■■【税金Q&A】 ネットと消費税

 税理士・経営士 谷澤 佳彦 氏

 日本経営士協会 理事・首都圏支部長


 谷澤佳彦先生は谷澤佳彦税理士事務所の所長で、税理士業を中心にご活躍中です。

 また、最近は「日本経営士協会 首都圏支部長」として活躍なさっております。このシリーズでは税金について税理士として、ご活躍の谷澤佳彦先生、質問は経営士俵一史先生が致します。

 ※筆者詳細情報→ http://www.jmca.or.jp/meibo/pd/1065.htm?mag2

◆  ネットと消費税  ◆

 

Q:このところ消費税に関する報道記事を目にすることが多いのですが、今月はネットでの取引と消費税について教えて下さい。
 ネットで広告を出すと、その広告料は消費税の課税対象となるのですか?

A:課税対象となるものと、ならないものがあります。



Q:課税対象となる、なららない、の基準は何でしょうか?

A:サーバーが日本国内にあるか、国外にあるか、です。国内にあれば消費税の課税対象となり、国外にあれば課税対象外です。


Q:具体的に挙げていただけますか?

A:有名どころでは、アマゾンやグーグルは国外にサーバーを置くので消費税対象外、ヤフーは国内の会社が国内で運営を行っており、消費税の対象です。


Q:サーバーが国外にあるか、国内にあるかで、消費税の対象となる・ならないが分かれるなら、これから消費税率がアップすると国内にサーバーを置く広告会社は競争力を無くしませんか?

A:企業は消費税の担税者ではありません。簡単にいうと、企業は、支払った消費税を受け取った消費税から差引いて納付します。ですから一時的に消費税分の資金流出はあるものの、損益への影響はありません。消費税の担税者は我々個人です。


Q:ところで、国外からの広告は輸入扱いにならないのですか?

A:消費税法では、消費税の課税対象となる輸入は保税地域(税関と思って下さい)から貨物を引き取る場合です。ネット広告は保税地域を通りませんので、消費税の課税ができないのです。


Q:この消費税の課税可否は電子書籍においても同様ですね。国外サーバーから電子書籍を提供すると消費税の課税対象となりませんね?

A:現行の法律ではそうなります。
 電子書籍は殆どを我々消費者が購入すると思われます。消費者は同じものなら当然、消費税のかからない安いものを求めます。


Q:すると電子書籍業界においては、国内サーバーから提供する企業は価格競争力において不利になりますね?

A:そうです。
 そこで、国外にサーバーがあっても国内で電子書籍などを提供する企業に、日本の消費税を課税しようという動きがあります。


Q:国外にサーバーがあり、国内に営業所などがない会社から提供されるものに対して、日本はどう課税できるのですか?

A:日本で役務提供する国外企業に、日本で税務登録をさせて課税するようにしようとしていますが、具体的にはまだ検討段階です。


Q:今後の展開を見守ります。ありがとうございました。

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