怒りの代償 | 立命館大学ビジネススクール教授 高橋慶治のブログ

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立命館大学ビジネススクール教授、合同会社人間開発研究所代表社員、元臨床心理士、元JOC強化スタッフ(メンタルトレーニング、コーチング)の高橋慶治が、マインドフルネス、メンタルタフネス、ストレスマネジメント、コミュニケーション&人間関係など色々書いています。

去年の、NHKテレビの「おはよう日本」という番組で「アンガーマネジメントk研修」が取り上げられました。




アンガーマネジメントとは、アンガー(anger:怒り)のマネジメント(manegment:管理)ということで、怒りを適切にコントロールしようというトレーニングのことです。




私は以前より海外ドラマ、特にアメリカの犯罪サスペンスが好きで良く見ています。




その中で、怒りによって我を忘れて過剰な暴力的対応で容疑者に対処した警官や刑事、または学校内で感情をコントロールできず暴力的な言動をした学生などが、カウンセリングや怒りのコントロールのセミナーに参加を上司や教師によって指示されるというシーンを何度も見たことがあります。






日本では馴染みがなかったのですが、それが「アンガーマネジメント」と言われる類のセミナーだったのでしょう。




怒りは人間の自然な感情のひとつとは言え、怒りは状況によりますが破壊的、非建設的なものになりがちです。




それこそ事件ニュースを見ていると怒りに駆られた犯罪が毎日のように報道されています。怒りは、暴力、虐待の大きな原因のひとつになっています。





理性感情行動療法(以前は論理療法と呼ばれていました)の創始者アルバー


ト・エリスはその著書「怒りをコントロールできる人、できない人」で怒りの代償を述べています。






1.怒りは人間関係をだめにする。とくに「良い人間関係」を。怒りの対象になる多くは、配偶者、子供、同僚、友人などであり、個人にとって大切な人間関係であることが多い。




2.怒りは職場の人間関係を破壊する。リーダーシップやチームワーク、仕事の信頼関係を破壊してしまう。




3.困難な状況をさらに悪化させる。人生は困難と挑戦の連続です。私たちは苦境に陥り奮闘すします。怒りは人間に生じる当然の情動であり、それはときに問題解決に役立つこともあるでしょう。しかし、それが問題解決に最も効果的とは言えないでしょう。




4.怒りは攻撃を点火する。怒りは、暴力や虐待を引き起こします。それは、関係の喪失、失職、身体的損傷、財産の破壊、訴訟、投獄、罪や恥につながります。




5.怒りは心臓疾患を引き起こす。怒りと心臓疾患の関係を示す研究は多く報告されています。ある研究では敵意の高い人は低い人に比べ4~5倍の冠動脈性疾患であることが分かったといいます。




6.怒りは、抑うつ、恥、コントロール不足感、人間関係の不安、情緒的・個人的苦悩を引き起こす。




(続く)