本  【経営コンサルタントのお勧め図書】最新「ロジカル・シンキングがよくわかる本」 2305

 

【 注 】

 一部、誤記がありましたので部分修正しました。

 ご迷惑をおかけいたしましたが、今後ともよろしくお願いいたします。

経営コンサルタントがどのような本を、どのように読んでいるのかを教えてください」「経営コンサルタントのお勧めの本は?」という声をしばしばお聞きします。

 日本経営士協会の経営士・コンサルタントの先生方が読んでいる書籍を、毎月第4火曜日にご紹介します。

 

 【経営コンサルタントの本棚】は、2012年に、経営コンサルタントがどのような書籍を読んでいるのか知りたいという、ブログ読者の声を反映して企画いたしました。

 幸い、日本で最初に創設された経営コンサルタント団体である日本経営士協会には優秀な経営士・コンサルタントがいらっしゃるので、その中のお一人である酒井闊先生にお声をかけましたところ、ご協力いただけることになりました。

 それが、今日まで継続されていますので、10年余もの長きにわたって、皆様にお届けできていることに誇りを持っています。

【 当ブログ運営者より】

 酒井先生には、毎月几帳面に当ブログにご寄稿下さっているだけでもありがたいと思っています。

 その上で、今回は、ロングセラーを続けています弊著を取り上げて下さり感謝以外の何ものでもございません。

 ありがとうございます。

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■    今日のおすすめ

  『最新「ロジカル・シンキングがよくわかる本」』

                  (著者:今井信行 発行所:秀和システム)

 

 

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■ K・K・D(経験・感・度胸)思考からの脱却を(はじめに)

 ロジカル・シンキングと聞いて、ピンとくる人はどれ位おられるでしょうか。私の周りの人に試してみましたが、まともに反応した人は、感覚的ですが、30人に一人位いでしょうか。
 そこで、私流に、出来るだけ紹介本の表現に沿いながら、ロジカル・シンキングを分かり易く述べてみたいと思います。
 ビジネスを戦いに例えます。戦いには武器が必要です。武器無しでK・K・Dで戦うのは、自己流・非論理思考ビジネスパーソンです。これに対し、ロジカル・シンキングという武器で武装し、突き進むのは、発展的・勝利型・論理思考ビジネスパーソンです。
 ここでロジカル・シンキングの概念を明確にするために、クリティカル・シンキングと対比してみましょう。
 著者はこれについて、別の著書での記述も併せて、次のように述べています。『ロジカル・シンキングは、信頼できる結論を導き出す「意思決定ツール」です。一方、クリティカル・シンキングは、現状をクリティカル、ゼロベース思考で考え、ロジカル・シンキングの「意思決定ツール」を手段とし、統合的に思考の手順を体系化し、組合せ、問題・課題に取り組む「思考技術体系」です。ロジカル・シンキングは簡単な課題解決に、クリティカル・シンキングは複雑な課題解決に向いています。』
 著者のこの記述は、私流に言い換えると、ロジカル・シンキングはブロックで、クリティカル・シンキングはブロック(以下ではツールと表記)を組立てて経営の仕組み(管理設備)を作る構築テクニックと言えるかもしれません。
 私がここで強調したいことは、良い仕組みを作る上でも、ツール単独の効能を高める上でも、良いツールを掘り起こし正しく活用することです。
 紹介本は、目的に合う良いツールを掘り起こし、効能を引き出す指南書です。つまり、良いツールの効能を的確に引き出す「心構え」(「思考基本」)、目的に適う良いツールと結びつく発想法を分類した「発想法の体系」(「思考手法」)、幅広い思考用の一般的ツールを体系化し有効な使い方を示す「ツールの体系と活用法」(「思考用具」)の3項目をロジカル・シンキングの基本要素として体系化しています。まさに、著者が言う「ロジカル・シンキング習得の近道」を具現化しているのです。
 紹介本は、ロジカル・シンキングの著書の中で、MECEで全体最適な体系化、網羅的、分り易さではナンバー・ワンではないでしょうか。
 次項では、他の著書では見られない「ロジカル・シンキングの体系的全体俯瞰」について述べます。
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■    ロジカル・シンキングの全体を、体系的に俯瞰する

 

