■■【日本経済の読み方】  日銀短観改善が数値に

 時代の流れを時系列的に見ると、見えないものが見えてきます。NHKの放送や新聞・雑誌などを見て、お節介心から紹介しています。


独善解説


■ 日銀短観改善が数値に 2013/12/17

 3か月ごとに実施されます日銀短観(企業短期経済観測調査)によりますと、大企業製造業の景気判断は4期連続で改善しました。円安傾向が続き、輸出や海外事業の採算が改善していることが主要因です。

 気になります中小企業におきましては、製造業も非製造業も改善した結果でした。中小企業の景気判断がプラスに転じたのは、製造業ではリーマンショック前の平成19年12月以来6年ぶりとなります。非製造業においては平成4年2月以来のことで、21年10か月ぶりです。

 この数値を反映して、大企業も中小企業も、従業員が不足していると感じている企業が多くなってきています。

 円安で採算が改善した自動車など輸出関連企業のほか、消費増税前の住宅の駆け込み需要や公共事業の増加で受注が増えた建設業などを中心に、人手の不足感が強まっているためとみられます。

 しかし、数値面にようやくアベノミクス効果が現れたと言いましても、すぐに採用の拡大や賃金の上昇に波及するかどうかは楽観視できません。景気回復が本格的なものかどうか、断言はできかねます。

◇日銀短観:全国約1万社を対象に調査。景気が「良い」から「悪い」と答えた企業の割合の差。

■ 企業物価の大幅上昇と懸念 2013/12/12

 アベノミクスでは、消費者物価を2%アップさせることを主目標にしています。

 消費者物価を上げるには、企業からの卸屋小売価格を上げることが必要です。

 2010年平均を100とした指数で11月は102.6となり、指数が前年を上回るのは8か月連続となります。それだけではなく、上昇幅は、2008年10月以来、5年1か月ぶりの大きさになりました。

 企業間取引の価格の動きを示します「企業物価指数」は、2012年同月比で2.7%の上昇となり、5年1か月ぶりの上昇幅です。好調な住宅建設を背景に、鉄くずや木製品などが大幅に値上がりしていることが主因です。

  鉄くずなどのスクラップ類 38.1%
  製材・木製品        13.9%
  石油・石炭製品       12.6%

 日銀集計によりますと、820の品目のうち、前年より上昇したのは390品目あり、下落したのは302品目と、3か月連続で上昇した品目が下落した品目を上回りました。

【コメント】

 企業間取引の値上がり分野が拡大していますので、今年度末時点では、消費者物価上昇率は1%に達し、アベノミクスの2%への実現は1~2年内に達するかもしれません。来年4月の消費税率8%のみならず、10%へ向かって着々と進み、安倍さんはニコニコしているでしょう。

 一方で、今後は、エネルギー価格への円安の影響が一巡するとみられ、これらの要因が企業物価にどう影響するか注視しなければなりません。2%と考えていたのが大きくそれを超えてインフレに一挙に張ってしまう可能性もあります。

 円安傾向が続いています。取り分けたいユーロでは140円前後となっていますので、一時的には東南アジア重視から、ヨーロッパに重点をおく輸出へと切り替える企業が多いのではないでしょうか。


■ 法人事業税の再配分は効果的か 2013/12/10

 地方自治体間の財政力に格差があり、それを解消すべく各自治体が努力をしています。その一環が、ふるさと納税でしょう。

 政府もこの格差を平準化するための方策を検討しています。

 2008年度から実施してきています、重要な地方税としての法人事業税の再配分を来年度から現在の3分の2に縮小する方針です。税制抜本改革までの臨時措置であるため、規模を徐々に縮小していきます。消費税が10%になると気には、これを廃止することも検討されているようです。

 一方で、法人住民税のうち、6千億円程度を財政の厳しい自治体に再配分する仕組みを導入します。

 法人住民税の一部を国税にして税収の少ない自治体に配る制度を導入する方向です。

 東京都など豊かな自治体にもお金が流れる仕組みですので、それに対する反対意見も出るかもしれません。格差是正の効果が大きくなるかどうか、再配分法案が決まってみないと何とも言えないと思います。

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