先日、久しぶりにNゲージのレールを広げ、ささやかな運転会を自宅で開催しました。今回のテーマは、ずばり「北陸本線」です。北陸新幹線の敦賀延伸開業により、その姿を大きく変えた旧特急街道の記憶を、模型の世界で再現しようという試みです。
今回の運転会で中心となる車両は、KATO製の「EF510形電気機関車(レッドサンダー)」と、それを牽引するコキ100系コンテナ車12両編成です。また、北陸の足として活躍中のTOMIX製の「521系」3次車4両編成も登場します。鮮やかな赤い車体に稲妻のマークが描かれたEF510は、KATO製品ならではの安定した走行性能で、長い貨物列車を力強く牽引し、心地よいジョイント音を響かせます。その存在感は、小さな模型ながらも、実車の迫力を彷彿とさせます。
一方で、TOMIXの521系は、少々手がかかりました。久しぶりの走行ということもあり、レールを丁寧に磨き、車輪のメンテナンスも実施しましたが、どうも調子が良くありません。ポイントを通過する際やカーブで、時折「カクン」と停止してしまうのです。「もう少し頑張ってくれよ」と心の中でつぶやきながら、コントローラーを操作する時間も、模型趣味ならではの、悩ましくも楽しいひとときです。
模型の521系を見ていると、ふと、過去の記憶が蘇ってきました。それは、実際に北陸本線の車両を追いかけて撮影旅行に出かけた時のことです。
2024年1月、あの頃は北陸新幹線の敦賀開業を間近に控え、北陸本線にとって「最後の冬」と言える時期でした。
3泊4日の予定で意気揚々と現地へ向かいましたが、待ち受けていたのは、厳しい自然環境でした。連日、強風が吹き荒れ、体の芯まで冷えるような寒さに見舞われました。カメラを構えていても、突風にあおられて体がぐらつくほどです。ファインダーを覗く目は涙でかすみ、シャッターを切る指先の感覚も麻痺してきます。それでも、「この光景は、もう二度と見られない」という思いだけが、私を線路脇に立たせていました。
体力の限界を超えた結果、帰宅後には体調を崩してしまいました。数日間、高熱と悪寒に苦しみ、布団の中で「もう若くないな」と痛感しました。文字通り、寒さと戦い身を削るような撮影旅行でした。
しかし、今振り返ってみると、あの時無理をしてでも撮影に行って良かったと心から感じています。雪混じりの風を切り裂いて走行する683系「サンダーバード」の美しいシルエット。北陸の雪景色に溶け込むような681系「しらさぎ」の優雅な姿。そして、悪天候にも負けず、力強く物流を支えるEF510形電気機関車が牽引する貨物列車。短い区間ながらも、地域輸送を支える521系の姿も記録できました。
新幹線が開業し、並行する在来線が第三セクターに移管された今、かつて特急列車が頻繁に走っていた北陸本線の風景は、もう見ることができません。だからこそ、風邪で寝込んでしまったつらい記憶も、「あの冬、最後の輝きを目に焼き付けた」という勲章のように思えるのです。机の上で、時々止まってしまう521系の模型を見ていると、あの強風の中、必死にシャッターチャンスを待っていた自分が重なり、愛おしく感じられます。
ちなみに、この時の3日間の記録は、YouTube動画にまとめています。
タイトルは「【高速走行音】北陸新幹線開業直前、最後の冬‼」。寒風が吹き荒れる中だからこそ録音できた、澄み切った空気の中に響くモーター音やジョイント音。あの冬の北陸本線の空気感を、映像を通して感じていただけたら嬉しいです。
南今庄駅編
https://youtu.be/x_0Qg_sNiRc
細呂木,芦原温泉,敦賀編
https://youtu.be/x7feJuWGmqM
敦賀,小松,小舞子,能美根上,松任,金沢編
https://youtu.be/DglO1VPagwU
