【  大英図書館 ニュートン像(ウーン アカデミック !) 】

「ノートルダムの鐘」 この言葉だけで、十分重厚さが伝わります。

残念な事に、ノートルダムは イギリスでは有りません。もちろん、パリ、シテ島。

でも、娘と私にとって このノートルダムの鐘の音は 病院に宿泊した思い出と共に 特別なものなのです。

2年前、親子で ノートルダムの道を挟んだ筋向いの 病院に宿泊しました。

怪我をしたわけではなく、入院患者の家族の為に 用意された部屋を 借りたもの。
 
予約も電話でしか受け付けてもらえませんでした。

パリの真ん中に泊まりたかった事と、パリの日常を知りたいという 私の趣味が重なった選択でした。


病院に着いてみると、ノートルダムの迫力は 何度見ても圧倒的で、

まるで 病院に覆いかぶさる様に鎮座しています。

病院の入口は ヨーロッパらしく狭く小さいけれど、案内の為の受付もあり おじさんが座っていて、

その作りは 無駄がなく 親切な感じが とても良かった印象があります。

部屋に行くには 簡素な中庭があり、その回り廊下を歩いて エスカレーターで最上階までのぼります。

着いて初めて分かったのですが、部屋は5、6部屋しかなく それにも関わらず看護婦が常に常駐していました。

部屋も 狭いのですが、極めて清潔に保たれていて、

圧巻だったのは ノートルダムの鐘が天窓から 間近に 見えることでした。


荷物を部屋に置いて 街で食事をしようと また 受付の前を通って出かけけようとした時、

入口が何時に閉まるのか 心配になって 受付のおじさんに 

「何時に 入口は 閉めますか?」 と尋ねた。

「入口を閉める? 何を言っている! 病院が入口を閉めるなんて事あるわけないじゃないか!」

おじさんは 私の質問に 憤慨。 私は 自分が 未開の国から来た気持ちで 恥ずかしくなりました。

救急車のたらい回し・・・・ 日本で常識になっているような事は この人権の国フランスには起きないのだろう。

( 娘にこれを伝えたら、日本より ヨーロッパの方が もっとヒドイ! 

  事務手続き 下手だもの。 だ、そうです・・・・)


食事を終え、夜遅く部屋に戻りましたが、確かに入口の扉は開かれています。

部屋に入ると ノートルダムの鐘がなりました。 その音は、鳴る時間によって 少しづつ違っていて、

夜がふけると 鐘の音も静かに響きます。


ここに入院している人は 毎日この素晴らしい鐘の音を 聞いているわけです。

そして、外出が許されたら ノートルダムのミサや コンサートにも 行けるのでしょう !

プライバシーが 守られていて、廊下を歩いていても エスカレーターに乗っても、入院患者に決して会いません。

シテ島の一等地を 病人の為に 明け渡し 静かな中庭、真横にはノートルダム そして、この鐘の音。

ホスピタリティの究極を 見た思いがしました。