恐怖の毒水製造パック

 

今回あえて醜態を晒す事で自己への戒めと、全ての山屋が同じような目にあわないよう注意喚起する意味も込めて。特に使い込まれた装備の多いベテランに起こりやすいケースなのだ。

GW前半、飛越〜新穂高の距離約42キロ、累積標高約3500m、行動時間21時間と、とんでもないワンデーロング山スキー山行に付き合った。

 

 

 


関西にいる頃から一緒にバリエーションや沢をガシガシやっていた、お互い実力、体力、共に知り尽くして気心も知れた友人ではある。

しかしある時からウルトラ系トレールランナーに転身し変態的山行色がより濃くなってきてから、彼のぶっ込んで来る山行は結構とんでもないのが多いのだが、今回のもそんなものの一つである。

彼との山行は悠長に水分補給をしている暇がないので、ハイドレーションをよく使う。今回もそうなのだが身に着けていた2Lのハイドロレーションパックは、前回洗って2年程使わず保管されていたものであった。

王滝レースに出てた頃は良くスポーツドリンクを入れていたのだが、これが頻繁に使わないとすぐカビが発生するので、ある時を境にミネラルは塩飴やゼリーで取り、水筒には水しか入れなくなった。覚えている限り使用した物も新品時から水しか入れていないはずである。しかし洗って保管しているとは言え、いきなりゆすぎもせず水を入れてザックにセットしていたのはも反省点ではある。

今回のワンデーロング山行で私を助けるはずのハイドレーションが、まさか私を終始苦しめる事になろうとは。

それがどうやら判明したのは行程の半分以上を過ぎてからであった。薄々勘づいてはいたのだが、喉が渇くとつい飲んでしまう無限地獄のループにはまってしまったのだった。

それまでは飲んで食べると出てしまい殆どエネルギー補給はできていなかった。大腸カメラの前に下剤を2L飲んだあとの症状と言えばお分かり頂けるだろうか。

今回担いでいた補給食で余ったのはチャーハンおにぎり5個、カレーパン2個、ジャイアントコーン2袋、サラミ3本、毒素の水1L、と持っていった行動食の殆どが喉を通らず。補給できたのは塩飴と男梅グミとウイダーゼリー4個で殆どの行程をこれでこなす事になってしまった。大食漢のわたくし、そらいつものパワーが出んはずやわな。

気づいてからは毒素水飲まずに乾きを我慢し、双六谷出合でフレッシュな水にあり付き、漸く腹が落ち着いてきたので、チャーハンおにぎりを、腹に優しそうな相方のシャケおにぎりに交換して貰い腹に入れ、やっと元気になってきた。


しかし体内に溜まった毒素は、まだ時折排出を強いられ時間をくってしまう。夜勤スタートにもかかわらず明るい内に戻れなくてプチ残業になったのは、なにも薮迷いだけではなくこれも原因の一つである。

さて、問題のハイドレーションの毒素水、正体は何なのか?
1番怪しいのはカビである。特にホースやその接続部は完全乾燥に時間がかかりその間に発生していた可能性が高い。
2番目は、灼熱のクーラー無し室内に2年も放置していて、樹脂が劣化して溶け出した可能性もゼロではない。

詳しい事は分からないがこのような長い山行では新品を使うべきであった。そして水を満たす前に良く洗う事が肝心である。ハイドレーションが古い人は特にご注意願いたい。

平湯の水は美味しいぞ〜