土井啓史の経済考察ブログ

こんにちは。株式会社Career Art、株式会社グリーン・メディカル代表取締役の土井啓史です。

私は大学卒業後、NECで7年間営業職として現場を経験したのちに独立し、これまで複数の事業を立ち上げてきました。現在は、転職支援とITスクールを運営するCareer Art、そして訪問看護事業を展開するグリーン・メディカルの代表を務めています。

本ブログではこれまで、日本経済の構造変化や市場価値の高め方、そして伸びる人材の共通点について発信してきました。

今回は「エンゲル係数28.6%」というニュースを起点に、経営者の視点から“これから評価される人材と組織”について整理していきます。

エンゲル係数28.6%が示す構造変化

エンゲル係数とは、家計支出に占める食費の割合を示す経済指標です。この数値が高いほど、生活における食費の負担が大きい状態を意味します。

日本ではこのエンゲル係数が28.6%となり、約40年以上ぶりの高水準となりました。総務省の家計調査においても、食料品価格の上昇が家計を圧迫している傾向は継続的に確認されています。

この数字が示しているのは単なる「食費の上昇」ではありません。本質は、“生きるためのコスト”が構造的に上がっているという点にあります。

背景には、食料品価格の上昇、エネルギー価格の高騰、円安による輸入物価の上昇といった複合的な要因があります。結果として、可処分所得が圧迫され、自由に使えるお金が減少している。

ここで重要なのは、この状況は個人の努力不足ではないということです。実際、現場で多くの若手と接していると、現在の20代・30代は非常に努力していると感じます。それでも生活が楽にならないのは、社会構造そのものが変わっているからです。

節約では未来は変わらない

物価が上昇し続けるインフレ局面において、「節約」だけで状況を改善することには限界があります。

もちろん、無駄な支出を見直すことは重要です。しかし、コーヒーを控える、外食を減らす、サブスクリプションを解約するといった行動で削減できる金額には上限があります。

一方で、収入には必ずしも上限があるわけではありません。にもかかわらず、多くの人が支出の最適化には時間を使う一方で、収入の最大化には十分な時間を投下していない。

さらに重要なのは、会社任せのキャリア設計が成立しにくくなっている点です。かつての終身雇用や年功序列の仕組みでは、長く在籍すれば自然と収入が上がる構造がありました。しかし現在は、企業側も成長性や収益性を強く求められる中で、個人の価値がダイレクトに評価される時代に移行しています。

だからこそ問われるべきは、「今の会社が自分の単価を上げる仕組みを持っているか」という視点です。

価格決定権を持てる人材とは

これからの時代において重要になるのが、「価格決定権」という考え方です。これは、自分の仕事の価値を市場でどのように評価されるかを自らコントロールできる力を意味します。

市場価値の高い人材には、いくつかの共通点があります。

第一に、環境を言い訳にしないこと。景気や会社の評価制度を理由に立ち止まるのではなく、自分の提供価値を継続的に更新していきます。

第二に、学び続ける姿勢です。スキルや知識、経験を積み重ね、価値を高め続けることで、市場からの評価を引き上げていきます。リスキリングの重要性が叫ばれる中、経済産業省の調査でも、継続的な学習を行う人材ほど賃金上昇率が高い傾向が示されています。

第三に、成長環境を選ぶ視点です。優秀な人材ほど「どこで働くか」に対して高い解像度を持っています。経営の現場から見ても、人の成長は環境によって大きく左右されるのは間違いありません。

訪問看護に見る“価値が下がらない領域”

具体例として、私たちが取り組んでいる訪問看護事業を挙げてみます。

日本は急速に高齢化が進んでおり、総務省の統計でも65歳以上の人口は全体の約3割に迫る水準にあります。こうした構造の中で、医療需要は中長期的に増加していくことがほぼ確実視されています。

特に重要なのが在宅医療です。病院中心の医療から、自宅で生活しながら医療を受ける形へとシフトしていく中で、訪問看護の役割はますます大きくなっています。

この分野の特徴は、社会課題と市場成長が一致している点にあります。高齢化という構造が続く限り、需要は安定的に存在し続ける。

さらに重要なのは、専門性がそのまま価値に直結することです。スキルや経験がダイレクトに評価されるため、個人の市場価値が積み上がりやすい領域でもあります。

実際に事業を運営する中でも、社会構造と一致した領域に身を置くことは、個人にとっても大きな成長機会になると強く感じています。

いい会社の条件は“人の単価を上げる設計思想”

では、これからの時代における「いい会社」とは何でしょうか。

一般的には、福利厚生や働きやすさ、安定性といった要素が重視されがちです。もちろんそれらも重要ですが、本質的な視点は別にあります。

それは、「人の単価を上げる設計思想を持っているかどうか」です。

具体的には、成果が適切に報酬へ反映される仕組みがあるか、挑戦できる機会が用意されているか、スキルが積み上がる業務に携われるか、優秀な人材と共に働ける環境があるか、といった点です。

こうした環境に身を置くことで、個人の市場価値は着実に高まっていきます。

一方で、人材を単なるコストとして扱う組織では、どれだけ時間を費やしても単価は上がりません。組織が人を資産と捉えるのか、それともコストと捉えるのか。この思想の違いが、人材の成長曲線を大きく左右します。

エンゲル係数28.6%は“環境を見直せ”というサイン

エンゲル係数28.6%という数字は、単なる経済指標ではありません。これは、私たちに対する明確なメッセージです。

それは「節約せよ」ではなく、「環境を見直せ」というサインです。

経済構造が変化する中で、これまでの延長線上にあるキャリア設計は通用しなくなりつつあります。これから問われるのは、自分の市場価値をいかに高めていくかという視点です。

最後に一つだけ問いを投げかけたいと思います。

今の環境は、あなたの単価を上げる構造を持っているでしょうか。

もしその答えに迷いがあるのであれば、それは環境を見直すタイミングかもしれません。

これからの時代に必要なのは我慢ではありません。自分の価値を高められる環境を選び続ける意思決定です。その選択の積み重ねが、数年後のキャリアに決定的な差を生みます。

経済の変化は止めることができません。しかし、その中でどのようなポジションを取るかは、個人の意思で選ぶことができます。

だからこそ、今このタイミングで、自分の立っている場所とこれから向かう方向を、改めて見直してみてはいかがでしょうか。
 

 

◆土井啓史の実績・プロフィール


 1979年神奈川県横浜市生まれ。
 幼少期を米国で過ごしたのち、慶応義塾志木高等学校、慶応義塾大学総合政策学部(組織論と戦略人事を専攻)を卒業。2003年にNECに入社。
 営業職で経験と実績を積み上げ、29才で独立起業。
 流通、小売、メディア、ITサービス、不動産、人材などのベンチャーで経営企画に参画した実績をもち、2019年より転職エージェントである株式会社Career Artを創業、同社代表取締役に就任。2025年より訪問看護事業をおこなう株式会社グリーンメディカルを創業し、同社代表取締役に就任。

 

<株式会社Career Art>

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<株式会社グリーンメディカル>
 https://aoba-houmonnkango.jp/

<wantedlyインタビュー記事>
 https://www.wantedly.com/id/keiji_doi_career_art

<連載コラム>
 ・20代からの仕事術
 https://note.com/kay88/m/m771259df2325

・チームの力を最大化する組織論

 https://note.com/kay88/m/md55d6c5bd88a

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