■■【税金Q&A】 準備金

 税理士・経営士 谷澤 佳彦 氏

 日本経営士協会 理事・首都圏支部長


 谷澤佳彦先生は谷澤佳彦税理士事務所の所長で、税理士業を中心にご活躍中です。

 また、最近は「日本経営士協会 首都圏支部長」として活躍なさっております。このシリーズでは税金について税理士として、ご活躍の谷澤佳彦先生、質問は経営士俵一史先生が致します。

 ※筆者詳細情報→ http://www.jmca.or.jp/meibo/pd/1065.htm?mag2

◆  準備金  ◆


Q:年末も近くなり、来年度の税制改正の話が聞こえてきます。その1つにベンチャー企業への投資を準備金制度で節税させるという話があります。準備金とは何でしょうか?


A:準備金は損金経理、すなわち経費処理により準備金を計上すれば、所定の限度額まで課税をしないというものです。


Q:資金準備が必要な気がしますが、いかがでしょうか?


A:資金準備は不要です。


Q:資金が動かないなら、決算書はどう反映されますか?


A:準備金計上額を経費として計上します。その相方は貸借対照表の負債の部に「XX準備金」として計上されます。これを損金経理の方法といいます。


Q:何か他の方法がありそうな表現ですが。


A:株主総会の剰余金処分による積立も可能です。この場合ですと、貸借対照表の純資産の部の利益剰余金の箇所に「XX準備金」として表記されます。


Q:剰余金処分ですと、経費計上しませんよね?そうすると節税にならないのではないでしょうか?


A:剰余金処分の場合、損益計算書を通りません。この場合、法人税の申告書にて調整をはかり、経費計上した方法と同じ結果になるようにします。


Q:どちらが会社にとって有利な方法ですか?


A:税負担はどちらの方法も同じです。剰余金処分であれば、経費計上をしなくて済みますが、計上したい準備金相当額以上の利益剰余金がない場合、適用できません。


 また、剰余金処分は株主総会の決議事項です。公認会計士の監査を受ける会社であれば決算書は株主への報告事項ですが、剰余金処分は株主総会の決議事項となり、否決される可能性も否めません。


 監査を受けない会社であれば、決算書も剰余金処分も株主総会の決議事項となり、否決される可能性はどちらも同じとなります。


Q:一旦計上した準備金ですが、取り崩すのはいつですか?


A:税法で準備金ごとに取り崩す時期を明示しており、それに従います。取り崩すべき時期に取り崩さない場合、取り崩したものとみなして税務計算を行います。


Q:取り崩すときの会計処理はどうなりますか?


A:損金経理、すなわち経費により計上した場合は利益計上します。剰余金処分により計上した場合は剰余金に戻し、損益に影響はありません。


Q:目にすることが少ない準備金の情報、ありがとうございました。


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