才物理学者(ガリレオ=湯川)が解き明かす攻防で、
そこには多くの伏線があり、緻密なプロットで構築されています。
人生に絶望し、自室で首吊り自殺をしようとしたその時、
玄関のチャイムが鳴り、扉を開けたら、
美しい女性とその娘が「隣に引っ越してきました!」と挨拶。
この出会いが、天才数学者(石神)に生きる希望を与えたことから
物語は始まります。
殺人犯はその隣人女性で、
別れた夫の強引な押し入りに娘が父親を鈍器で殴り、
息を吹き返した元夫から娘を守ろうと咄嗟に首を絞め、
殺してしまいます。
この殺人を石神が数学問題の錯覚を用いた論法で隠滅しますが、
大学時代の天才同士だった湯川(ガリレオ)に最終的に見抜かれ、
最後は自分が犯人であるという証拠を理論立てて自首。
でも、最後の最後に実犯人が自身の罪に耐え切れず、
その罪を被る石神に詫び、自首することによって終わります。
不利に追い込まれても、完璧に計算された理論が崩れる瞬間!
本では最後の石神の声を、
「獣の咆哮(ほうこう=吠える)のような叫び声」と。
「うおううおううおう――」 大声で叫びながら嗚咽。
誰も幸せになれない、悲しい結末ですが、
彼の嗚咽に涙した湯川の思いは、石神の純愛を貫く一途さへの無念。
(本では)取り乱す石神を押さえようとする警官に、
「彼に触るなっ。せめて、泣かせてやれ」の湯川の言葉に、
私は泣けました。
『容疑者Xの献身』はミステリー小説ですが、
緻密なプロットとトリックの真相以上に、
そこに重なる心理描写とテーマ(純愛)は見事な文学作品だと思います。
これを映像で表現するのは難しかっただろうとも。
映画を観ながら原作の感動が蘇り、書きました。
『容疑者Xの献身』は泣ける名作であり、
東野圭吾も天才と呼べるは永久不滅の作家だと、私は思います。
長文精読、ありがとうございましたm(_ _)m