歯科医師・美女製造プロデューサー®︎の小川恵子です
訪問歯科の患者さんたちは
ほとんどが高齢者であり、寝たきり、認知症、大きな病気などを抱えている。
自ら通院できない理由があるから、訪問歯科を依頼してくるのだ。
訪問歯科の仕事は、とっても大好きなのだが
永遠の別れが時々やってくる。
基本的に、訪問歯科に終わりは来ない。
治療が終わっても、ご自身で歯磨きができない場合が多く、
毎週のように、口腔ケアを続けなければならない人たちがほとんどだ。
数年、まともに歯を磨いていない。というのは、
訪問歯科あるあるだ。
「7月くらいまでは生きていると思います。」
2年以上お邪魔している、患者さんは
「入れ歯を作ったら、もう来なくていい。」
始めは、そう言っていた。
ある程度治療が終了し、終わりにしても大丈夫かな？という人もいるが、
この人は、入れ歯は絶対外さないし、歯も磨かない、という、
負のループを徹底している人だったので、
私は絶対に曲げなかった。
絵に描いたような「頑固じじい」
いつも眉間にシワを寄せ、笑顔すら見せず、
ぶっきらぼうに話す。
だいたいいつも怒っている。
「来なくていいよ。」と言われたが、
「ダメだよ、入れ歯外して、洗って、歯も磨くってのを毎日、朝昼晩やらないなら、
私が毎週来るから！」
入れ歯が出来上がる頃には、
打ち解け、仲良くなったので、
入れ歯がセットされても、
ほぼ毎週行ってた。
途中、一回入院したが、
「頑固じじい」なために、
入院するのが嫌だと、大騒ぎして
ほぼ「強制退院」させられて帰宅。
そんなこんなで、2年以上が経過した。
毎週、「会いに行く」ルーティン。
先日、突然本人から
「歯ブラシだけなら来なくていい。」
と電話があった。
せっかく、一週間に1回だけでも、歯を磨くことができていたのに、どうしたんだろ？と思っていたが
主治医のドクターから、
「1ヶ月半から2ヶ月かな？7月までは生きてるとは思います。」
との、いきなりの余命宣告に、
完全に雷に打たれた状態になった。
元々、大きな病気を抱えているのは知っているが、
まったくそのような感じが見えなかったから、
そんなに短いの？
たった２ヶ月？
軽い命なんてどこにもない。
この仕事をしていると、
いつしか命がなくなることに、
慣れてしまうという、
恐ろしい現象に陥りやすい。
今まで、何度も患者さんたちの余命を聞いてきたし、
別れを経験してきたが、
どんな患者さんでも、
毎回、寂しく、辛く、
そして、時々、思い出す。
この仕事を通じて、
一人一人から、毎回、多くのことを学んでいる。
私たちは、生まれた以上、いつかは必ず命がなくなる。
そして、それがいつまでなのか、誰も知らない。
後、何回、会えるのかな。
後、何回、どんな話ができるかな。
後、何回、何が私にできるのかな。
それを思いながら、
その都度の、治療と口腔ケアを全力で行うことが、
私の仕事だ。
