■【成功企業・元気な会社・頑張っている社長】023 筑波大発・宇宙VBが衛星利用のニュービジネスに挑戦 8117-A622

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■ 023 筑波大発・宇宙VBが衛星利用のニュービジネスに挑戦 8117-A622

 地上から100kmほど離れると「宇宙空間」に到達する。これは東京-宇都宮間の距離で、思いのほか宇宙は近くにある。その宇宙を、より身近なものにしよう、みんなが宇宙と遊ぶ世界を実現しようと、人工衛星関連ビジネスに取り組んでいるのがワープスペース(茨城県つくば市、亀田敏弘社長)。亀田社長は「アミューズメントやイベント・広告といった新分野を開拓し、宇宙を楽しむ時代をつくりたい。宇宙のビッグデータを活用する夢も描いている」と、宇宙開発新時代の尖兵役を果たす気構えだ。

 同社は筑波大学発ベンチャーとして2016年8月に発足した。筑波大では2011年、JAXA(宇宙航空研究開発機構)などの協力、援助のもと、衛星プロジェクトを立ち上げ、低価格衛星をベースとする数々の事業アイデアを生み出し実践してきている。そんな中、「エンジェル投資家に恵まれた」(亀田社長)ことで宇宙ベンチャーが誕生する。創業者の亀田社長は筑波大准教授を務め、経営者と研究者の二足のわらじを履く。総勢20名ほどのスタッフも取締役CTO(最高技術責任者)をはじめ、学生との兼業者らが大半を占める。

 『人々が思い思いに宇宙を楽しめる世界を創造する』。こんなミッションを掲げる同社は、現在、観測や測位、通信が主な用途の人工衛星を、アミューズメント、イベント・広告、教育・研究をはじめ幅広いジャンルに活用しようとしている。すでに、工業高校での「宇宙授業」などの案件が具体化しているという。亀田社長は「JAXAや産総研と近接する立地を生かし、各機関と連携しながらPDCAサイクルを回して市場を開拓する」と事業家としての意欲、意気込みを語る。

 2017年1月、筑波大・衛星プロジェクトの一環として、超小型衛星「結(ゆい)2号」が国際宇宙ステーションの「きぼう」日本実験棟から宇宙に放出され、結は今日まで順調に稼動している。ワープスペースでは「学生と共に歩んできた独自路線の開発に自信が持てた」(亀田社長)と、同プロジェクトの実績を拠り所に、手軽でローコストの衛星ビジネスを推進する。亀田社長は「衛星のミッション立案から設計製造、試験、打ち上げ、管制、衛星データ活用まで、一貫した衛星関連事業サービスの確立が当面の目標」とも話している。

 同社では宇宙におけるビッグデータにも目を向けている。具体的には(1)近宇宙(宇宙空間のうち地球に近い空間)のデータを収集する低価格衛星の大量供給、(2)衛星の宇宙への輸送、(3)データの収集と蓄積-を三位一体で行える希少な事業者のポジションを確立する、といった青写真を描いている。「地上のビッグデータはグーグルが押さえている。宇宙のビッグデータは我々が握る」(同)と、青写真の大きさは宇宙空間に勝るとも劣らない。

 

  出典: e-中小企業ネットマガジン掲載承認規定に基づき作成

 

 
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