2月の最終授業から早くも1ヶ月が経とうとしています。

その間に卒業式もあり、突然の休校開始など

いろいろな出来事がありました。

1ヶ月どころか、半年ぐらい経ったような感覚さえしますびっくり

 

さて、2年生に向けての最後の授業は

夏目漱石の『こころ』でした。

昨年末から、上編・中編のあらすじの説明を

始め、1月に入り、教科書掲載の本文に

取りかかりました。

 

教科書本文は、多くの方がご存じの

下編の後半、「K」が下宿の「お嬢さん」

への恋心を「私」(上・中編の「先生」)に

打ち明ける場面から始まります。

 

「K」を下宿に呼び寄せる以前から、

「お嬢さん」に好意を寄せていた「私」は、

堅物の「K」の意外な告白に動揺し、

自分の感情にとらわれる余り、

仮病を使って大学の講義を休み、

「奥さん」(「お嬢さん」の母)に向かって

「お嬢さん」との結婚の許可を得るという

行動に出ました。

 

以下のストーリーは省略しますが、

この後の「K」の自殺に至るまでの

「私」の葛藤が描かれています。

 

「K」の自殺で本文が終わる教科書が

ほとんどかと思いますが、

その後、「お嬢さん」と結婚した「私」もまた、

明治時代の終わりと共に死を選びます。

 

この数年、毎年のように、

2年生を対象にこの場面の授業を

行ってきました。

漱石の難解な文章を丁寧に読み解くこと、

「誰が悪い」という発想のみで読まないこと、

この2点に注意して説明するよう心がけてきました。

 

テスト前の忙しい中、

書いてくれた感想文に目を通すと、

何とか私の思いは伝わったように思われます。

 

彼らに贈る最後のメッセージの一部を

以下に紹介します。

 

*****

私が授業の中でどれほどのことを

伝えられたかは自信がありませんが、

一緒に作品を読むことによって、

皆さんが作品の世界に入っていく

お手伝いができたのであれば、

私はナビゲーターとしての役割を果たせたと

考えたいと思います。

 

【中略】

 

授業でも話しましたが、『こころ』や『山月記』を

10年後、20年後に機会を見つけて読み直して

いただければ、高校時代とはまた異なる感想を

持つ自分に気づくことがあるかもしれません。

「今の自分」の思いを大切にしつつ、

自分の感性の変化・成長を前向きに

とらえてもらえればと思います。

 

*****

 

何かのご縁があって、

1年間授業を受けてくれた彼らに

心からの感謝を捧げたいと思いますラブラブ