上原彩子を聴いた(所沢ミューズ) | キーの、ゴルフとクラシック音楽と

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 昨日の夜は、所沢ミューズで上原彩子のピアノを聴いた。オケは指揮:クリスチャン・ヤルヴィ、ウィーン/トンキュンストラー管弦楽団だ。
 一曲目、大好きな「ペール・ギュント」第一組曲。先週、東響で聴いたばかりだ。指揮者のヤルヴィはバルト海エストニア生まれ、ニュー・ヨーク育ちとのこと。オケと完全に一体化し、自由自在といった感じだ。背が高く、どちらかというと、Xファイルのモルダーに似た風貌。一曲目「朝」のタクトを振り出しと同時に、歯をむいてにっこり笑う。緊張を解くのだ。所作は大きい。佐渡裕よりも優雅で大きい動きだ。ズボンはマンボ風の細身。ジャケットはオーバーのハーフコートのようなデザイン。全身黒ずくめ。音楽の感情を開けっぴろげに表現する。好感の持てるメリハリの利いた指揮だ。舞曲になると踊るような大きな動作だ。ギャロップの格好をしたり、喜びの表現が大きな人だ。
 私はバックステージ側の席(最も安い席)で、指揮者の真っ正面にいた。彼の表情と動作がとても楽しめた。「ペール・ギュント」は(オーゼの死)の悲しみに満ちた表現と、(アニトラの踊り)の舞曲との対比が素晴らしかった。。日本人ではこのような大きく優雅な指揮は見たことがない。
 「ペール・ギュント」第一組曲に関しては、出来れば(ソルベイグの歌=ソプラノの歌が入る)も入れてほしいものだ。ソプラノの哀愁たっぷりな曲を楽しみたいので。

 さて、ピアノが運び込まれ、上原彩子だ。グリーグの「ピアノ協奏曲イ短調」。実物を見たのは初めてだ。体つきはテレビの映像よりふっくらとしていた。出産後なのでそうかもしれない。このまま太り続けなければよいが。演奏はエネルギッシュで評判通りだった。カデンツァの表現力の豊かなこと。オケの連中も見とれていたようだ。何か聞き手の心を揺さぶる迫力だ。チャイコフスキー国際音楽コンクールで本邦初の第一位。実力通りだった。目下、当代随一か。

 そして、三曲目。「新世界より」。いい演奏だった。曲の夫々の部分がキラキラ光っているのだ。オケの実力は素晴らしいもので、それをのびのびとヤルヴィがまとめあげているのだ。特に舞曲ののりがいい。ウィーンは音楽の奥行きがこれほど深いのだ。
 アンコールは、ハンガリア舞曲第6番。そうだろうな。舞曲の生き生きしていたこと。拍手が続く中、何度目か指揮者が指揮台に帰って来たと思ったら、すぐに演奏。イントロ、ジャン、ジャーン、でフェルマータのブレイク。ここでヤルヴィは客席にぐるっと振り返る。観客の顔を見るのがうれしいのか。そして、曲が進む。ふたたびジャン、ジャーン、でフェルマータのブレイク。また客席に振り返る。ユーモアたっぷりの演奏会だった。弦の中ではビオラがしっかりした音作りを行っていた。低音の効いたバランスのとれた生き生きした音作りだった。
 私がライブで聴いた中で、今シーズンベストの演奏だ。指揮者、オケ、そして上原彩子の全てが赤丸上昇中だ。
 秋の夜長は最良の質の音楽に限る。それもライブで。