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君は妖艶妃
朝日が煌めく清々しい光の中や
陽光が輝く昼下がりや
暮れなずむ黄昏色に染まる夕暮れの
中に佇む君はかろうじて人の理性を働かせて
くれる
けれども光がじわじわと闇に浸食され
当たりが夜の帳を纏い始めると
わたしは君を直視出来なくなる
いや、見たいのだ
しかし君の瞳の中に映る自分を見てしまったら
もう駄目なのだ。今日だって何故そんな眼差しで
寝床からわたしを見上げる?
まだ身体を横にする時間には早いだろう
夕食だってまだだし、天界からの書類にも目を通したい
風呂にだってはいらなければ…
そんなわたしの想いなど、そんなちっぽけな事は後でも良いでしょ?といわんばかりの瞳で彼はわたしを
見ている
「さんらん…髪の紐を引っ張らないで」
「ねえ、兄さん、少し横にならない?」
「だ、だめだよ、まだやることがあるでしょ!早く髪紐を離して!」
「さんらんは疲れて動けません」
絶境鬼王が疲れて動けない?
法力は天帝に匹敵するほど持ち合わせているときく
そんな彼が疲れるなど…
「なら、先に休んでいて」
「イヤです。殿下もさんらんと今すぐ休んでください」
そう言ってなんとわたしの髪紐を唇に寄せる
思わずわたしはさんらんに背を向け、目をぎゅと閉じた
体の中から何かが湧き上がるのを感じる
彼を見てはいけない
見たらもう抗えない
「兄さん…なんで背中しか見せてくれないの?」
「そ、それは、わたしは背中にも目がついていて何でも見えるんだ」
あー苦し紛れになんて滑稽な事を言っているんだ
わたしは
「ははは」
さんらんの明るい笑い声が極楽坊の中に響く
湿った吐息混じりの夜の言葉が
明るい朝の笑いに変わって少しわたしはほっとして
横たわるさんらんの方に体の向きを変えてしまった
![](https://stat.ameba.jp/user_images/20240531/09/keik1019/6a/1b/j/o0454041415445549701.jpg?caw=800)
声をださず悲鳴を必死に飲み込んだ
心臓がありえない速さに暴走する
血液が体の中心と脳に一気に集まり
蒸気する
もうダメ降参
君のような性悪をわたしは見た事がない
そして
君のような美しい鬼も見た事がない
今ならわたしはどんな聖人君主でも膝まづかせてしまう妖艶妃の物語が書けるだろう
「あ!兄さん!一緒に休んでくれるの?」
休むだけでは終わらないだろと
毒づきながらわたしは髪の紐を解きながら
妖艶妃の待つ寝床の横に体を横たえるのだった
(おわり)
広いお心でお許しくださいませ😊
明日から6月ですね
6月はわたしも動く月になりますので
ブログで色々と書きますので
宜しくお願い致します