【ロジカル・シンキングを体系的に全体を俯瞰する】
 著者の言う「近道」である体系的全体俯瞰を具体的に見てみましょう。
 100を超えるロジカル・シンキング・ツール全体を一度に理解することは難しいです。全体を把握するには体系化・構造化が必須なのです。紹介本は、ロジカル・シンキングの「基本要素の3項目(上述)」を、それぞれMECEに適切に解析・分類し、ロジカル・シンキングの体系を構築しています〔図1〕。

図1


 まず「思考基本」です。ゼロベース、包括的な全体最適、MECE、新規性・創造性、プラス思考、体系化・構造化を挙げています。
 ここで、「思考基本」の有る無しで大きく変わる事例を上げましょう。「改善」「改革」の例で見てみましょう。「改善」は今までの延長線上での改良ですので、体験・経験を持ち寄ることが求められます。「改革」はこれまでの全てをリセットして新しく再構築することで可能になります。ロジカル・シンキングのスタートの段階で、ゼロベース思考にリセットしなければ、「改革」は成就しません。
 次は「思考方法」です。信頼できる結論を導き出す「意思決定ツール」を見つけるには、求める課題に相応する「思考方法」を明確に意識することが重要です。紹介本が上げる思考方法は、発散・収束、演繹・帰納、因果関係、仮説、階層(ヒエラルキー)、枠組み(フレームワーク)、選択肢(オプション)、過程(プロセス)の8思考です。
 最後に「思考用具」です。幅広い思考用の一般的ツールを包含できるように、階層型思考ツール(ヒエラルキー)、枠組型思考ツール(フレーム&マトリックス)、過程思考型ツール(フロー・プロセス)に分類し、集約・体系化しています。これにより、「思考用具」全体を俯瞰できる枠組みができます。紹介本の優れている特徴です〔図2〕。

図2


 ここで、ロジカル・シンキングの基本要素を3項目に体系化する理由を見てみましょう。
 それは、「求める課題」に応じて、「思考基本」を常に認識しながら、「思考方法」に相応しい、単独または組合せの「思考用具」を選択し、活用・思考し、最適解を得ることが出来るからです。
 最適解を得る一つの例を示しましょう。「7S分析による戦略検討表の例」です〔図3〕。この例示は、経営戦略立案を課題とするケースに於いて、戦略立案の要素が多岐に亘ることを考慮し、「思考方法」の中の枠組み(フレームワーク)思考に加え選択肢(オプション)思考が不可欠と考え、7Sのフレームと三次元マトリックス(枠組型思考ツール〈フレーム&マトリックス〉)を「思考用具」として選択し、「思考基本」の全てを意識しながら、思考・選択し、戦略を導く例です。得られた最適解は、クリティカル・シンキングを通して、最良の経営の仕組み(管理設備)の構築に繋がるでしょう。

図3


【詳細は紹介本をお読みください】
 ロジカル・シンキングについて、入口を見てきましたが、字数の関係で、ここで止めます。是非、紹介本を読み、その先に進み、「思考しながら体得」して下さい。
 特に、「思考基本」「思考方法」を踏まえた、ビジネス会話・交渉、プレゼンテーションについての教示は必読です。
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■    ビジネスパーソン・ライフをスパイラルアップしよう(むすび)

 ビジネスパーソンは日々、会話、メール・チャット、会議・ファシリテーション・プレゼンテーション、課題との出会い、立案、レポート等に直面します。紹介本を読み物としてではなく、日頃からこれらの実務に用いながら、ロジカル・シンキングを「思考しながら体得」し、様々な分かれ道において、成功方向への道を歩み、ビジネスパーソン・ライフをスパイラルアップしましょう。

【 注 】

  図版は、下記URLにて、pdf形式でも見ることができます。

http://www.glomaconj.com/joho/blog/sakai20230523logicalthinking.pdf

 

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【酒井 闊プロフィール】

 10年以上に亘り企業経営者(メガバンク関係会社社長、一部上場企業CFO)としての経験を積む。その後経営コンサルタントとして独立。
 企業経営者として培った叡智と豊富な人脈ならびに日本経営士協会の豊かな人脈を資産として、『私だけが出来るコンサルティング』をモットーに、企業経営の革新・強化を得意分野として活躍中。

  https://www.jmca.or.jp/member_meibo/2091/

  http://sakai-gm.jp/

 

【 注 】  著者からの原稿をそのまま掲載しています。読者の皆様のご判断で、自己責任で行動してください。

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