1959年型 アパッチ・パネルバン オールペン25 | THREE ARROW INC. Restore&Custom

1959年型 アパッチ・パネルバン オールペン25

 

1959 GM Apache Panel  Restore

 

現在、キャビン部の色入れ中。

様々なトラブルが起きている。

 

カスタムペイントは、通常の補修、塗装と異なり

塗膜トラブルは良く起こる。

起こらない、起こさないように施工を心掛けてはいるが、

起きてしまう物は起きてしまうから

対処しながら作業を進めている。

 

チジレというトラブル↓

 

 

塗料、プライマーなど溶剤の結合が上手く行かないときに起こる。

良くあるケースとして

クリアの上からもう一度ベースコートを塗ると起きる。

これは、一番上のベースコートがクリアの下のベースコートと

化学反応を起こす。

 

何色もカラーを入れる場合など

その都度、クリアでカラーをカバーするから

乾燥不足、カラー溶剤の浸透、研ぎ傷などから

こういう現象が起きる可能性がある。

 

↑の写真はクリアのタレを直す為に研ぎを入れて

塗装しなおした時に起きてしまった。

 

対処方としては

乾燥させてから研ぎを入れて

チジレ部、浮いてる箇所を完全に研ぎ落として

塗装をやり直す。

 

 

理論として

溶剤が浸透してチジレるから

なるべく浸透しないように塗装する。

塗料の希釈は濃く、薄い溶剤だと溶剤分、シンナーや希釈液が

多いから染み込んでまたチジレる。

また乾燥速度を上げるために

乾燥機を使用ながら、ダマシダマシ塗装をするなど

 

チジレに関しては、リペアのアプローチ中に

シリコンオフなどの溶剤や水研ぎなど

なるべく行わない方が良い。

なるべく塗膜に変化を与えない様に

ホコリなどは全てタッククロスなどで吹き上げると良い。

 

 

脱脂剤、シリコンオフの跡、静電気などによる跡、シミのリペア

 

現車のように薄いカラーのメタリックでは

良く起きるトラブル、実際ソリッドカラーなんかでも

起きているんだろうけど、目視で確認出来ないから

気づかないと言ったほうが正しいかもしれない。

メタリック、シルバーの塗装が難しいと言われるには

こういう現象が起きるからとも言える。

 

 

↑は恐らく、シリコンオフ、脱脂した際の跡の上に

メタリックが付着してその跡が出来たと考える。

 

脱脂跡は、脱脂によって起こる。

脱脂、シリコンオフで下地を吹き上げると

溶剤であるから、厳密に言えば下を溶かしていたり、

汚れを引っ張ったりしている事が考えられる。

 

また静電気により

塗装前の研磨傷の状態が均一な状態で

塗料が乗らないなどが考えられる。

 

塗装環境など排気ダクトの方向も考えられる。

前から後ろに抜ける後方排気であれば

前の塗料が後ろの面にミスト状で舞い付着する

その上から吹き付けを行えば

均一にメタリックがならばないから綺麗に見えない。

 

このような場合は一度、セッティングをおいて

表面乾燥させ

かるく表面を研磨して、荒れた部分のみを

塗装しなおして、隣接部へボカシをいれるか、

ボカシが困難なら大きく全体的にボカシを入れると良い。

全部塗ってもO.K。

 

 

 

こちらも研磨後にはタッククロスで粉をふき取りながら

工程を進める。

 

 

マスキング紙が付着するトラブル↓

 

これは良くあるトラブル、

こういうトラブル回避の為にカラー後に

必ず、クリアでカバーしている。

このような状態になっても

表面のクリアに付着しているに過ぎないから

下のベースコート(青)にはダメージはない。

水をしみこませてそっと紙をはがせばO.K。

 

無理にツメや溶剤なんかでアプローチすると

チジレや剥がれなどのトラブルに発展するから注意したい。

 

必ず、ベースコートを塗装したらクリアでカバーするのが鉄則だ!

ただこの行為がチジレを引き起こすからとても悩ましいのだ。

 

 

色漏れ

 

↑これは、完全に人為的なミス

マスキングが甘かった・・・。

マスキングを終えた時には、綺麗に貼れている事を

確認している。しかし塗装中、塗装に入るまでの間に

テープが浮いた事が考えられる。

 

こちらは塗り直すしかない。段差を気にするなら

もう一度、全体をクリア吹き付けしないといけない。

たかが、このほんの少しの漏れで、側面部全体のクリアがけに

なってしまう。1つ1つ確実に行う事が大切。

実際に俺がミスしてるから偉そうに言えないが・・(-_-;)。

 

 

やり直しの際に注意したい事。

再塗装時には、その都度研磨を行う。

部分的にカラーを入れる場合は

カラーが入らない箇所に研磨傷が残る事がある。

 

 

カラー前にアンダークリアを使用すれば

そのようなトラブルを回避する事が出来る。

通常の補修、ボカシの際にもお勧めできる。

 

 

3/21 BOSS FB より

 

完全にドツボにハマってしまったが・・
なんとか立て直した!
塗装は一発でキメルのが一番品質が良い。
途中で補修したり、塗り直したりすると
その時点で品質は低下する。
品質を良くするのは、最初からやり直すしかない。
勿論やり直す!
今回、ラインの段差を一切無くす方向で
施工している事もあり、想定されるトラブル全てが
起きてしまった。
マスキング紙がくっついてしまう、ちじれる、色モレ、
脱脂跡によるシミなど・・。
1つ1つ、トラブルを処理しながら前へ進む。
トラブル回避で俺が一番苦手なのは、「待つ」と
言う事。せっかちな性格だから、
どうしても施工のスピードに乾燥が追い付かない。
「急げば回れ」なんて言葉があるけど、そのとおりだ。
お客さんやカーショーコンテストなど
俺の仕事を見てくれてる方には分かると思うが、
最終的に完成時には、完璧な状態でフィニッシュする。
実際、完成までの施工は、
こんな感じで、相当やり直しや手直しをしている。
タレやゴミなんかが無い!艶も均一!なんて言うのも
実は全て直しているのだ(-_-;)。
大きな車両のオールペンで手直し無しで完璧!と
いうのは、現在まで20年間、一度もない。
だから俺はまだまだなのだ・・。
ただセンスがないのかもしれないけど、
根性とかそういうたぐいの物だけは負けないから
仕上がりはいつも精神力でカバーしてる。

 

http://www.threearrow.ecnet.jp/