再び、原節子の映画を見た。小津安二郎監督、笠、東山千栄子、杉村春子だ。昭和26年作品。「晩春」の翌年。「東京物語」の2年前。「秋日和」の9年前だ。
「東京物語」を含めて、連作の趣だ。「晩春」、「麦秋」は似ているところがたくさんある。主題は、紀子(原節子)の結婚問題だ。紀子は鎌倉に住み、東京の中心オフィス街に通っている。湘南電車で通勤している。「晩春」ではタイプに関係する仕事、「麦秋」では英文を扱う重役秘書だ。27~28歳の想定。当時は、結婚が遅れていると言われる年頃らしい。仲良しの、友達がいる。月丘夢路であり、淡島千景である。
原節子は背が高くスレンダーだ。着ている洋服も趣味がいい。いつも笑顔で、笑いながらの台詞になる。目が笑っているのだ。明るい性格で、かつ,自分の意志をはっきりと通す気位の高い役作りだ。食べ物もしっかり食べる。酒も飲む。食卓を両親、兄の家族と囲み、食後、飯茶碗にお茶を入れそれを飲むようなこともしていた。そして、箸は箸入れに入れていた。
どちらの映画も、上流家庭なので、能や歌舞伎を観劇し、料亭で食事をする。それが、両方とも同じような店だ。
そして、「東京物語」、「秋日和」だ。原はともに結婚後の設定だ。「東京~」では、戦後数年経っているが復員してこない夫を待ついわゆる戦争未亡人役。「秋~」では、一人娘(司葉子-司の友達に岡田茉莉子)が適齢期になった未亡人役。かっての「晩春」で笠が演じた父親を原が、原が映じた一人娘の役を司が手がけている。時が巡り原の周りの環境の変化が。そのまま映画の役になっている。一人娘を嫁に出し、一人残った母親の孤独と満足感を味わっている。どの映画も、布団の上に正座して、この生活感を味わう。
どこか微笑ましい笑いが、そして、なぜか幸せの涙も漂う。日常生活の中に。