■■【時代の読み方】 日本における雇用問題 2014/06/19

 時代の流れを時系列的に見ると、見えないものが見えてきます。NHKの放送や新聞・雑誌などを見て、お節介心から紹介しています。


独善解説

■ 日本における雇用問題 2014/06/19

NHKの番組で、労働政策研究・研修機構主席統括研究員をされています濱口桂一郎氏が、日本におけます労働問題について語っていました。氏のお話を要約してみました。

日本におきましては2000年代に入りますと、労働問題が若者の雇用問題にシフトしてきました。それまで、日本では若者の雇用問題など存在しなかのように見られてきました。ところがバブルがはじけますと「就職氷河期」という言葉が流行するほど、若者の雇用環境が厳しくなりました。

欧米では、それ以前から若者の失業率の高さが大きな問題となり、例えばスペインでは若者の50%もが失業状態である、等と報道されてきました。その背景には、若者のスキルの低さです。

即戦力が求められます欧米の労働市場では、スキルを持つ中高年がもてはやされていました。

日本では、人件費の高い中高年労働者よりも、将来のある若者を雇用し、仕事を通じてキャリアアップさせるやり方が伝統的にありましたので、雇用問題がクローズアップされずにいました。

1990年代以降の就職氷河期を迎えますと、「入社」できない若者が増えてきました。その若者たちがフリーターなど非正規労働者として滞留するようになってきたことは、広く知られていることです。

しかし、現況をよく見ますと、若者雇用問題といっても、正確には「若い中高年」問題というべきものであると濱口氏は論じています。

それに対し、日本の雇用問題の中心である中高年問題とは、人件費が高くつくがゆえに、現に働いている企業から排出されやすく、排出されてしまったらなかなか再就職しにくいという問題です。

その人達を救うがために、若者の就職の機会が減ってきてしまったと考えられます。

このことに対しては、異論も多く出ています。

若者が著しく不利益を被ってしまうような構造に、氏は着目しています。

欧米では、1970年代から1980年代にかけて若者のためと思って、中高年に対して早期引退促進政策という政策をとってきました。そのためにスキルレベルが落ちるという問題に遭遇してしまいました。その問題から、ヨーロッパ諸国では、各種の対応策を講じてきています。

一方で、そのような失敗経験がない日本では、これから本格的な解決に着しなければならない時代に遭遇しています。欧米など「他人の経験」をきちんと学び、対応すべきと、氏は結論づけています。

高齢化社会を迎え、増加する高齢者の生活維持のコストを誰が負担するのかを再度、真剣に考えるべきではないかと私は考えます。高齢者が自分で働き、自活することを重視するのか、若者に雇用機会を提供して、安定的な収入の上に、高齢者をサポートしてゆくのか、選択肢はあまり多くない中で、基本方針の見直しと、早期の政策課題としての取り上げが必要と考えます。


■ 日本は、人手不足になるのか? 2014/06/12

町を歩いていましても、新聞に募集欄を見ましても、「スタッフ募集」とか「アルバイト緊急募集」といいます表示が目立ちます。LCC(格安航空会社)のパイロット不足で、フライトキャンセルが多発し、今後増えそうだという時代です。

NHKの今井純子解説委員が、この問題について、コメントをされていましたので、ご紹介します。

仕事を探す人一人に対して、何人分の仕事量があるかということを表すのが「有効求人倍率」です。4月は、1.08倍ですから、仕事を探している人よりも、人材を求めている数の方が多い、人が足りないという状態になっています。

とりわけ外食産業や建設業では深刻です。

一方で、求職何の分野もあります。一般事務は、0.23倍ですので、4人の希望者に対して、仕事が一人分しかない状態です。

なぜ、急に人手不足なっってしまったのか、今井解説委員は、次のように分析しています。

1.景気の回復で、消費が増えて、多くの企業が採用を増やしています。人を集めるために、給料を上げる企業もでてきているのです。

2.そういう中で、特に、これまで、低い賃金で、厳しい長時間の労働を強いられてきた人たちが、もう耐えられないといって、次々、辞めて、より待遇のよい仕事に移ってしまっています。新たに人を募集しても、集まらなく、そういう動きが相次いでいるのが、最近の大きな特徴です。

人手不足ですので、賃金は上昇しています。

1.正社員については、今年の春闘で、中堅・中小の企業でも、賃金を上げる動きが目立ちました。これも、若手を中心に人材をつなぎとめようという狙いもありました。

2.正社員以外でも、パート・アルバイト、そして、派遣の、募集の時の時給は、前の年の同じ月と比べて、上がる傾向が続いています。

3.また、人手不足が目立つ外食や流通業界では、非正規の社員を、希望に応じて、正社員や、働く場所や時間を限定する「限定正社員」に登用する動きも目立っています。こうした正社員になることで、給料が上がったり、ボーナスが出たり、福利厚生が充実したりするケースも多いのです。

人件費が上がりますと、企業の負担は増えます。一方で、人手不足で倒産したり、業績が悪化したりする企業もでてきています。

このような、相反する状況が続いていて、景気の回復にブレーキとなる懸念も出ているのです。

■ アメリカ経済は上向きか? 2014/06/05

NHKニュースを基に、アメリカ経済について、中央銀行に当たるFRB(連邦準備制度理事会)の景気報告をご紹介します。これは、全米に12ある地区連銀からの景気報告を集大成したものです。

この報告によりますと、個人消費や企業の生産が拡大し、景気は4月から5月にかけて「すべての地区で拡大した」といいます、上向きの判断でした。

とりわけい新車販売が好調だという報告が多くの地区で目立ちました。企業の生産活動も全国的に拡大しているようですし、それに伴い、雇用も全体として改善を続けています。地域によりましては、熟練労働者の不足も報告されました。

上向きとはいえ、住宅建設にやや弱い動きも見られます。賃金の伸び悩みもあります。

1月から3月には寒波の影響でGDPがマイナスに転落しました。一時的な落ち込みと思われ、オバマ政権としては11月の中間選挙に向けて、てこ入れを図るものと思われます。

今月中旬に開催されます金融政策決定会合で、量的緩和のさらなる規模縮小が明言されるのかどうかが注目の的です。

■ ビットコインの普及拡大 2014/05/29

 インターネット上の仮想通貨「ビットコイン」を巡っては、2014年2月に、日本の取引仲介会社の一つが、経営破綻し、国内外に被害が広がり、まだ記憶に新しいと思います。

 ところが、世界中の利用者数は、依然として増え続けているようで、少なくとも300万人を超えると見られています。日本国内でも新たな取引仲介会社が次々と設立されていると言われています。

 そのような中、東京・六本木の飲食店にビットコインと現金を交換する自動交換機が設置され、利用の選択肢が広がりました。日本円を交換機に挿入しますと、その時点のレートに応じたビットコインが、スマートフォンに送られ、ビットコインを使った取り引きができるようになります。

 ビットコインは、銀行など金融機関を介さず、インターネットを通じて国境を越えて取り引きできる一方、特定の発行者がいないため、通常の通貨ような国や中央銀行などによる価値の裏付けがありません。

 このため相場が乱高下しやすく、高騰もあれば暴落もあります。匿名性が高いため、違法な薬物などの取り引きに利用されるおそれがあります。

 消費者庁は、「リスクを十分に理解したうえで利用することが必要だ」と注意を呼びかけています。海外の中央銀行の中には、ビットコインの取り引きを規制する傾向が出てきました。

 便利の裏には危険が潜むことを理解して上で、利用をしませんと、失敗をするかもしれませんね。

■ 中国の目に余る行為 2014/05/27

各メディアとも、昨今の中国の”蛮行”ともいえる傍若無人な行為を大々的に取り上げていますが、本当に中国に止めさせることができるのでしょうか。NHKで加藤青延解説委員の話を中心にご紹介します。

国際社会の批判が高まる中、「アジア相互協力信頼醸成措置会議」という聞き慣れない、中国とつながりが深いアジアの国々の指導者らを集めた会議です。ロシアと手を組んで、アメリカのアジア政策を牽制することを目的としています。

中国の軍備増強や海洋進出に懸念を表明しているASEAN諸国を含む、ほぼ環太平洋に位置する国々と、上記の参加国では明確に色分けができます。しかし、ASEANの中にも、カンボジアのように中国との経済的な関係が強い国もあります。

東シナ海での強引な石油開発やフィリピン沖の島埋め立てだけではなく、自衛隊機への異常接近をした上で、それを正当化するような防空識別権を根拠にする発言など目に余ります。

このような蛮行に対して「外交ルート」を通じて強硬な抗議を日本政府は言っていますが、これが効果がないことはわかっていながらの発言です。

中国との経済的な繋がりの強い「アジア相互協力信頼醸成措置会議」なるものに参加した国々に直接政府が使節を派遣して、中国の実状を訴えるなど、方法論を講じませんと、尖閣諸島問題がらみで日本の立場が苦しくなります。

上述のように地理的な色分けが明確な中、米ソ冷戦時代に様な対立構造に発展しないことを強く願います。

■ 右投げ左打ちの少年野球と企業経営 2014/05/22

日経サイトで、野球評論家の広澤克実氏が日本野球のレベル低下に警鐘をならした記事を書いていました。

野球少年の全体数はそれほど減っていないといいます。

ある少年野球指導者の話ですが、体育の成績が「5」という子どもが野球をやらなくなったというのです。彼らの多くは、サッカーに興味を持って、野球に関心を持たないと言います。

体育が『5』の子供が野球をやらないということは、運動能力の高い子供が野球をやらなくなっていますので、レベルが下がってしまうことが懸念されるわけです。

その徴候として、プロ野球におけます本塁打、打点部門での外国人の活躍が挙げられています。

運動能力の高くない子供が出塁するためには、「右投げ左打ち」が有利です。なぜなら、ファーストベースに近い位置からスタートダッシュをすることができますので、内野ゴロでも出塁できるからです。捕手の肩が弱いですので、出塁すれば盗塁ですぐに二塁に進塁できる可能性が高くなります。

本来は右利きでも、運動能力が高く、脚力があれば簡単に左打ちに変えられるそうです。右利きの子供が左打席に立つことは、利き腕の力を活かせないので長打は無理ですが、内野ゴロは打てます。

多くの時間を「バント」の練習に費やすのは、そのためです。

確率の悪いホームランを打つ選手を育てることより、ゴロを打ち内野安打を打てるタイプの選手を積極的につくることが、監督の”勝率”に繋がり、長期的な視点で子供を育てることにそっぽを向いてしまうのです。

近年、野球に強いキューバやドミニカ共和国はすでに一貫教育のアカデミーが整備されているといいます。広澤氏は、「野球のゴールデンエイジ」と呼ばれる育ち盛りの10~18歳の指導のあり方を変えることと、その一貫教育が理想だと主張しています。

同じようなことは企業経営でも言えます。

安倍総理が、ホワイトエグゼンプションによる成果主義の導入ということを声高に言い出し、民間企業の経営のあり方にまで口を挟もうとしています。

私は成果主義を否定しているわけではありません。成果主義は適している企業もあれば、そうでない企業もあります。十年ほど前、成果主義導入に失敗した日本企業が多数あることをよもやお忘れではないでしょう。

成果を上げるために、目先の業績向上を目した個人プレーが中心となり、中長期的に見て好ましくない状況が、この少年野球の例からも学べるのではないでしょうか。

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